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自然災害などで被害を受けた場合、確定申告で減税できるって本当ですか?

ファイナンシャルフィールド / 2022年2月5日 0時30分

自然災害などで被害を受けた場合、確定申告で減税できるって本当ですか?

日本の所得税は超過累進税率を採用しており、所得が増えれば課税額が増える仕組みとなっていますが、扶養家族が増えたり、医療費が多くかかったりするなど生活に必要な費用がかさめば、税負担は減ります。   予期しない災難の結果、生活維持のための支出が増えることになった場合には、その支援のための減税の仕組みも組み込まれており、雑損控除と呼ばれます。   また災害減免法による所得税の軽減免除という制度を選ぶこともできます。適用を受ける際にはいずれも確定申告を行う必要があります。

雑損控除とは一種の損害保険のようなもの?

火災や風水害、交通事故、盗難などに備えるには損害保険に加入するのが一般的です。しかし自動車でいえば車両保険には必ずしも全員が加入しているとはいえませんし、盗難に備える保険も補てんされる部分は一部にとどまります。
 
火災保険でも地震や津波などに備える保険は別扱いですし、災害の性質上、保険の仕組みでは必ずしも十分な補償は得られません。
 
もちろん雑損控除は所得税額の減免が行われるだけで、損失を全て補てんするものではありませんが、生計に打撃を与えるような損害に対して支援を行う趣旨ですので、そのカバーする範囲は比較的広範囲におよんでいます。
 
具体的には風水害や火災などのほかに、震災、害虫被害、盗難や横領による損害が雑損控除の対象となります。
 
しかし生計への被害がその条件となりますので、生活に通常必要でない資産の損害はカバーされません。つまり別荘や高価な書画・骨董などの損害はここでは対象に含まれませんし、事業用の資産も対象外となります。
 
また盗難の場合と異なり、詐欺や恐喝による損害は対象外となることにも注意してください。交通事故や自損事故も対象外ですが、火災でクルマが焼損した場合などは対象になります。
 
なお所得税の計算は生計単位が原則となっており、納税者本人の資産以外に、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で一定の所得以下の人の資産についても、控除が認められます。
 

控除額の算定には実際の損害以外に災害関連支出も含まれる

雑損控除の金額の算定は、失われた資産価値の部分と災害等関連支出、つまり被災した住宅や家財を取り壊したり除去したりするために支出した金額や、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出が基本となります。実損以外に関連支出までカバーされるのです。
 
損失は、損害を受けたときの直前におけるその資産の時価を基にして計算します。例えば自動車なら新車価格を基にするのではなく、3年落ちならその時点の価格がベースとなり、そこから被害割合を掛けて計算する形となります。
 
また、損害保険に加入していてそこから保険金が受け取れる場合は、その保険金額が差し引かれます。これは医療費控除の場合と同じなので理解しやすいでしょう。そこからさらに、損害保険でいうところの免責額にあたる金額がその人の所得によって設定されており、それも差し引かれます。
 
損害の種類によって計算方法はやや異なりますが、以上が基本的な考え方となります。雑損控除の金額が課税所得より大きい場合には、損失を翌年以降に繰り越すことができますが、3年が限度となります。
 

災害減免法という法律に基づく税の軽減措置もある

災害による住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、その年の納税者の所得金額が1000万円以下のときは、雑損控除の場合と比較してこちらの方が有利ならその定めに従って所得税の軽減措置を受けられます。
 
所得金額が500万円以下なら所得税の全額、750万円以下なら同じくその2分の1、1000万円以下なら同じくその4分の1と定められています。このほかに東日本大震災に伴う被害などについては、別途の税の優遇措置が設けられています。
 
大きな自然災害などでは補助金などが設定される場合も多く、偶発的な被害をカバーする雑損控除とは意味合いが異なりますが、利用できる各種支援制度がないか調べてみる価値はあるでしょう。
 

偶発被害は雑損控除、災害のときは災害減免法の適用もしっかりチェック

所得税は納税者の生活を守るための機能が組み込まれており、偶発的な被害を支援する雑損控除は普段あまり縁がありませんが、被害が大きいときは活用できないか検討してみましょう。
 
災害にあったときは災害減免法などの適用が受けられる場合もありますので、どちらが有利か比べてみてください。
 
雑損控除と災害減免法による所得税の軽減免除は併用できず、いずれも確定申告が必要になりますが、税務署や、大規模災害などの場合は自治体などに相談すれば手続きを説明してもらえます。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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