最近よく聞く「リ・バース60」ってどんなもの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月18日 23時0分
「リ・バース60」とは、住宅金融支援機構が提供する満60歳以上の方を対象とした住宅ローンのことをいいます。 リ・バース60は、子どもが独立した住まいは夫婦2人だけでは広すぎるなどの理由で、住み換える住宅を購入したり、新たに建築、リフォームしたり、といった際に利用できます。 ここでは、その特徴やメリット、デメリットなどについて確認してみたいと思います。
リ・バース60とは
リ・バース60を実際に申し込む際には、よく知られている長期固定金利住宅ローン「フラット35」と同様に、取扱金融機関を通じて契約することになります。
そのため、金融機関によっては利用可能年齢や資金使途、融資限度額などの条件が異なりますので、詳細は金融機関ごとに確認する必要があります。
リ・バース60は、満60歳以上の方を対象とした住宅ローンですので、一般的には現役時代に比べて毎月安定した収入が無い方が利用することを前提とした商品です。その仕組みは以下のとおりです。
(1)毎月の支払いは利息分のみを負担する。
(2)元金については、契約者が亡くなったときに相続人が一括して返済するか、担保となっている住宅および土地を売却して返済する。
リ・バース60の取扱金融機関は、住宅金融支援機構との間で住宅融資保険契約を締結しているため、契約者の死亡時、相続人が一括で返済できないときには、元金の全額を保険金で受け取る仕組みとなっています。
これによって、金融機関も将来の担保価値の下落リスクなどを回避できるため、安定した住宅ローンサービスの提供を実現することができます。
ノンリコース型とリコース型
リ・バース60では、担保物件である住宅や土地を売却した後に残った債務の取り扱いについて、「ノンリコース型」と「リコース型」が用意されています。ノンリコース型とは、相続人が残った債務を返済する必要がなく、逆にリコース型は相続人が残った債務を返済する必要があります。
原則、ノンリコース型の方がリコース型に比べて金利が高く設定される傾向がありますが、住宅金融支援機構が公表している2020年度の申込件数の割合では、約99%の方がノンリコース型を選択しています。自分がつくった債務(借金)を、後世には残したくないとの心情の表れでしょうか?
また、リ・バース60を夫婦で連帯債務として契約した場合には、夫(主債務者)と妻(連帯債務者)が共に亡くなったときに元金の返済が必要となります。そのため、夫に先立たれた妻は、その後は毎月の利息分のみを負担することで自宅に住み続けることができます。
リ・バース60のメリット、デメリット
それでは、リ・バース60を利用する際の主なメリット、デメリットを確認してみましょう。
【主なメリット】
(1)高齢者でも借り入れできる
一般の住宅ローンについては、安定した収入の要件や加入可能年齢などの制限がありますが、リ・バース60は満60歳以上の方を対象としていますので、収入が公的年金のみでも利用できる場合があります。
(2)毎月の支払いは利息分のみ
毎月の支払いは利息分のみなので、住居のための支出負担を小さく抑えることができます。
(3)相続人に債務を残さない
前述のとおり、ノンリコース型の場合となりますが、相続人は残債務を負担する必要がありません。将来、担保不動産の価値が大幅に下落した場合でも、相続人に発生する突発的な負担を回避できます。
【主なデメリット】
(1)借入限度額は担保評価額の50%または60%
住宅金融支援機構によると、リ・バース60の借入限度額は担保評価額の50%または60%とのことです。仮に、リ・バース60を利用して住宅の購入や新築をする場合には、残りの40~50%の資金を用意する必要があります。
(2)生きている間に元金の返済が終わらない
前述のとおり、契約者が生きている間は毎月の支払いは利息分のみのため、途中で繰り上げ返済などをしない限り、元本は全く減少しません。長生きするほど利息分の支払いが増えるため、最終的な総支払額も大きくなることになります。
(3)金利変動リスク
一般的な住宅ローンなどと同様に変動金利の場合には、金利変動リスクがあることも理解しておく必要があります。
まとめ
自宅を担保に融資を受ける同じような制度で「リバースモーゲージ」がありますが、リ・バース60との主な違いは資金の使途にあります。
リバースモーゲージの場合は、一般的には使途の制限がなく、生活費や医療費、介護費などに広く利用することができますが、リ・バース60は住宅の購入、新築、リフォームなどの住宅関連に限定されます。
今後も高齢化や核家族化などの進展により、老後の住宅の在り方が問題となってくることでしょう。それらを資金面で解決する1つの選択肢として、リ・バース60の概要を理解しておきましょう。
出典
住宅金融支援機構 60歳からの住宅ローン 【リ・バース60】
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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