「ねんきん定期便」に記載されない「加給年金」。一体どんな人がもらえる年金?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月20日 0時10分
年金は老後の生活を支える収入の大きな柱の一つです。 自分が将来どれくらいの年金額を受け取ることができるのかは、日本年金機構から定期的に送られてくる「ねんきん定期便」で確認することができますが、そこに記載されている受給見込額以外にも、実は受給資格を持つ人だけに支給される「加給年金」というものがあります。 「加給年金」とは一体どんなもので、どんな人がもらえるのか、確認していきましょう。
そもそも加給年金とはどんなもの?どんな人がもらえるの?
加給年金とは、年金を受給する本人が65歳になった時点で、扶養する家族がいる場合に支給される年金を言います。通常の年金額に上乗せして支給されることから、年金の「家族手当」と言われることもあります。
とはいえ、加給年金はすべての年金受給者に適応されるわけではありません。受給できるのは老齢厚生年金の受給資格がある人だけです。
さらに給付を受けるためには厚生年金保険の被保険者期間が240カ月以上(「中高齢の資格期間の短縮の特例」を受ける方であれば15年~19年)あることが必要となります。
加給年金を受けるためには、扶養する家族についても条件があります。この場合家族とは、生計を維持している65歳未満の配偶者、または18歳到達年度の末日までの子(または1級・2級の障害がある20歳未満の子)を指します。
加えて配偶者と子どもの収入は、共に年収850万円未満または所得が655万5000円未満でなくてはなりません。
扶養する家族の年齢と収入について、これらの要件が満たされていなければ、仮に65歳時点で240カ月の被保険者期間を満たしていたとしても、加給年金は受け取れなくなってしまうという点に留意する必要があります。
加給年金はいくらもらえる?
令和3年度の加給年金は、配偶者がいる場合には22万4700円が加算されます。子どもの場合では1人目、2人目については各22万4700円が、3人目以降については各7万4900円が加算されます。
さらに配偶者特別加算といって、厚生年金を受けている受給権者本人の年齢に従って配偶者の加給金額が加算されるという仕組みもあります。
これは昭和9年4月2日生まれから昭和18年4月2日生まれ以降まで、受給権者の生まれ年を5段階に分け、段階ごとに3万3200円から16万5800円を上乗せするというものです。
例えば昭和18年4月2日以降に生まれた受給権者には16万5800円が特別加算されますので、配偶者の加給年金22万4700円と合計して39万500円を受け取ることになります。
加給年金の手続き方法は?
加給年金は、加算開始日が属する月の翌月分から受け取ることができます。例えば1月に65歳になった場合は2月分の年金から加給年金の加算が開始されることになり、2月・3月分を次の支給月の4月に受け取ることになるというわけです。
とはいえ、加給年金は自動的に支給が始まるわけではなく、受給するためには事前に手続きをする必要があります。手続きとしては、まず申請書類を用意し、これを最寄りの年金事務所か年金相談センターに持参するという流れになります。
必要な申請書類は4種類。まず「老齢厚生年金・退職共済年金加給年金額加算開始事由該当届」ですが、これは日本年金機構公式ホームページからダウンロードできます。
次に「受給権者の戸籍抄本または戸籍謄本」と「世帯全員の住民票の写し(続柄・筆頭者が記載されているもの)」ですが、これには加算開始日以降に発行され、しかも書類提出日の6カ月以内のものという条件がつきます。
あと一つは配偶者や子どもがそれぞれの受給要件を満たしているかどうかを確認するための「所得証明書か非課税証明書」となります。
申請手続き後に、日本年金機構から手続きのお知らせが届きますので、同封されている返信用はがきに必要事項を記入して返送すれば、すべての手続きは完了します。
加給年金、受給要件を確認し忘れずに申請を
「ねんきん定期便」には記載のない加給年金ですが、厚生年金の加入者であれば誰でも受給できるチャンスがあります。しかし受給するためにはクリアしなければならない一定の条件もあります。
支給される金額も決して少額ではありませんので、受給条件を満たしているのかどうかを事前にしっかり確認し、該当していれば忘れずに申請するようにしましょう。
出典
日本年金機構 年金Q&A (年金の見込み額)
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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