つみたてNISAのメリット・デメリットは? 事前に押さえておきたいポイント
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月17日 10時20分
少子高齢化や平均寿命の延びに伴い、老後資金をどのように準備するのがよいのか迷っている人もいるでしょう。老後資金準備の1つの手段として、若い世代を中心に口座数が増えているのが「つみたてNISA」です。 金融庁の発表によりますと、2021年9月末時点のつみたてNISAの口座数は472万7455口座となっており、年代別では20歳代が20.1%、30歳代が28.4%、40歳代が24.6%と、20歳代から40歳代で口座数の7割以上を占めています。 これは、60歳代以降が口座数の5割以上を占める「一般NISA」とは全く異なる傾向です。 今回は、つみたてNISAを始めるに当たり、事前に知っておきたいメリット・デメリットについて紹介します。
つみたてNISAとは
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するため、2018年1月から始まった制度です。
少額からの投資を支援する制度として、2014年1月から少額投資非課税制度(NISA)が始まっていましたが、長期・積立・分散投資に特化した制度としてつみたてNISAが新たに設立され、従来のNISA(一般NISA)との選択制となっています。
つみたてNISAが一般NISAと異なる点としては、年間の非課税枠の金額が一般NISAの120万円に対して40万円と少なくなっている一方で、非課税期間が20年の長期に設定されていること(一般NISAは5年)、対象となる商品が一定の条件を満たす投資信託に限定されていること、購入方法が積み立てに限定されていることなどがあります。
つみたてNISAのメリット
つみたてNISAのメリットは大きく5つあります。
1つ目は、投資信託の運用利益(売却益や分配金)が非課税になることです。
投資で得た運用利益には、通常20.315%(復興特別所得税を含む)の税金がかかりますが、つみたてNISAでは非課税枠(上限は年40万円)で投資した分について、最長20年間が非課税となるメリットがあります。
2つ目は、少額からでも運用を始められることです。
投資というと、まとまった金額が必要なイメージがありますが、金融機関によっては最低投資金額が100円や1000円に設定されているケースもあり、試しに少額から始めることも可能です。
3つ目は、低コストで分散投資ができることです。
つみたてNISAの対象商品は、販売手数料が0円(ノーロード)であること、保有期間中にかかる手数料である信託報酬も一定基準以下の投資信託に限定されています。投資信託なので投資先を分散することができ、金融機関に支払うコストも抑えることができます。
4つ目は、タイミングを気にせず積み立てで投資できることです。
つみたてNISAでは、毎月(金融機関によっては毎週・毎日の設定も可能)といった購入の頻度と金額を設定して自動的に購入が行われますので、価格変動のタイミングを気にすることなく、手間なく投資を続けることができます。
5つ目は、途中で売却ができることです。
売却できる年齢や期間の制限がありませんので、例えば投資を続けられない状況となった場合などには、売却して現金化することもできます。
つみたてNISAのデメリット
一方で、つみたてNISAにもデメリットがあります
1つ目は、元本保証ではないことです。
つみたてNISAの対象は投資信託という価格が変動する商品ですので、価格が下がってしまった場合には、購入時の金額よりも少なくなる元本割れになる可能性があります。
2つ目は、投資対象が限定されていることです。
つみたてNISAの対象となる商品は、主に株式型とバランス型の投資信託となっているため、個別株式やREIT(不動産投資信託)、債券などは購入できません。また、つみたてNISAでは長期・積み立て・分散投資に適した商品に限定しているため、毎月分配型の投資信託も対象外となっています。
3つ目は、損失が発生したときに税制上の恩恵が受けられないことです。
金融商品の税制では、ある金融商品で損失が発生した場合に、他の金融商品の利益や利子・配当(同じ証券口座内だけでなく、他の証券口座の場合も含む)と相殺できる「損益通算」や、損失を翌年以降の最長3年間にわたり繰り越せる「繰越控除」という制度がありますが、つみたてNISAではこれらの制度を利用することができません。
4つ目は、購入方法が積み立てに限定されていることです。
まとめて購入する一括購入という方法には対応していないため、価格が下がったタイミングでまとめて買うことができません。
投資のスタートとして活用できる制度
つみたてNISAは、投資対象が限定され、購入方法が積み立てしかないなど、投資スタイルを1つの型にはめる制度ともとらえることができます。
ただし、少額から始められ、あらかじめ対象商品が絞られているので、投資スタイルや投資先の選択で迷う可能性が少ないともいえます。
投資利益が非課税になるメリットもあり、投資のスタートとして活用できる制度ではないでしょうか。
出典
金融庁 NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について
金融庁 つみたてNISAの概要
金融庁 つみたてNISA早わかりガイドブック
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
この記事に関連するニュース
-
将来に向けて月1万円ずつ貯金をしていたら、親に「NISAのほうがお得なんじゃない?」と言われました。普通に貯金するよりも、NISAのほうがお金が貯まるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月26日 9時10分
-
NISAの利用者が急増! 今から始めてもまだ間に合いますか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月26日 1時50分
-
「新NISAは長期・分散・積立」は勘違い…「オルカン」人気の陰で「成長投資枠」の買付額が圧倒的に多いワケ
プレジデントオンライン / 2024年7月22日 7時15分
-
【新NISA】まだ迷っている50代必見!2人に1人は加入している!?どんな制度なの?
ハルメク365 / 2024年7月21日 14時50分
-
NISAを始めた妻が『これからは投資の時代』と言うが、親に言われたとおり現金で貯金がいいですよね?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月12日 23時10分
ランキング
-
1円安と物価の背後に日銀が利上げを急いだ「もう一つの理由」 住宅ローン金利や為替相場の行方は?
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年8月4日 7時0分
-
2【BIC SIM】ギガプランの月額料金を6ヵ月間500円割引、店舗契約限定でビックポイント10,000ポイント還元・初月無料キャンペーンを実施
PR TIMES / 2024年8月1日 15時15分
-
3だから書類選考で落とされる…就活・転職で面接試験にたどり着けない人の残念な共通点
プレジデントオンライン / 2024年8月3日 9時15分
-
4松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
5国鉄の“やる気のなさ”が元!? 個室寝台「シングルデラックス」改良史 いまや特急「サンライズ」に残るのみ
乗りものニュース / 2024年8月4日 7時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください