ジュニアNISAが廃止予定だけど、今から教育資金を貯めるなら何がおすすめですか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月10日 12時10分
「教育資金」「住宅資金」「老後資金」は人生の三大資金といわれます。その中で教育資金は、必要となる時期が明確であるのが特徴です。必要額を把握して、計画的に準備することが重要です。 教育資金の準備に使える制度であったジュニアNISAについては、2023年末で廃止となることが決定しました。今後、教育資金の準備はどのようなものがあるのでしょうか。 ただジュニアNISAも、まだ再検討する価値はあるようです。
教育費
教育費の準備のためには、まず教育費がどれくらいなのかを知ることが重要です。
【図表1】
保護者が支出した1年間・子ども1人当たりの学習費総額(円)
区分 | 幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
公立 | 私立 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 | 公立 | 私立 | |
学習費総額 | 22万3647 | 52万7916 | 32万1281 | 159万 8691 |
48万8397 | 140万 6433 |
45万7380 | 96万9911 |
うち学校 教育費 |
12万738 | 33万1378 | 6万3102 | 90万4164 | 13万8961 | 107万 1438 |
28万487 | 71万9051 |
うち学校 給食費 |
1万9014 | 3万880 | 4万3728 | 4万7638 | 4万2945 | 3731 | ― | ― |
うち学校外 活動費 |
8万3895 | 16万5658 | 21万4451 | 64万6889 | 30万6491 | 33万1264 | 17万6893 | 25万860 |
※文部科学省 「平成30年度子供の学習費調査の結果について」より筆者作成
幼稚園3歳から高校までの15年間の学習費総額は
●全て私立の場合=1830万円
●全て公立の場合=541万円
となります。
【図表2】
入学費用(万円)
高校 | 国公立大学 | 私立大学(文系) | 私立大学(理系) | |
---|---|---|---|---|
入学費用 | 35.0 | 67.2 | 81.8 | 88.8 |
学校納付金 | 14.2 | 28.6 | 40.6 | 46.6 |
受験費用 | 15.8 | 27.7 | 31.3 | 32.2 |
入学しなかった 学校への納付金 |
5.0 | 10.8 | 9.9 | 10.0 |
※株式会社日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」より筆者作成
【図表3】
大学の子ども1人当たりの在学費用(万円)
国公立大学 | 私立大学(文系) | 私立大学(理系) | |
---|---|---|---|
在学費用 | 103.5 | 152.0 | 183.2 |
学校教育費 | 96.6 | 145.2 | 172.4 |
家庭教育費 | 6.9 | 6.8 | 10.7 |
※株式会社日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」より筆者作成
これらを参考に、いつどれくらいの資金を用意するのかを検討します。
ジュニアNISA
子どもの口座を両親や祖父母が運用管理して、将来のための長期投資をするのがジュニアNISAです。
配当や譲渡益が非課税となりますが、原則として18歳(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)になるまで払い出しができないので、大学進学を考えた制度といえます。しかしこの、18歳まで払い出しができないというところが敬遠され、利用実績が伸びなかったことも廃止になった理由のようです。
しかし、廃止が決まったことで、2024年以降は払い出しの制限がなくなります。高校の進学資金として15歳で払い出すことも可能になります。現在利用していない方も、2023年までは口座を開設し新規に投資ができますので、利用を検討してもよいのではないでしょうか。
学資保険
教育費の準備として最初に考えるのが学資保険ではないでしょうか。
取扱会社により詳細は異なりますが、満期時や入学時などの特定の時期にお祝い金などを受け取れる貯蓄機能と、保護者の死亡保障や子どもの医療保障などの保障機能があります。
契約者の親に万が一のことがあった後は保険料を支払う必要がなく、契約どおりの満期金を受け取れるのが最大の特徴です。
加入の際は、加入済みの保険の内容を配慮することが重要です。また、貯蓄機能については、予定利率の低下により元本割れとなるケースもあります。
金融商品を利用
銀行や証券会社で一般の金融商品を利用して積み立てる方法もあります。教育資金は長期の運用ができますが、必要な時期が決まっていますので、リスクの大きい運用は慎重に考えるべきです。
児童手当を貯める
子育てのために中学校卒業まで支給されますので、これを教育費として貯蓄する方法があります。第3子の加算がない場合でも、1人当たりの総支給額は198万円になります。確実に受給できる現金ですから、教育資金の原資に向いているのではないでしょうか。
借り入れ
教育資金は必要な時期が決まっていますので、そのときに準備できなかった場合には借り入れを検討しなければなりません。その場合は、なるべく金利の低いものを利用するようにしましょう。
(1)奨学金
日本学生支援機構の奨学金には、給付型と貸与型(有利子・無利子)がありますが、有利子の場合でも固定方式0.265%、利率見直し方式0.003%と低く抑えられています。奨学金は、学生が借りるので、卒業後に子どもが返還することになります。
(2)国の教育ローン
保護者が教育資金を準備する方法としては、国の教育ローンがあります。固定金利のみで1.65%と民間金融機関より低くなっています。子ども1人当たり350万円まで借り入れが可能で、保護者の口座に一時金で入りますので、大学の入学費用に充てることもでき、使い勝手がよい資金となります。
人生の三大資金を考える場合は、長いスパンで計画が必要です。特に教育費は、必要な時期に準備できなければ意味がありません。
子どもが生まれたらライフプランやキャッシュフローを作成し、しっかりと計画を立てましょう。複数の方法を組み合わせて考えてみるのもよいでしょう。
出典
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
株式会社日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士
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