60歳になった親に伝えたい「今からできる年金の増やし方」
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月19日 0時0分
親が60歳になったとき、あとは悠々自適な老後を送ってほしいというのが子どもとして願うことです。しかし、生活をしていくためには、十分な資金が必要です。その老後資金で、柱と言えるのは貯金と年金です。貯金は長い時間をかけて蓄えていくべきものであり、老後から始めても間に合いません。一方で年金の場合は、60歳からでも増やせる方法があります。 今回は、60歳になった親に伝えたい「今からできる年金の増やし方」を解説します。
年金の繰下げ受給
年金は保険料の納付期間や年齢といった要件を満たせば、受給権を得られます。受給権を得た人は、規定の年齢に達した時点で年金を受け取れるようになるというのが基本的な年金受給の流れです。年金の受給額を増やしたいのであれば、受給開始時期を繰り下げるという方法があります。
受給開始時期を繰り下げることで、年金を増やせる理由は、繰り下げる期間に応じて受給額を増額できる仕組みがあるからです。年金の繰下げ受給は、1ヶ月単位で繰り下げることができ、繰り下げた月数に規定の増額率を乗算することで、加算される年金額を求められます。
日本の公的年金は、「2階建て」と表現されることがあるように、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)という2種類があります。年金の繰下げ受給をするときには、2種類の公的年金の受給開始時期を、同時・一方だけ繰り下げ・別々に繰り下げと変更することが可能です。
なお、年金の繰り下げ受給をすることで受給額が増やせますが、受給開始時期まで無収入で生活費が不足することもあるでしょう。貯蓄額を増やしたり、株や不動産などで得られる収入を用意したりと、受給開始時期まで生活を安定させるための準備を怠ってはいけません。
また、繰り下げてから受給者である親が亡くなるまでの期間が短ければ、受け取った年金の合計額が少なくなり損をする可能性もあります。その点を考慮に入れた上で、繰下げ受給をするかどうかの判断をした方がよいです。
国民年金基金に加入する
国民年金基金とは、厚生年金がない自営業やフリーランスといった国民年金の第一号被保険者になる人が、年金をより多く受け取れるようにするべく生まれた公的な制度です。国民年金の保険料と合わせて基金掛け金を納付することで、年金の受給額を増やせます。
以前は20歳以上60歳未満の人だけが加入できる制度でしたが、国民年金法が改正されたことで国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人でも加入できるようになりました。
国民年金基金は、口数制を採用しており口数と給付の型を自分で選べる仕組みです。基本的には、一度加入した後に任意で脱退する事はできず、加入資格を失ったとしてもすでに支払った掛け金を引き出すことはできません。増えた年金が支払われるのを待つだけです。
60歳以上の加入では、1口目は終身年金を選ぶことになっており、2口目からは終身年金に加えて受給期間が決まっている確定年金も選択肢の一つになります。
保証期間のある給付の型を選ぶと、年金受給前あるいは保証期間中に加入者が亡くなった場合、遺族に対して一時金が支給される仕組みです。その代わりに保証期間がある給付の方を選んだほうが、掛け金は高くなるので家族でよく話し合って決めましょう。
掛け金額は、加入口数・給付の型・性別で決定します。国民年金基金の掛け金は、所得税の社会保険料控除の対象です。掛け金を支払うことは経済的な負担を増やすことになりますが、将来的に年金を増やせる上に節税もできるというのが国民年金基金に加入するメリットです。
それに対して、受給額は口数と加入期間で決定します。60歳になった時点で加入をすれば年金の加算額は最大になるので、親に加入してもらいたいならば早めに伝えることをおすすめします。
60歳になった親を助けてあげよう
年金の繰下げ受給や国民年金基金を利用すれば、60歳からでも年金を増やすことはできます。しかし、そのためには、本人や委任状を持った代理人による手続きが必要です。年金事務所や市区町村が、勝手に手続きをしてくれる事はありません。「今からできる年金の増やし方」を60歳になった親が知らないのであれば、そのことで損をすることがないように詳しい情報を伝えてあげましょう。
出典
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢厚生年金の繰下げ受給
国民年金基金 60歳以上の加入について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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