年金の繰り下げ受給75歳まで可能に。そのメリットとデメリットって?
ファイナンシャルフィールド / 2022年2月21日 0時10分
2022年4月から、年金の繰り下げ受給年齢の上限が延長されることになりました。 今までは通常65歳からもらえる年金を、70歳までしか繰り下げられませんでしたが、75歳まで繰り下げることができるようになります。 ではこの繰り下げ受給の上限延長には、どのようなメリットとデメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
メリット[1] もらえる年金額が増える
年金の繰下げ受給を75歳にする最大のメリットは、年金受給額が大幅に増額されるという点です。
もらえる額は最大で約85%近く増えるので、75歳まで引き下げることで経済的にはかなり恩恵を受けられます。そのため、特にもらえる年金額が少ない人や、できるだけ長く働こうと考えている人には向いています。
例えば、体がまだ動く74歳まではがんばって働いて、75歳以降の老後はたくさんもらえる年金で、のんびりと豊かな生活を送るというライフプランを考えている人には、まさにうってつけです。
メリット[2] 生きている限り増額した金額をもらい続けることができる
公的老齢年金は、一度受給し始めたら生きている限りずっともらえる終身制です。つまり、増額した金額を生きている限りもらい続けられるので、長く生きれば生きるほど、もらえる総額は増えるということです。
しかしどの年齢で繰下げ受給しても、元が取れるまで11年程度かかります。そのため、平均寿命が長い女性の方が向いているといえるかもしれません。
また普段から健康に気を付けていて、お酒も飲まずタバコも吸わず、適度に運動するなど、体を健康に保っている人や、自分の体に自信があり、80歳90歳と長生きできるという自信がある人にも向いているでしょう。
逆に、普段から不摂生をしている人や病気がちな人で、自分はあまり長生きできないだろうと考えている人は、受給年齢を引き上げて60歳からもらった方がよいかもしれません。
デメリット[1] 長生きできなかったら少ししかもらえない
受給年齢を75歳まで引き下げれば、もらえる年金額も大幅に増額します。
しかし長生きできなかった場合、年金を受給できる期間が短くなってしまい、結果的に60歳や65歳、70歳から年金を受給していたケースよりも、総受給額が減ってしまう恐れがあります。
最悪なのは、75歳になる前に亡くなってしまう場合です。そうなるとせっかく期待して先延ばししていた年金も、もらえなくなってしまいます。
そのため、75歳からにすればたくさんもらえるから、と欲張らず、自分の健康状態を考えながら、何歳からもらうようにすれば一番得するかを考えて、受給年齢を決めるとよいでしょう。
デメリット[2] 加給年金がもらえなくなる恐れや、税金の負担が増えてしまう
加給年金がもらえなくなる可能性があるというのも、デメリットの1つです。
加給年金とは厚生年金に20年以上加入していた人で、扶養家族として65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合にもらえる、扶養手当のようなものです。
75歳まで年金の繰下げ受給を行った結果、本来であればもらえる加給年金の期間が過ぎてしまい、もらえなくなってしまうケースも十分あり得ます。そうなってしまっては本末転倒です。
しかも加給年金は受給年齢を繰り下げても増額対象にはなりません。そのため、75歳まで受給年齢を繰り下げようと考えている人は注意が必要です。
また、税負担が増える恐れがあるというデメリットもあります。
確かに、年金受給年齢を繰り下げることでもらえる額は増えます。しかしそれによって所得税や住民税、社会保険料の負担が増えてしまう恐れがあるので注意が必要です。
なぜなら所得税や住民税、社会保険料といった税金は、受給される年金から天引きされるからです。そのため、受給年齢を75歳まで引き下げた場合、実際の手取り金額はいくらくらいになるかということも、事前に調べておくようにしましょう。
年金の受給年齢を75歳まで引き下げる場合、メリットとデメリットを見極め、一番得する受給年齢を決めるべき
年金の受給年齢を75歳まで引き下げる場合、もらえる額が増え、増えた受給額を生きている限りもらい続けられるため、長生きすればするほど得というメリットがあります。
一方、長生きしなかったら逆にもらえる額は少なくなりますし、加給年金がもらえなくなる恐れもあります。
さらに、所得税や住民税、社会保険料といった税金負担が増える等のデメリットもあるため、メリットとデメリットを見極めて、適切な受給年齢を決めることが重要です。
出典
年金の受給開始を70歳にしたとき、遅らせた5年分は何歳で取り戻せる?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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