猶予や免除されていた国民年金を追納しなかったら、将来どうなるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月27日 13時10分
猶予や免除されていた国民年金を納付しない場合「将来どうなるの?」と不安に思う人もいるでしょう。国民年金を追納しないと、将来の年金受給額が減るなどのデメリットがあります。 本記事では、免除や猶予された国民年金を追納しなかった場合のシミュレーションや、追納した場合のメリットについて解説します。国民年金を猶予や免除されていた人は参考にしてください。
国民年金を追納しなかったら将来どうなる?
ここでは、国民年金を追納しなかった場合老後に受給できる年金額がいくらになるか、また支払わないとどのようなデメリットがあるかを解説します。
年金受給額が減額される
国民年金保険料を20歳から60歳まで欠かさず納付した場合の老齢基礎年金は、令和3年度であれば年額78万900円(月額6万5075円)です。しかし、納付しない期間があり、その後追納しない場合は、年金受給額が減額されます。
では、どれくらい減額されるでしょうか。年金受給額は、支払った年月によって変わります。受給できる年金額がわかる計算式は以下のとおりです。
老齢基礎年金受給年額×(保険料納付済月数+全額免除月数×1/2+4分の1納付月数×5/8+半額納付月数×3/4+4分の3納付月数×7/8)÷(加入可能年数40年 × 12月)
具体的に数字を入れて計算しましょう。例えば、保険料納付済月数400月、全額免除月数40月、4分の3納付月数40月の期間があると仮定し、令和3年度の受給年額78万900円で計算しました。
78万900円×(400月+40月×1/2(20月)+40月×7/8(35月))÷480月= 74万228円
受給額は年額74万228円となるため、40年間納付して満額受給できる額と比較しても大きな差ではないと感じる人もいるでしょう。
では65歳から85歳まで、20年間国民年金を受給すると想定した際に生涯で受給できる年金額を見ていきます。
●満額受給額の場合……78万900円×20年=1561万8000円
●全額免除月数40月、4分の3納付月数40月の場合……74万228円×20年=1480万4560円
生涯の老齢基礎年金受給額の差は、1561万8000円-1480万4560円=81万3440円です。納付月が少ない場合、長生きをすることでさらに受給額に差が生まれることが予想されます。
障害基礎年金・遺族基礎年金を受給できない可能性がある
猶予された期間が長い場合、障害基礎年金・遺族基礎年金を受給できないケースがあります。障害基礎年金・遺族基礎年金の受給条件として、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上でなくてはならないからです。
国民年金を追納すると得られるメリット
国民年金を追納した場合、老齢基礎年金の受給額を増やせる以外にもメリットがあります。追納を迷う場合は、これらのメリットを参考にしてください。
所得税・住民税が軽減される
国民年金を追納すると、節税できるメリットがあります。追納した国民年金保険料は全額社会保険料控除の対象となるため、所得税と住民税を軽減可能です。
国民年金保険料が少ない時期分を支払える
60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間となる10年に達していない場合や満額受給できない場合は、加入期間を増やすために60歳から65歳の間も納付を続けられます。しかし、国民年金保険料は毎年上がるため、60歳から65歳の間で納付するよりも、追納の方が納付額を抑えられるでしょう。
納付する際の保険料については、令和3年度で月額1万6610円です。一方、令和3年度に平成23年度分の追納をする場合は月額1万5350円となり、月1260円の差があります。国民年金保険料は今後も納付額が増える可能性も高いです。60歳以降に納付するよりも、早めに過去の未納分を追納して保険料を抑えることをおすすめします。
国民年金の加入状況確認や追納方法
国民年金の猶予や免除の期間があるか、加入状況を確認しましょう。加入状況は、ねんきんネットで確認、もしくは年金事務所にて確認・納付できます。
なお追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間です。早めに確認し、追納しましょう。
国民年金を追納しないと将来年金受給額が減る
猶予や免除された国民年金を追納しないと、年金受給額が減ります。節税などメリットもあるため、できる限り追納しましょう。追納できる期間には期限があり、10年以内しか納付できない点には注意が必要です。
免除や猶予された期間がある可能性がある人は、ねんきんネットを見るか年金事務所で相談しましょう。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構「老齢年金ガイド令和3年度版」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構「国民年金保険料 納付のご案内」
日本年金機構「追納等可能月数と金額の確認」
日本年金機構「任意加入制度」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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