住宅購入におけるリスクにはどんなものがある? その1
ファイナンシャルフィールド / 2022年1月29日 3時30分
![住宅購入におけるリスクにはどんなものがある? その1](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_128271_0-small.jpg)
最近、マスコミを通じて住宅ローンの借り過ぎに警鐘を鳴らす記事が多く見られます。 その主な内容は、「超低金利の影響で住宅ローンの借入金額が増えている」「頭金なしでもローンの借り入れが可能になり、安易に住宅ローンを借り入れる傾向が強くなっている」「返済完了の年齢が70歳を超え、退職後も住宅ローンの返済をしなければならない人が増えている」などとなっています。 こうした事象により、将来、住宅ローン破綻を起こすリスクが増大するというのがマスコミの懸念ですが、そこで指摘されているリスクとは、住宅ローンのどのような性質に由来するものなのでしょうか? この記事では、住宅ローンのリスクを主要素である、借入金額、返済期間、金利の3つの側面からとらえ、最近の傾向に照らし合わせて説明したいと思います。
住宅ローンとは?
そもそも住宅ローンとは、長期返済を前提として、平均的な収入のサラリーマンが高額の住宅を購入することができるようにした金融システムといえます。
通常、何千万円という自分の年収の5倍から10倍もする住宅を、現金ではなかなか買うことはできません。それを可能にするのが住宅ローンです。
多額の借入金を少しずつ返済することを可能にする住宅ローンにより、政府は持ち家政策を推進し、われわれもその恩恵を受けて自分の家を持つことができるようになりました。
ただし、住宅ローンは返済金額が高額で、期間も長期にわたることから、金融商品として見ると多くのリスクがあります。
そのため、従来は住宅ローンに関するさまざまなガイドラインが決められていました。例えば、頭金は住宅価格の20%程度、年間返済額の目安は年収の20%程度などです。
ところが、最近は従来のガイドラインを超えた借り入れが増えてきています。住宅購入者にとって家を買うことにおける最も大きなリスクは、住宅ローンを借りることなので、そのリスク管理をきちんとしないと、将来、不利益が自分自身に降りかかってくるということになりかねません。
それでは、住宅ローンの主要素ごとに最近の傾向とリスク分析を行ってみましょう。
借入金額
借入金額とは、住宅購入者が銀行から借り入れる金額です。借入金額が大きければ、返済金額も大きくなり、それに伴うリスクも大きくなります。
最近の傾向として顕著なのは、借入金額の増大と頭金ゼロでの借り入れの増加です。昨今は、変動金利であれば年利0.4%の超低金利で借り入れができること、および、銀行が頭金ゼロでの融資を促進していることから、借入金額自体が増大しています。
マスコミ報道によれば、平均借入金額は、2000年代初頭からの20年間で1900万円から3100万円にまで増えているほか、頭金なしで貸し付けをする銀行も増えており、住宅ローン契約者の30%程度が頭金なしで借り入れをしているといわれています。
適正な借入金額がいくらであるかについては、借り入れをする個人の資産や収入の状態によって異なりますが、全体の傾向として借入金額が増え、しかも頭金なし(=全額ローン)の契約が増えているということは、適正以上の借り入れを行っている個人が増えているといって間違いありません。
頭金なしで住宅ローンを借りられるということは、貯蓄の経験が不十分なままに多額の借り入れを行うことにつながり、言ってみれば、お金に関する経験(=金融リテラシー)が不十分なままに、大きな金融取引をするということにつながります。
頭金なしのローンは、借り入れの時点で物件の価格と借入金額が同じということを意味します。
例えば、定期収入が途絶えて返済が滞るようになり、家を売却して住宅ローンを返済しようとした場合に、市況によって土地の価格が下がっていたり、建物の劣化がひどくなっていると、土地・建物の価格が住宅ローンの残額を下回り、家や土地を売却してもローンが返せない状態をオーバーローン状態といいます。
頭金なしでローンを借りると、このオーバーローン状態になる可能性が高くなります。
こうなると、土地・建物の価格と住宅ローンの残額の差額分の現金がない限り、自分の家を売却してもローンの返済をすることができなくなり、住宅ローンの返済不能に陥ってしまうことになります。
まとめ
「その1」では、住宅ローンの借入金額の増大に伴うリスクについて説明しました。次回「その2」では、返済期間の長期化、老齢化、金利の変動によるリスクについて説明したいと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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