老後の働き方どう考える? 働きすぎて年金が減らないために知っておきたいこと
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月27日 4時0分
![老後の働き方どう考える? 働きすぎて年金が減らないために知っておきたいこと](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_127985_0-small.jpg)
「働きすぎると年金がカットされる」と聞いて、老後の働き方をどうすべきか悩んでいる人も多いでしょう。 老後に厚生年金に加入しながら働く場合、年金額や働いて得た収入額によっては、年金が支給停止となる制度があるため注意が必要です。しかし一方で、老後もしっかり稼ぐことにはメリットもあります。 ここでは、老後に働きすぎると年金が減る仕組みや、老後に働くメリットをまとめました。ぜひ、老後の働き方を考える参考にしてください。
老後も働くときは「在職老齢年金制度」に注意
在職老齢年金制度とは、老齢年金受給者のうち次に当てはまる人の老齢厚生年金が、一部あるいは全額支給停止となる制度です。
・就職して厚生年金保険に加入した70歳未満の人
・厚生年金保険の適用事業所に勤める70歳以上の人
支給停止となるかどうかや支給停止となる金額は、その人の老齢厚生年金の金額や働いて得た給与・賞与の金額に応じて決まります。
いくら稼ぐと年金が支給停止になる?
年金が支給停止となるボーダーラインは、65歳未満と65歳以上で異なります。
■65歳未満
65歳未満では、老齢厚生年金が全額支給されるのは、老齢厚生年金の基本月額(※1)と総報酬月額相当額(※2)の合計が28万円以下(※3)のときです。28万円を超えると、次の計算式で算出した金額が支給停止されます。
・基本月額28万円以下、総報酬月額相当額47万円以下⇒支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-28万円)×1/2×12
・基本月額28万円以下、総報酬月額相当額47万円超⇒支給停止額={(47万円+基本月額-28万円))×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
・基本月額28万円超、総報酬月額相当額47万円以下⇒支給停止額=総報酬月額相当額×1/2×12
・基本月額28万円超、総報酬月額相当額47万円超⇒支給停止額={47万円×1/2+(総報酬月額相当額-47万円)}×12
※1 年金の年額を12ヶ月で割った額。
※2 毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12ヶ月で割った額。
※3 令和4年4月以降は47万円以下に緩和されることが決まっています。
■65歳以上
65歳以上になると、老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計が47万円以下までは、老齢厚生年金が全額支給されます。47万円を超えると、以下の式で計算した金額が支給停止となります。
支給停止額=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2×12
老後も働くと結果的には年金が増える
老後も厚生年金に加入して働くと一時的に年金が支給停止される可能性がありますが、被保険者期間が増えるため、退職後の年金受給額は増えます。多く稼ぐほど、年金受給額もより多くなるでしょう。
また、令和4年4月に新制度「在職定時改定」がスタートすると、退職まで待たずに新たな被保険者期間を反映した年金額を受け取れるようになります。
さらに、老後も働いて年金以外の収入を得ることで、年金の受給開始時期を繰り延べて、その分割り増しされた年金額を受け取れる「繰り下げ受給」を選択しやすくなる点もメリットです。
以下で、在職定時改定と繰り下げ受給について簡単に説明します。
在職定時改定
在職定時改定とは、65歳以上で老齢厚生年金を受給しながら働く人の年金額を、毎年10月に改定する新制度です。これまでは、退職などで厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、受給中の老齢厚生年金額は改定されませんでした。
しかし、在職定時改定により、定年後の継続雇用や再就職などで新たに納めた保険料が、年金額に早期に反映されるようになります。
繰り下げ受給
繰り下げ受給とは、年金の受給開始を66~70歳(令和4年4月以降は75歳)に繰り下げられる制度です。繰り下げ受給を選択すると年金の受給開始時期に応じて、8.4~最大42%(令和4年4月以降は最大84%)増額された年金を受け取れます。
老後の働き方は長い目で見て考えよう
老齢厚生年金を受給しながら働くと、在職老齢年金制度によって、受給中の年金が支給停止となることがあります。しかし、厚生年金の加入期間が増えれば、先々の年金額はその分増えるでしょう。
なにより、老後も働いて多くの収入を得ることで、年金カットを嫌がって働き方を抑えた場合と比べて、より安定した経済基盤を手に入れられます。老後の働き方を考えるときは、一時的な年金額だけに目を向けず、長期的な収支を考慮に入れることが重要です。
出典
日本年金機構 「在職老齢年金の支給停止の仕組み~働きながら年金を受けるときの注意事項~」
厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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