どんどん便利になっている、ふるさと納税の手続き。でも盲点はある。どんな点? 対処法は?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月16日 23時30分
ふるさと納税制度は「納税」と呼ばれますが、実は自治体への寄付です。利用する人には、寄付額から2000円を差し引いた額が所得税や住民税から控除(特例控除)されます。 所得等に応じた上限額内であれば、実質2000円の負担でさまざまなグルメや名産品などが手に入る。そんなおトク感がある制度ともいえます。
「寄付」なので、確定申告などの手続きが必要
2015年4月から控除上限の引き上げや確定申告不要なワンストップ特例(条件あり)が導入されていますが、2021年分の確定申告(今年・2022年に行う)から、手続きがさらに簡素化されました。
各自治体の発行する「寄附金受領証明書」をいちいち全部添付する代わりに、特定事業者(ふるさと納税のポータルサイト運営事業者のうち国税庁長官が指定した者)が発行する「寄附金控除に関する証明書」(年間寄付額を記載)の添付だけで済むのです。
ふるさと納税は寄付なので、寄付金控除のメリットを受けるには確定申告が必要です。それを一定の条件を満たせば不要にしたり、確定申告に添付する書類を簡素化したりと、手続きはどんどん便利になっています。
とはいえ、盲点はつきもの。その対処法と合わせて、2つピックアップしておきます。
1. ワンストップ特例が受けられなくなってしまった
ワンストップ特例を受けるためには、【図表1】の条件を全部満たすことが必要です。
便利な制度とはいえ、特例が受けられなくなるケースがかなり多い。とても要注意です。そんなとき、手続き書類提出期限後でもリカバリーできる手段があります。確定申告をすればよいのです。これで、提出済の特例申請書の各内容を1発で全部「上書き」できます。
自治体からの寄附金受領証明書がもしも一部紛失してしまっていても、今回の申告からは先述のように、特定事業者が発行する証明書で代用できます。国税庁ホームページでの確定申告手続きは意外と簡単ですし、スマホやマイナンバーカードを利用した確定申告手続きもやりやすくなっています。
この制度の条件(1)「ほかには確定申告が必要な事項がない」も、かなり要注意。確定申告をする場合には、ふるさと納税の寄付金控除も忘れずに申告しなければなりません。全部の特例申請書を期限までにキチンと提出していても、未手続き状態に「上書き」されてしまうのです。
2. 年末にした分の寄附金受領証明書が届かない
12月は、毎年ふるさと納税の最終月です。上限額の見込みラインまで、もう少し寄付できる。ボーナスが出たので、ふるさと納税をしようか。そんな動機によるかけ込みもありえます。
その場合、寄附金受領証明書はいつ頃届くのか。カード決済してから1週間たらずで到着する場合があるものの、自治体によっては、ポータルサイト運営事業者などの委託先から実際に入金されるまで証明書を発行しないところもあります。
例えば、12月にカード決済があった分は翌1月末に自治体へ入金され、2月になってから自治体が証明書を発送するといった具合です。
2022年の所得税等の確定申告期間は、2月16日から3月15日まで。上記でも不都合はないようにも思えます。しかし還付がある場合、年明け(実際には税務署が業務開始する1月4日)から確定申告ができます。
窓口が混雑する時期より前にさっさと確定申告してしまい、還付金も早く入金してもらいたい。こんなニーズに対して、年末にした分の寄附金受領証明書が届いていないため手続きできない事態もありえます。
先述の特定事業者が発行する証明書で代用はできます。しかし、2022年は発行開始が2月になる事業者もあります。次年からは分かりませんが、年明け早々の発行開始は期待できないかもしれません。
ふるさと納税のポータルサイトでは、各自治体の返礼品の商品説明と一緒に寄附金受領証明書発送の目安時期を表示しているケースも多く、事前確認ができます。目安時期の表示がない場合は、電話などで直接確認すればよいでしょう。
還付の確定申告を年明け早々にしてしまいたい。そうした希望がある場合に年末12月にふるさと納税をするときは、対応可能な自治体を選ぶことが対処ポイントです。
まとめ
コロナ禍によって在宅機会が格段に増えたことなども追い風となってか、2020年度のふるさと納税は受入額も受入件数も過去最高の数値を記録しました。
機会が多くなると、思わぬことが発生するケースも増えるでしょう。不測の場合に、今回の2点が役に立つかもしれません。
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
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