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株式や投資信託で源泉徴収された税金。「いいとこ取り」で取り戻せるかもしれない。どんな場合? どんなやり方で?

ファイナンシャルフィールド / 2022年2月17日 0時30分

株式や投資信託で源泉徴収された税金。「いいとこ取り」で取り戻せるかもしれない。どんな場合? どんなやり方で?

株式や投資信託で資産運用をするには、証券会社などの金融機関に口座を開設します。これを「特定口座」にしている人は多いでしょう。配当金や分配金をもらったり、売買をして利益や損失が出たり。その口座内での1年間のすべての動きや課税額が簡単に管理できます。   さらに「源泉徴収あり」にしておくと、源泉徴収で課税は完了するので確定申告する必要もありません。しかしこの状態でも、結果的に税金を取られすぎになっている場合があるのです。そんなとき「いいとこ取り」で取り戻せるかもしれません。

いいとこ取り(その1) 住民税だけ申告不要にする

株式の配当金や投資信託の普通分配金、また株式や投資信託を売却したときの利益に対して源泉徴収ありの場合、税率は所得税等(国税)「15.315%」(復興特別所得税0.315%を含む)、住民税(地方税)は「5%」です。源泉徴収ありの特定口座では、これで課税が完了したことになります。
 
ところで所得は10種類あり、株式の配当金などは「配当所得」、株式などの売却益は「譲渡所得」になります。所得ごとに課税方法が決まっていますが、

(1)総合課税
(2)申告分離課税
(3)申告不要制度
(4)源泉分離課税(確定申告できない)

のうち、株式の配当金などは(1)(2)(3)から、株式などの売却益は(2)(3)から、それぞれ納税者が選択できます。
 
ここで配当所得に関して、【図表1】をご覧ください。(1)の総合課税を選んだ場合、課税所得金額によって所得税率が変わります。配当所得をほかの所得に加算されても課税所得金額が低い場合には、(2)(3)の15%(所得税率のみ)は明らかに取られすぎ。(1)では配当控除も受けられ、所得税等の額が(2)(3)よりも低くなる可能性があります。
 

 
一方、住民税率が(2)(3)では5%で済むのに、(1)は10%に倍増です。住民税が増えると国民健康保険料等の負担も増額します。トータルでどちらがトクなのか、悩ましいところです。
 
しかし解決は簡単です。所得税等だけを確定申告して、住民税は源泉徴収のまま申告不要にする。つまり「いいとこ取り」をすればよいのです。このやり方は、2017年4月から制度として明確化(明文化)されています。
 
この場合、所得税等の確定申告と住民税申告の2つが必要になりますが、住民税のほうは「住民税では所得として申告しない」旨の簡単な申告書などを提出するだけです。
 

いいとこ取り(その2) 特定口座年間取引報告書をピックアップする

特定口座を持っていると、証券会社などから「特定口座年間取引報告書」が書類やネットデータで年明け1月に届きます。もしも複数の特定口座(源泉徴収あり)があって譲渡損と譲渡益が混在している場合、確定申告で還付を受けられることがあります。【図表2】のようなケースです。
 

 
まず3つの特定口座とも課税関係は完了しているので、それぞれこのままでもオーケーです。B銀行の損失がそのままではもったいないですが、3つの口座とも確定申告をすると課税所得が増えます。本人や家族について、扶養控除・配偶者控除・住宅ローン控除などが受けられなくなったりしないか、要注意です。
 
この場合、B銀行とC証券だけを確定申告すれば、C証券で源泉徴収されている税金が取り戻せ、しかも課税所得が増える心配もありません。源泉徴収あり特定口座の全部を確定申告の対象にする必要はなく、このように「いいとこ取り」で任意に選ぶことが可能です。
 

まとめ

証券会社などを複数利用していれば「特定口座年間取引報告書」もその分だけあり、それぞれの内容を反映させて確定申告するのは、何だかややこしくて面倒そうに思えます。
 
しかし、国税庁サイトの「確定申告書等作成コーナー」を使って画面案内に従えば、年間取引報告書が何枚かあってもシミュレーションは意外と簡単です。各特定口座を申告する場合としない場合や、申告する場合の課税方法(総合か申告分離か)での所得税等の額の違いも、手軽に試算できます。
 
その結果を見て、各特定口座を申告するかどうか、申告する場合どちらの課税方法にするかを決めればよいのです。
 
今年・2022年の所得税等の確定申告期間は、2月16日から3月15日まで。今回のような「いいとこ取り」は、手間を掛けるだけのメリット次第。実際に行うかどうかは、あくまでも人それぞれの判断と自己責任ですが、試算結果によってはトライしてみる価値はあると思います。
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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