年の差婚は年金でお得って聞いたんですが、本当ですか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月2日 12時40分
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セカンドライフを考える時、年金が主な収入源になる人にとって、自分は年金をどのくらい受け取れるのか知りたいところです。配偶者がいると家族手当のような加給があると聞いて、自分も受け取ることができるのかどうか、また金額はどのくらいなのか気になる方もいるでしょう。今回のご相談者、Aさんご夫婦は15歳の年の差があります。 <ご相談者さま(Aさん)情報> 夫60歳、妻45歳。妻は夫の扶養の範囲内(年収100万円)でパート勤めをしています。夫が65歳の時に受け取る年金は、毎年届く「ねんきん定期便」で理解していますが、加給のことは記載がないので教えていただきたいとのこと。
厚生年金保険に長く加入が条件
厚生年金保険は会社員や公務員などが加入する保険で、老齢年金として受け取る時は、老齢厚生年金として、原則、現役の時の給与や賞与と加入期間によって金額が決まります。
厚生年金保険に長く(20年以上※1)加入していると、年金に加算される場合があります。老齢厚生年金では加給年金、遺族厚生年金では中高齢寡婦加算が該当します。今回は老齢厚生年金のご相談のため、加給年金についてお伝えします。
(※1:生年月日によって受給資格の特例あり)
老齢厚生年金の加給年金は、年金を受け取る人がその権利を取得した時、その人に生計を維持されている要件を満たした配偶者や子がいる時に加算されます。配偶者は65歳未満※2、子は18歳の年度末までの子、または20歳未満で障害等級の1級・2級の障害状態にある子です。
(※2:大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限はありません)
年の差婚は長く受け取れる
ご相談者Aさんは夫が65歳の時、妻は50歳です。妻は自分の老齢年金を受け取るのが65歳のため15年の間、家族手当として夫の老齢厚生年金に配偶者加給として年額39万900円※3(2021年度)が受け取れることになります。
(※3:特別加算を含む)
同級生同士(同い年)の結婚の場合、加給年金が数ヶ月しか受け取れません。また配偶者が年上の場合、加給年金は受け取ることができません。さらに、配偶者が老齢年金また障害年金を受け取る間は、配偶者の加給年金額は支給停止されます。その他、加給年金の支給要件には配偶者の収入要件などありますが、今回は受け取る要件はすべて満たしている前提でのご相談です。
加給年金と同時期に発生する国民年金保険料
夫が65歳(※4)になると、厚生年金保険の被保険者であっても国民年金の第2号被保険者ではなくなります。そのため妻は国民年金の第3号被保険者でなくなります。つまり年金については夫の扶養から国民年金第1号に種別変更が必要です。
(※4:配偶者が老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない時は、受給資格期間を満たした月の翌月1日)
妻が現状のパート勤めを続けるのであれば、50歳から60歳までの10年間は国民年金の第1号被保険者として国民年金保険料を納付することになります。国民年金保険料は1ヶ月1万6610円(2021年度)、年額約20万円です。
Aさん夫婦、「加給年金は妻の国民年金保険料分を補うための家族手当になるのでしょうか」と苦笑いされていました。年の差を条件に配偶者を決める(婚姻する)ことは前提条件から外すので、長く加給年金が受け取れますが、セカンドライフの収支を夫婦で1つのお財布として考える場合には注意が必要ですね。
まとめ
日本の家族の在り方は「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という時代から、現在は共働き世帯が増えています。共働きにも配偶者の扶養の範囲内で働く人や夫婦それぞれが勤める会社の社会保険に加入するケースなどあります。
厚生年金保険の被保険者(Aさんのケースでは夫)の扶養の範囲内で働く配偶者(Aさんのケースでは妻)の老齢年金は国民年金部分となり、将来受け取れる老齢基礎年金は満額支給で月額約6万5000円です。一方、夫婦それぞれが自身の社会保険に加入した場合、夫婦ともに老齢基礎年金にプラス老齢厚生年金を終身で受け取ることができます。
人生100年時代となり老齢年金を受け取る期間が延びていることから、配偶者の扶養の範囲内で仕事をすることよりも夫婦それぞれが社会保険に加入し、長く働くことが確実に年金を多く受け取ることであるということはいうまでもありません。さらに、厚生年金保険に加入するメリットは年金だけでなく、医療保険において出産手当金や傷病手当金のように現役時に対するメリットもあります。
今回のご相談者Aさん夫婦は一定の要件を満たしているので、加給年金を15年間受け取ることができます。セカンドライフの期間が延びていることから、年の差婚がお得かどうかは夫婦の考え方であり、夫婦の働き方やどのように過ごしていくかが大切なことです。
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
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