年金を68歳で受給開始すると65歳のときより何%アップする?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月20日 23時0分
65歳になると年金の受給を開始できますが、受給時期を65歳以降に遅らせることも可能です。これによって年金受給額を増額させることができます。しかし、この制度をよく理解しないままに利用すると、思わぬ損をしてしまう場合があるので注意が必要です。 以下では、68歳に年金受給時期を繰り下げたケースを例に年金繰り下げを解説します。年金繰り下げ受給を検討する際の判断材料にしてみてはいかがでしょうか。
年金繰り下げとは
年金繰り下げとは、年金の受給開始時期を65歳以降に遅らせる制度のことを指します。繰り下げができる期間は70歳(60カ月)までです。
なお、2022年の4月1日以降に60歳となる方は、75歳(120カ月)まで繰下げが可能です。繰り下げ受給すると繰り下げた期間の長さに応じて年金受給額が増額します。その増加率は繰り下げ1カ月あたり0.7%です。繰り下げができる公的年金は、老齢基礎年金および老齢厚生年金です。
年金繰り下げの注意点
年金が増額するなら年金繰り下げした方がお得に感じるでしょう。しかし繰り下げにはデメリットも存在します。主な注意点を3つ紹介します。
繰り下げによって増額するのは年金受給額だけではありません。年金受給額が増額すると、住民税や社会保険料の支払額も増額します。そのため、繰り下げをしても予定していたよりも手取りが増えない場合があるので注意してください。
年金には家族手当のような制度である「加給年金」というものが存在しています。これは世帯主となる厚生年金保険の被保険者が65歳になった時点から給付されますが、年金繰り下げをするとその期間は加給年金の受給ができません。
年金繰り下げは高齢基礎年金と高齢厚生年金のどちらか一方だけの繰り下げはできません。両方とも繰り下げる必要があるので気を付けなければなりません。また、企業年金や厚生年金基金に加入している場合には、それらも合わせて繰り下げしなければなりません。
年金の受給を68歳で開始した場合
では、65歳で受け取る年金を36カ月間繰り下げて、68歳から受給を開始するケースを考えてみましょう。例えば、夫の老齢基礎年金が月額10万円、老齢厚生年金が月額8万円、妻の老齢基礎年金が月額6万円の場合、年額では288万円の年金を受給していることになります。
これを68歳に年金を繰り下げすると、「36カ月×0.7%」分、年金が増額します。増額率は25.2%です。夫の老齢基礎年金は12万5200円、老齢厚生年金は10万160円になります。
この場合の妻の老齢基礎年金は7万5120円です。年額では288万円から360万5760円となり、72万5760円の増額となります。
68歳での年金受給はお得なのか?
68歳での年金繰り下げと、65歳からの年金受給では、どちらの方がお得なのでしょうか。年金の受給総額を比較すると、65歳受給と繰り下げ受給では、その額面が逆転する時期があります。
この時期は「損益分岐点」と呼ばれており、年金の繰り下げがお得かどうかを判断するよい材料となります。例えば、66歳まで年金繰り下げをしたなら、その年金の増加率は8.4%です。
このケースでは、65歳から年金受給を開始した場合の年金受給総額を、77歳の時点で追い抜きます。そのため、損益分岐点は77歳であるとわかります。67歳まで繰り下げた場合では損益分岐点は78歳、68歳では79歳、69歳では80歳です。
つまりは、年金繰り下げは長生きをするほどお特になるといえます。対して、あまり長生きできなかった場合は、繰り下げで損をしてしまうといえるでしょう。
なお、自分が将来いくら年金を受給できるのかは「年金事務所」で計算してもらえます。年金をどの時期に受給するべきかの参考にするとよいでしょう。
年金繰下げは慎重に判断しよう
近年では、働き方やライフスタイルの変化から、年金受給の方法にも多様な選択肢が求められるようになりました。その中で生まれた年金繰り下げの制度は、使い方を誤ると大きな損をしてしまうかもしれません。
68歳に繰り下げをした場合には、年金受給額が25.2%増加し、その損益分岐点は79歳となります。自分の将来の姿や寿命を想定するのは簡単ではありませんが、後に後悔することのないように慎重に判断するように心がけましょう。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢厚生年金の繰下げ受給
厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律参考資料集(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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