学生納付特例を利用しないで年金を納付している大学生、どんなメリットがある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月24日 12時0分
![学生納付特例を利用しないで年金を納付している大学生、どんなメリットがある?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_127388_0-small.jpg)
20歳になると学生であっても国民年金保険料を納付する義務が生じます。しかし、学生の場合自分で納付するのは難しい場合が多いでしょう。 そのために設けられているのが、「学生納付特例」です。学生納付特例とは、学生が届け出ることで、納付を猶予してもらえる制度です。学費や生活費など、親にとっては金銭的に負担の大きい時期ですので、大変ありがたい制度と言えます。 しかし、この制度を利用せず、国民年金保険料を納付している家庭もあります。それは、どのようなメリットがあるからなのでしょうか?
メリット1 老齢基礎年金を満額もらうことができる
将来、老齢基礎年金を満額もらうためには40年間年金保険料を納付することが必要です。ここで注意しておかなくてはならないことがあります。
「学生納付特例制度」を受けた場合、実際には納付しなかった期間も受給資格期間としては認められますが、老齢基礎年金の受給額計算の対象とはなりません。
したがって、そのまま納付しないでいると、将来受給できる老齢基礎年金は満額よりも減ってしまうことになります。一方、「学生納付特例」を受けずに学生時代も国民年金保険料を納付をしていれば、将来年金の支給が開始されたとき、満額を受給することができるのです。
その時の年金事情にもよりますが、現状では、10年もすれば学生時代に払い続けた年金額よりも受給額のほうが上回ることになります。
そのあとも、満額受給を死ぬまで続けていくのと、学生時代に納付猶予を受け、そのまま追納しなかった場合の減額された老齢年金を受給し続けていくのとでは、大きな差が出てしまいます。できることなら、「学生納付特例制度」を受けずに、年金保険料の納付を続けたほうが「お得」という結果につながります。
メリット2「追納」は、納付額が高くなる場合もある
「学生納付特例制度」を利用したために、年金受給額が減ってしまうという事態を回避できるように、「追納」という制度が設けられています。どのような制度かというと、学生の間に「学生納付特例」で猶予されていた年金保険料を「学生納付特例」の対象からはずれたあと、つまり、学生ではなくなったあと10年以内なら納めることができるというものです。
ただし、ここで、注意が必要です。「追納」の場合は、納付額が高くなることはあっても安くなることはありません。また、「追納」の手続きを忘れてしまう可能性もあります。そのほか、追納ができる期間には限度があるため注意が必要です。「学生納付特例」を受けずに学生時代にも納付をしておけば、金額も余計に納めなくてすみますし、手間もかからないというわけです。
メリット3納付者である親の所得税・住民税を減らすことができる
学生である子供の年金を支払った場合、親は、その支払った金額を「社会保料控除」の金額として、自分の所得から控除することができます。年金は、年額でおおよそ20万円と、かなり大きな金額になるため、住民税・所得税が数万円程度違ってきます。これは、大きなメリットなのではないでしょうか。
ただし、日本年金機構から送られてくる「国民年金保険料控除証明書」を、年末調整や確定申告の際に提出する必要がありますので、注意してください。また、こどもの分を親が支払ったことがわかるように、親名義の口座からの引き落としで納付することをおすすめします。
メリット4「前納」による割引を利用できる
国民年金保険料は「前納」することにより、割引を受けることができます。割引を受けることのできる前納には、2年分・1年分・6カ月分・当月末振替と4つの種類がありますが、当然、2年分前納が一番割引率が高くなっています。
日本年金機構の2021年10月29日付けの情報によると2年分前納の場合、総支払額から1万5850円も割引されます。これは、あくまで「前納」割引ですので、「学生納付特例」を利用した場合に受けることはできません。
前納割引を利用できる場合は、これもメリットの一つとなります。
出典
日本年金機構 「国民年金保険料の「2年前納」制度」
学生納付特例を受けずに、学生時代も年金を納付することには実はメリットがある
ここまで見てきたように、学生納付特例を受けない場合のメリットはいくつかあります。将来的に老齢基礎年金を「満額」受け取ることができたり、「追納」の手間が省けます。そして、「社会保険料控除」に加えることができるので、支払者である親の住民税や所得税を減らすことができたり、前納すれば「割引」を受けることも可能です。メリットデメリットをよく考慮して、学生納付特例を利用するかどうか検討しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
派遣社員です。毎月の年金保険料が高すぎて払えません……。何か対応策はあるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月28日 4時0分
-
「国民年金保険料」の支払いを一定期間免除してもらっていたのですが、追納した方がよいのでしょうか? もらえる額はかなり変わりますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月27日 8時40分
-
60歳の自営業です。病気で働けなかった5年間、年金保険料を支払っていませんでしたが、年金受給額はどのくらいになりそうでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月22日 0時0分
-
給料がとても低いので年金保険料の「天引き」を止めたい…! 大学生のときのように「猶予」を受けることはできないのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月6日 0時30分
-
老後の収入を月3万円増やしたいのですが、どれくらい「受給を遅らせる」と3万円増やせますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月5日 23時50分
ランキング
-
1「日本の歴史に残る急落」日経平均2200円超の暴落にNISAで投資する人は? 今後の株価はどうなる?背景にアメリカ経済への不安感【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月3日 13時40分
-
2NYダウ急落、アメリカの景気懸念…金融関係者「雇用統計が衝撃的」「パニック状態」
読売新聞 / 2024年8月3日 19時5分
-
3松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
4シニア社員、時短週休3日も容認 大東建託、働き方柔軟に
共同通信 / 2024年8月3日 16時56分
-
5円の暴落どころか紙くず化が始まってもおかしくない…儲けるのではなく資産防衛のため持つべき株と金融商品
プレジデントオンライン / 2024年8月3日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)