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父の遺言がパソコンで作成されたものだった。自筆ではないから認められない?

ファイナンシャルフィールド / 2022年1月24日 10時10分

父の遺言がパソコンで作成されたものだった。自筆ではないから認められない?

遺言書にはいろいろな要件が決められており、これを満たしていなければ内容に問題がなくても無効になってしまいます。   ではパソコンで書かれた遺言書は有効なのでしょうか?遺言書を書く方法について詳しく確認していきましょう。

パソコンによる遺言書は一部だけ有効

遺言書には「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」の3種類があります。公正証書遺言は公証人に作成してもらい公証役場で保管してもらうものです。秘密証書遺言は公証人と証人に遺言書の存在を証明してもらい、作成と保管は本人が行います。
 
そして自筆証書遺言は遺言者一人だけで完結する方法で、遺言書の作成と保管を遺言者自身が行います。遺言者が亡くなった後、相続人が家庭裁判所で遺言書の検認手続きを行い、遺言書が有効と認められればその内容に従って相続手続きを行うことになります。
 
自筆証書遺言は手軽である一方、遺言者一人で作成するため、民法で定められた要件を満たさず無効になってしまう恐れが大きいことが難点です。
 
2019年の民法改正までは遺言書は全文手書きで書かねばならず、非常に負担が大きかったのです。知らずにパソコンで作成して無効になってしまうというケースも多くありました。こうしたデメリットを改善するため2019年に法律が改正され、遺言書の一部についてパソコンでの作成が認められるようになっています。
 
パソコンでの作成が認められるようになったのは、遺言書に添付する「財産目録」です。これはいわば財産の明細書で、遺言者の財産の内容を分かりやすく一覧にしたものです。預金や不動産などのプラスの財産だけではなく、マイナスの財産も記載することになっています。
 
財産目録は財産が多ければそれだけ長くなり、書くのが大変なだけではなく書き間違いの原因になりやすかったのですが、これがパソコン作成できるようになり表作成機能などを使えるようになったことで、きれいで分かりやすい財産目録を作成できるようになりました。ただし、遺言書本文については、従来通り全部遺言者の手書きである必要があります。
 

パソコンで財産目録を作るときの注意点

2019年の法律改正で、財産目録についてはパソコンで作成することが可能になりました。また、家族に代筆を依頼して財産目録を作成してもらったり、通帳のコピーや不動産の全部事項証明書など既存の資料を財産目録に替えることもできるようになったのです。ただし、これらの方法で作成した場合、遺言者自身の署名と押印が全ての資料に必要です。署名押印がない財産目録は無効になってしまうので注意してください。
 
そもそも、法改正前に自筆証書遺言を頭から終わりまで遺言者本人が直筆しなければならなかったのは、改ざんを防止するためでした。パソコンで作成した財産目録を直筆の遺言書に添付する場合、悪意ある家族が財産目録だけすり替える、といったことも当然容易になるため、それを防止するために遺言者本人の署名押印が必要になるのです。
 
より慎重を期すのであれば、遺言書本文と財産目録をのりやステイプラーでまとめた上、割り印しておく、あるいは法務局の遺言書保管制度を利用するなどの方法を採ることになります。
 
遺言書保管制度は、法務局が自筆証書遺言の形式を審査した上で保管してくれる仕組みで、遺言書を確実に有効にすることができる上、遺言者の死後、家族が遺言書を破棄してしまうなどのトラブルを防ぐことができます。自筆証書遺言のデメリットを回避することができるので、利用がすすめられています。
 

注意点を知ろう

法律の改正によって、財産目録についてはパソコンでの作成が可能になりました。しかし遺言書本文は遺言者本人の直筆でなければならず財産目録にも本人の署名押印が必要など、満たすべき要件は当然あります。また、パソコンでの作成が可能になったため、改ざんを防止するためにも遺言書の保管について気を配る必要があるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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