令和4年4月から年金手帳が廃止! 必要になる手続きはある?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月3日 0時0分
![令和4年4月から年金手帳が廃止! 必要になる手続きはある?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_131340_0-small.jpg)
日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金に加入することが義務付けられています。20歳の誕生日を過ぎると間もなく、日本年金機構より「年金手帳」が送付されてきます。 また、20歳未満でも、就職して厚生年金被保険者となる場合は会社経由で「年金手帳」を受け取ります。年金手帳は、公的年金の加入者であることの証しであるとともに、将来受給するための大切な情報が記載されていますが、2022年4月1日より年金手帳の新たな発行が廃止されることになりました。 今回は「年金手帳」にまつわる公的年金の変遷とともに、これからに注目してみましょう。
支給された年代によって異なる「年金手帳」
「年金手帳」は、支給された年代によって表紙の色が異なります。
![](https://financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2022/03/75e53d4448e1e2458319d198b7c42715.jpg)
出典:日本年金機構ホームページより
(1)茶色の国民年金手帳
1961年(昭和35年)から1974年(昭和49年)10月に国民年金に加入した人には茶色の「国民年金手帳」、厚生年金加入者には「厚生年金被保険被保険者証」など加入する年金制度ごとに別々に存在していました。
(2)オレンジの年金手帳
1974年(昭和49年)11月以降1997年(平成8年)12月までの加入者は、オレンジ色の年金手帳を所有しています。退職や転職で年金の種類が変更になる場合でも新たに手帳を発行する必要がなく、国民年金と厚生年金が1冊で管理できるようになりました。
1986年(昭和61年)に国民年金に厚生年金が上乗せとなる2階建ての制度が確立しましたが、当時はそれぞれ異なる番号で年金加入記録が管理されていました。それが、1997年(平成9年)に公的年金制度で共通の「基礎年金番号」として統合されました。
「年金記録問題」と言われる転記ミスや転送ミス、所在不明などが原因で約5000万件もの統合されていない記録の存在が明らかとなったのは、この時の混乱によるものです。
(3)青色の年金手帳
1997年(平成9年)1月以降に被保険者資格を取得した方は、青色の年金手帳です。すべての公的年金に対応する「基礎年金番号」が記載されています。なお、2010年(平成22年)1月の組織変更により、それ以前の発行であれば社会保険庁、以降であれば発行者は日本年金機構と表紙に印字されています。
年金手帳から基礎年金番号通知書へ
年金手帳は、公的年金の加入者であることの証しであるとともに、基礎年金番号の本人通知という機能を果たしてきました。しかし、情報はすでにオンラインで管理されており、こうした環境の変化を踏まえ、簡素化や効率化等を図るため、年金手帳の「手帳」という形式や役割を見直すこととなりました。
また、2015年10月以降、日本に住民票を有するすべての人が固有の12桁の番号をもつ「マイナンバー制度」が導入されています。マイナンバーは、公的年金制度だけでなく、社会保障、税、災害対策といったそれぞれの分野で別々に管理されてきた個人の情報を一元化することで横断的に効率的に個人の特定を可能にします。
これまでは多くの手続きにおいて年金手帳を提出する必要がありました。就職・転職時には、会社から「年金手帳」を持参するよう言われることがあります。「あの青い(オレンジの)手帳ね……」と思いつつ、慌てて探す経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
社会保険の加入手続きをするためには、年金手帳に記載されている「基礎年金番号」が必要なためです。ただし、実際には、年金手帳がなくても、基礎年金番号が分かれば問題ありませんし、マイナンバーでも構いません。
年金手帳廃止後の手続きは?
2022年4月1日以降に新たに国民年金や厚生年金保険に加入する人には、年金手帳ではなく「基礎年金番号通知書」が送付されることとなります。年金手帳を保有している場合には、基礎年金番号を明らかにするものとして引き続き使用できます。
ただし、紛失・毀損(きそん)しても年金手帳は再交付されず、基礎年金番号通知書が交付されることになります。つまり、これまでの「年金手帳」が簡易な通知書に代わると考えてよいでしょう。特に必要な手続きはありません。
入社・転職等の資格取得(変更)、保険料免除や猶予の申請、年金の裁定請求や支給停止解除等の申請、住所や氏名等の資格者情報の変更などの場合の届け出は、年金手帳もしくは基礎年金番号通知書等を提出するとされていますが、マイナンバー等で省略することも可能です。
年金手帳の役割は薄れ、新たな発行が廃止されることは決定しましたが、不要となる訳ではありません。これまで通り、大切に保管しておくようにしましょう。
まとめ
年金手帳の歴史をふりかえると、公的年金制度の変遷とともに、加入者の把握や手続きの煩雑さが時代とともに整備されつつあることが分かります。個人情報が一元管理されることで、不安や懐疑心を抱く場面も見受けられますが、手続きにおける申請書類の省略や時間の短縮などメリットも多いでしょう。
何より、スマホ等で「ねんきんネット」や「マイナポータル」にアクセスすることで、自分自身の情報を確認できるのは、将来のライフプランを考えるツールとして有効です。年金手帳の新たな発行の廃止は、情報のデジタル化の流れとして理解するとともに、情報をうまく活用していきたいですね。
出典
日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士
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