年金受給者を扶養家族にすることはできる? 扶養に入れるための条件を確認
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月9日 0時0分
![年金受給者を扶養家族にすることはできる? 扶養に入れるための条件を確認](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_129229_0-small.jpg)
筆者は、年金受給者を扶養家族にできるのかという質問を受けたことがあります。ここでいう年金受給者とは、一般的には親を想定しているかもしれませんが配偶者の場合もあります。 まず、扶養家族にするということはどういうことなのか確認したいと思います。扶養家族とは、税法における扶養と社会保険(以下健康保険)における扶養があります。税法上の扶養の適用と健康保険における扶養の適用は基準が違っています。 扶養にするメリットは、税金においては扶養控除を受けることにより納付する税金が減ること、健康保険においては、世帯で見た時の負担額が減ることがあげられます。 税法上の扶養も、健康保険上の扶養もどちらも扶養にするための条件があります。
税法上の扶養
税法上の扶養にするためには、「扶養をする者と生計を一にすること」と「年金受給者の所得金額が48万円以下」に該当することです。
年金受給者の所得金額が48万円とは設定金額が低く思われるかもしれません。この48万円は年金として受け取る金額から控除額を差し引いた金額になります。
具体的な計算をしてみましょう。68歳の方で、公的年金等の収入金額が150万円だった場合、
150万円-110万円(控除額)=40万円(所得金額)
となり、所得金額が48万円以下となるため、扶養家族とすることができます(※1)。
「扶養をする者と生計を一にすること」は必ずしも同居している必要はありません。入院・療養や、勤務の事情などで別居していても、生計を同一にしていれば認められます。ただし、毎月の生活費を負担しているなどの証明が必要です。
また、「青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または事業専従者控除をしていない場合」も要件とされています。
健康保険
では、健康保険の条件を確認してみましょう。
健康保険の条件は、年金受給者が「扶養者と生計を一にしている」こと「年齢が75歳未満」であること、同居の場合、「年収130万円未満(障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)かつ被保険者の年収の半分未満であること」(※2)に該当する必要があります。
「扶養者と生計を一にしている」ことは、税法上の取り扱いと同じですが、「年齢が75歳未満」であることと「年収130万円未満かつ被保険者の年収の半分未満であること」は税法上の取り扱いと違う点です。
「年齢が75歳未満」であるのは、75歳以上が後期高齢者医療制度の被保険者となり一般の健康保険とは違うためです。「年収130万円未満かつ被保険者の年収の半分未満であること」は年収を基準としており、税法上の控除額後の金額ではなく収入の金額になります。
先ほどの例で収入金額が150万円である場合は、130万円以上であるため、健康保険上の扶養はできません。健康保険の扶養にするメリットは、先に挙げた世帯における保険料負担額の減額です。健康保険の保険料は加入者全員で負担する制度となっています。
扶養に入れても自己負担が増えるわけではないため、個別で健康保険に加入して保険料を負担するより、扶養として同じ保険に加入したほうが世帯における保険料負担が減ることになります。
会社員で、会社が加入している保険がある場合は会社負担が半額あるため、よりメリットがあります。ご注意いただきたいのは、高額療養費制度の対象となる1ヶ月以上の入院手術などを行った場合の負担額は、世帯の収入により負担額が決定されるため、支払額が多くなることがあります。
健康保険料については、年齢や年金収入によって異なるため健康保険の窓口などで確認していただければと思います。
まとめ
税法と健康保険の両方の扶養に入れるためには、以下の条件を満たす必要があります。
・生計を一にしていること
・対象者の年齢が75歳未満であること
・対象者の年収が108万円以下(65歳未満の場合)、130万円以下(65歳以上の場合)であること
すべての条件を満たした場合に税法上も、健康保険も扶養とできますが、個別事情により金額が変わってくるため、健康保険の窓口や税務署に確認していただければと思います。
出典
(※1)国税庁「高齢者と税(年金と税)」
(※2)別居の場合は年収130万円未満かつ被保険者の仕送り額未満
執筆者:高畑智子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者
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