ふるさと納税の確定申告が簡略化されたってホント?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月10日 23時0分
テレビや雑誌の特集などで目にする機会が増えている「ふるさと納税」ですが、節税対策として利用する方も多いのではないでしょうか。手軽にふるさと納税や限度額シミュレーションができるサイトもあり、1年間で複数の寄付をする方も少なくありません。 申請方法については、制度開始から度々見直されており、その手軽さも人気の要因と考えられます。令和3年度分の確定申告からは、さらに申請が簡略化されます。確定申告不要の「ワンストップふるさと納税制度」とともに、改正点について紹介します。
「ふるさと納税」って?
ふるさと納税制度は、「地方の活性化」を目的に、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設されました。現在お住まいの自治体だけでなく、他の自治体を「寄付」により応援することができるのです。
寄付された資金は、子育てや教育、まちづくり、防災対策などに役立てられます。過疎化の進む地方都市などでは、ありがたい制度と言えます。その感謝の気持ちとして「返礼品」が納税者に届くしくみです。
寄付した金額から自己負担額(2000円)を控除した金額が、寄附金控除として所得税や住民税の税額計算の際に差し引かれます。計算の基礎となる金額が下がれば、その分の税負担が抑えられるため「節税」につながります。
令和2年に公表された自治税務局の「ふるさと納税に関する現況調査結果」(※1)によれば、制度が始まった平成20年度には5万件余りだった件数が令和元年度には2333万件に、受け入れ額実績は4875億円にも上っています。
ただ、利用したことのある方の多くがメリットを実感する一方で、「面倒くさい」、「よく分からない」という声があることも事実です。控除を受けるためには原則として、ふるさと納税を行った翌年に確定申告をする必要があるためです。
そこで手続きを簡素化するために、度々改正が行われてきました。
会社員なら「ワンストップ特例制度」の利用で確定申告は不要
給与収入のみの会社員であれば、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を利用することができます。
寄付をした自治体に申請書を送付することで、確定申告をすることなく、寄付先の自治体からお住まいの自治体に通知され、住民税の控除が受けられるというしくみです。「ワンストップ特例制度」の適用要件は、
(1)確定申告の必要のない給与所得者である
(2)ふるさと納税の寄付先が5団体以内である
上記のいずれにも該当する場合に限られます。
令和3年度分からの手続きの簡略化
適用できるのであれば「ワンストップ特例制度」の利用をおすすめしますが、寄付先が6団体以上になるケースもめずらしくありません。
また、医療費控除などで確定申告の必要がある場合は「ワンストップ特例制度」は使えないため、「寄附金控除」の申告をする必要があります。これまで、寄附金控除の適用を受けるためには、確定申告書に自治体が発行する「寄附金の受領書」の添付が必要とされていました。
それが、令和3年分の確定申告から、寄付ごとの「寄附金の受領書」に代えて、特定事業者が発行する年間寄付額などを記載した「寄附金控除に関する証明書」を添付することができるようになりました。
「寄附金控除に関する証明書」を活用した申告方法
「ふるさと納税」は、インターネット上のサイトから利用することが一般的です。それぞれのポータルサイトを運営する事業者(特定事業者)は、「寄附金控除に関する証明書」を発行することができます。
(1)寄付者の氏名や住所、(2)年間寄付額、(3)寄付番号、(4)寄付年月日、(5)寄付先の名称および法人番号など、必要な情報が記載されていますので、これを確定申告書に添付することで、合計額を計算する手間や受領書を複数枚添付する必要もなくなります。
ただ、証明書に記載されるのは、同一のポータルサイト(特定事業者)を利用した寄付についてのみです。多くのポータルサイトが存在していますが、申告の簡便性という点で、利用するサイトは統一しておくことをおすすめします。
なお、面倒なイメージのある確定申告ですが、国税庁の確定申告等作成コーナー(※3)では、分かりやすく作成を誘導してくれます。確定申告の方法は以下のようにいくつかありますが、自分にあった方法を選ぶとよいでしょう。
(1)確定申告書を書面で作成する場合には、証明書に記載されている合計額を転記し、証明書を添付して提出(郵送)します。
(2)特定事業者のポータルサイトからダウンロードした証明書データをe-Taxを活用して確定申告書に添付して送信する場合には、QRコード付証明書等作成システムで読み込むことが可能です。そのため、印刷する必要も、データを入力する必要もありません。
節税しつつ、社会貢献につなげたい「ふるさと納税」
ふるさと納税は、縁のある地域への応援、知らない地域への理解につながるとともに、税負担も軽減できる制度です。各自治体は魅力ある地域であることのアピールとともに将来に向けた投資も行うことが可能です。
自宅で返礼品を堪能する小さな寄付から始めて、いつかは実際に訪れてみることで本当の意味での応援になるかもしれませんね。
出典
(※1)自治税務局市町村税課(令和2年8月)「ふるさと納税に関する現況調査結果」
(※2)国税庁「国税庁長官が指定した特定事業者」(令和3年11月12日現在)
(※3)国税庁 確定申告書等作成コーナー
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
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