株式投資を始めてみたいけど、怖くないの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月3日 1時0分
今年こそ株式投資を始めたい! そんな相談を受けることがあります。ですが、実際には怖くてためらっている人もいらっしゃいます。 始めるにあたり、投資との向き合い方など、超初心者に向けての第一歩を解説します。
どうして“株式投資は怖い”と思うのか
「投資を始めたいので、いろいろ教えてください」。これは旧知の友人からの相談でした。
投資対象は不動産や金(ゴールド)などもろもろありますが、それらに比べて身近な存在となるのが、株式投資かもしれません。彼女の相談も株式投資に関することでした。
彼女以外にも数人から同様の相談がありました。「株主優待や配当をもらいたい」という理由で始めたい人もいますが、今回は「まわりに株式投資を始めた人がいるので、自分も乗り遅れたくない。やはり運用して資産を増やす必要はあると思うけれど、何から始めたらよいか分からない」という人に向けての話です。
「老後資金は公的年金だけでは足りないので、不足分は自助努力で補ってください。そのためにiDeCoやつみたてNISAを利用ください。税制優遇などの特典がありますので活用することがお勧めです」。
要約すると、国からのこのような推奨もあり、投資に関心を持つ人が増えてきました。実際に制度の利用者も大きく増加しています。
金融庁の「NISA口座の利用状況調査(2021年6月末時点)(※)」によると、つみたてNISAの口座数をみると、2021年3月末に比べて6月末時点では15.5%も増加しています。
目的は資産形成……つまり資産を増やすことですが、100%安全な投資はありませんので、リスクはつきものです。一時的に資産がマイナスになってしまう覚悟は必要です。
ためらっている人にとっては、そこが“怖い”の要因です。いずれの制度も、長期・積立・分散投資ができるように設計されていますので、初心者でも大きく失敗する心配は少ないといえます。
「本当にそんなこといえるのか?」ということを考えるために、逆からアプローチしてみます。つまり“大きく失敗した例”の検証です。
(1)短期間で大きなリターンを得ようとして失敗。最初はもうかっていたので投資金額を増やしたら、株価が下落して資産がどんどん減ってしまった。耐えられなくなって売却して大きな損失となった。
(2)定期預金が満期になったので、それを原資に投資信託に投資。投資信託なので分散投資したつもりだったが、購入時期のタイミングが悪く、ズルズルと資産は目減りして塩漬け状態になってしまった。
(3)誰もが知る企業なら安心だと思い、株式投資を始めた。コロナの影響で業績が悪化し株価が大きく下がった。収束がみえないので、手放す時期を悩んでいる。
このような話を聞くと、「やっぱり株式投資は怖い」と思わざるを得ません。
つみたてNISAが支持される理由
「長期・積立・分散」この3つの言葉を聞いたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。株式投資をする上で、大事なキーワードです。
前出の3つの失敗は“失敗あるある”の典型例ですが、このキーワードを守っていればリスクは抑えられたはずです。
筆者は、初心者の方にはつみたてNISAをお勧めしています。
そもそも投資信託は、複数の個別銘柄を大きな袋にパッケージしたものです。個別銘柄の単品では、その企業の業績が悪化した場合に被る影響は甚大です。投資対象を複数の企業に広げることでリスクを減らしたいところですが、複数の企業に投資するためには資金が必要です。
そこで味方になるのが投資信託です。大きな袋の中にパッケージされた中の1つの調子が悪くても、被害は少なく抑えられます。失敗例(3)は回避できます。
投資信託を使えば銘柄の分散投資はできるのですが、「いつ買うか?」という時間の分散も必要です。
株価は上下しますので、買うタイミングも考慮しなければなりません。失敗例(2)にならないように、時期を分散するための手法として積み立てがあります。
株価の動きを観察し安く買う時期を探ること、これはプロでもなかなか難しいです。その時期を見つけて大金を注ぎ込むやり方ではなく、少額でコツコツと積み立てるほうが安心です。
こうした手法は長期スパンでの資産形成に向いています。短期間で多くのリターンを目指す、失敗例(1)とは違うやり方です。半年や1年では成果が実感できないかもしれませんが、“継続は力なり”の気持ちで構えることで、大きな成果が得られるかもしれません。
怖がらず、少額から始めてリスクに慣れる
実は、つみたてNISAをお勧めする理由はほかにもいろいろあるのですが、リスクを抑える3要素“長期・積立・分散”が取り入れられていることは、ご理解いただけたと思います。
株式投資を始めるにあたり、最後にもっとも注意してほしいことがあります。株価は上下動しますので、余裕資金で行うことです。3ヶ月後に使う予定の資金で投資してしまうと、3ヶ月後に資産が目減りしている危険があります。欲張らず、少額で始めてリスクに慣れることが肝心です。
出典
(※)金融庁 NISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
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