単純移動平均線(SMA)でみる、日経平均株価指数のトレンドの簡単な見方
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月2日 9時10分
前回は、単純移動平均線(SMA:Simple Moving Average)における日数の設定についてお伝えしました。 日足チャートでみる場合、5日、7日、9日、10日、15日、20日、50日、75日、90日、100日、200日……など、日数によって使い分けていくことになりますが、この違いは投資期間の長さにあります。例えば、5日の単純移動平均線ならおおむね1週間、15日なら2週間といった期間です。 日数が長くなれば長くなるほど投資期間は長くなりますが、50日単純移動平均線と200日単純移動平均線の場合、前者がおおむね2ヶ月半、後者がおおむね10ヶ月といった比較的長い期間で投資していくような捉え方をしていきます。 今回は、実際のチャートで単純移動平均線について確認していきますが、中・長期のトレンドをより重視しやすい50日と200日を用いながら、みていくことにしましょう。
単純移動平均線(50日・200日)を用いた循環軌道(トレンド)の捉え方
図表1のチャートは、2022年2月16日時点の日経平均株価指数における日足チャートですが、投資への理解を深めるためにTradingViewというテクニカルチャートを使用しています。時期としてはアベノミクスが始まった後、コロナショックから回復して現在に至るといったところでしょうか。
黒色の線が実際の日経平均株価指数、紫色の線が50日単純移動平均線、紺色の線が200日単純移動平均線です。
【図表1 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
以前、単純移動平均線の捉え方として「循環軌道」についてお伝えしました。これは、簡単にいうと、トレンドのことです。
日経平均株価指数の推移と、50日単純移動平均線における循環軌道、200日単純移動平均における循環軌道を比較すると、日経平均株価指数の方が、おおむね2つの単純移動平均線の循環軌道よりも上にあることが分かります。
つまり、過去50日と過去200日の日経平均株価指数の平均的な動きは、トレンドとしては上昇傾向にあったということを示しています。
これとは逆に、日経平均株価指数の調整局面(下降局面やもみ合い局面)では、50日単純移動平均線、200日単純移動平均線ともに、日経平均株価指数の下にくる場面がありました。
例えば、2015年、2016年のアメリカにおけるFRB(連邦準備制度理事会)によるテーパリング(金融緩和解除に向けた動き)やFFレート(フェデラル・ファンド・レート)の引き上げ開始局面、2020年に起こったコロナショックにおける株価の急落局面です。
このように、実際の株価が単純移動平均線を上回っているような状況にあるときは、循環軌道としてのトレンドは上向きである、反対に実際の株価が単純移動平均線を下回っているような状況にあるときは、循環軌道としてのトレンドは下向きであると捉えることができます。
コロナショック後の日経平均株価指数のトレンド
それでは、前述のチャートをもう少し拡大し、コロナショック後の上昇相場について循環軌道(トレンド)を確認してみましょう。
図表2のチャートは、日経平均株価指数におけるコロナショック後の、いわゆる戻り相場です。日経平均株価指数は2021年2月以来、ほぼ横ばいのようにみえますが、少し右肩下がりになりつつあることが分かります。
【図表2 日経平均株価指数(日足)】
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
2021年2月以降の日経平均株価指数の動きを50日単純移動平均線、200日単純移動平均線と比べてみると、日経平均株価指数はおおむね、これらの単純移動平均線の下にきていることが分かります。
つまり、循環軌道(トレンド)としては下向きになってきた可能性をみておく必要があるかもしれません。
まとめ
今回は、実際の日経平均株価指数のチャートを用い、50日単純移動平均線と200日単純移動平均線がどのような循環軌道(トレンド)を描いているのかをみてきました。
株価がおおむね上昇相場にあるとき、株価は単純移動平均線の上にある、逆に株価がおおむね下落相場にあるときは、株価は単純移動平均線の下にあるといった傾向が確認できました。
次回は、これをもう少し補強する考え方として、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」についてお伝えしていきたいと思います。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
この記事に関連するニュース
-
日経平均 史上初の4万2000円台も、2024年最大の下落幅を記録…激動の7月を振り返る
MONEYPLUS / 2024年8月2日 7時30分
-
[今週の日経平均]日経平均乱高下!今週は正念場!日本株は「相場視点の時間軸」に注意
トウシル / 2024年7月29日 12時15分
-
米国株式に波乱相場?長期積み立て投資の意義を検証する(香川睦)
トウシル / 2024年7月26日 7時0分
-
[今週の日経平均と株式市場]バイデン撤退で荒れる米国市場、「カオス」相場の乗り切り方
トウシル / 2024年7月22日 12時0分
-
[今週の日経平均]最高値更新!日経平均とTOPIXはどこまで上を目指せる?~「相場の勢い」と「買い材料」~
トウシル / 2024年7月8日 13時4分
ランキング
-
1大雨被害なかった鶴岡の主要4温泉、宿泊キャンセル831件…観光客の「庄内離れ」影響か
読売新聞 / 2024年8月4日 12時25分
-
2松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
3高級ブランド、世界で苦戦でも日本は活況 円安でインバウンド殺到 中国人が牽引
産経ニュース / 2024年8月4日 17時0分
-
4タピオカブームが終わった今、「ゴンチャ」が新潟県に一店舗だけ出店したワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月1日 8時10分
-
5京阪神を爆速で結ぶ…あの無双の新快速にも「苦戦」の時代があった 不動の地位を築いたのは「民営化後」
まいどなニュース / 2024年8月4日 12時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください