名義人が死亡! 口座はどれくらいで凍結される?
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月28日 14時0分
![名義人が死亡! 口座はどれくらいで凍結される?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_128240_0-small.jpg)
人が亡くなった際、その人名義の口座は凍結されますが、亡くなってから凍結されるまでの時間はどのくらいなのでしょうか。今回は口座の名義人が死亡した際の凍結までの流れ、そして凍結された場合の注意点について解説します。
死亡してから口座が凍結されるまでの流れ
人が亡くなった場合、家族や親族などは医師から死亡診断書を受け取り、役所に診断書と合わせて死亡届を提出します。この死亡届を提出しないと、火葬許可証を受け取ることができず、お葬式や火葬が執り行えなくなります。
死亡届は亡くなってから7日以内に提出することとなっていますが、葬儀などの関係もあることから死亡後1~2日に提出するケースが多いでしょう。
口座が凍結されるのは、金融機関が死亡を知った時点
亡くなった人の口座が凍結されるのは、金融機関が死亡を知った時点となっています。ただし、役所からの通知で知るわけではありません。原則として、金融機関が死亡を知るのは、相続人からの申し出があった時です。
例外的に、新聞の訃報欄やニュースなどで知ることもありますが、ほとんどのケースは、相続人からの連絡をもって凍結が開始されます。
口座が凍結されたらどうなる?
金融機関が死亡の事実を確認したら、その人の口座は凍結されます。口座が凍結された場合、その後遺産分割協議が終了し、口座凍結解除の手続きが終わるまで、一切の入出金は原則としてできなくなります。
ただし、一定の手続きを踏めば、遺産分割前であっても口座から預金を引き出すことができます。
■相続預金の払戻制度
2019年7月1日より施行されたこの制度は、死亡によって口座が凍結された後であっても、遺(のこ)された人の生活費や、亡くなった人の葬儀代として必要なお金については引き出すことができるというもので、民法などの改正によって設立されました。
この制度を利用することで、一定額までの金額については、引き出すことが可能となります。
■引き出せる金額はいくら?
残された相続人は、凍結された口座ごとに一定の計算式で求められる金額まで、金融機関に申し出ることで引き出すことができます。その際に利用される計算式は以下のとおりです。ただし、1つの金融機関から引き出せる額は150万円が上限です。
相続開始時の預金額×1/3×引き出しを行う相続人の法定相続分
■引き出しの際に必要な書類
引き出しの際には以下の書類を持って金融機関にて手続きを行います。
・亡くなった人の除籍謄本、戸籍謄本、もしくは全部事項証明書(出生から死亡までが分かるもの)
・相続人全員の戸籍謄本、もしくは全部事項証明書
・引き出す人の印鑑証明書
■家庭裁判所の判断が必要になるケースも
遺産分割がまとまらず、家庭裁判所に対して調停や審判の申し立てを行っている場合は、家庭裁判所の審判を受けて引き出すことができます。その際に引き出せる額は家庭裁判所が認めた額となります。
家庭裁判所は、このような引き出しにおいて妥当な必要性および相続人同士の利害関係を考慮して最終的な金額を決めます。この場合には、家庭裁判所が発行した審判書謄本と引き出す人の印鑑証明書を持って金融機関に赴き、引き出しの手続きを行います。
口座凍結前に引き出すとどうなる?
相続人の届け出によって口座が凍結されるのであれば、亡くなった人のキャッシュカードなどを利用して口座凍結前にまとまった金額を引き出しておこうと考える方もいらっしゃるでしょう。ただ、その際には、以下の点に注意が必要です。
■遺産分割協議に影響をおよぼす
口座が凍結される前に預金を引き出した場合、その人は亡くなった人の遺産相続について単純承認したものとみなされることがあります。その場合、その後に負債などがあったことを知り、相続を放棄したいと思っても放棄はできません。
また、引き出した額によっては、その後の遺産分割の話し合いでもめる原因となります。もしも口座が凍結される前に預金を引き出す場合は、いつ、いくら引き出したのか。
そして、それをどのように使ったのか、きちんと分かるように請求書や領収書なども手元に保管しておきましょう。場合によっては、相続財産に戻し入れる必要があることもあります。
まとめ
凍結された口座を解除するには、金融機関にさまざまな書類を提出し、手続きを行う必要があります。必要となる書類には、死亡した人そして法定相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書などがありますので、事前に準備しておくと安心です。
遺産分割がスムーズに進めば問題ありませんが、話し合いが長引くとその分時間がかかります。亡くなった人の口座の取り扱いには、上で述べた点に注意し、所定の手続きをとるようにすることが大切です。
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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