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税金のフシギ。医療費控除で住民税も安くなる理由って?

ファイナンシャルフィールド / 2022年3月13日 23時0分

税金のフシギ。医療費控除で住民税も安くなる理由って?

病気やけがによる入院や通院で多くの医療費を払ったとき、医療費控除を受けられる場合があります。確定申告で医療費控除の適用を申請して、所得税の還付を受けたことがある人もいるでしょう。   医療費控除を受けた場合、翌年の住民税についても税額が少なくなりますが、還付ではないために気付いていないケースも少なくありません。今回は、住民税での医療費控除の仕組みについて紹介します。

住民税とは

住民税とは、地域住民に必要な行政サービスを提供するため、その地域に住む人々に課す税金です。日頃利用している公共施設、上下水道、ゴミ処理、保育所や学校などの行政サービスに、私たちが納めた住民税が使われています。
 
住民税には、区市町村民税と都道府県民税の2つがありますが、実際には区市町村にまとめて納めます。都道府県民税は、区市町村から都道府県に払い込む形になっています。
 
住民税の納付方法は、区市町村から発行される納付書を使って納める普通徴収と、給料や年金などから天引きで納める特別徴収があります。
 

住民税の税額

住民税には、所得に応じて負担する税額が変わる「所得割」と、所得にかかわらず一定額の「均等割」があります。それ以外にも、一定の株式などによる利益について課税されるもの(利子割、配当割、株式等譲渡所得割)もあります。
 
所得割は、所得に対して一律10%の税率となっています。10%の内訳は、区市町村民税が6%、都道府県民税が4%(指定都市の場合は市民税8%、道府県民税2%)です。住民税の税率は一定なのが特徴で、所得税のように所得が増えるほど税率が上がる仕組みとは異なります。
 
一方、均等割は定額で5000円(区市町村民税3500円、都道府県民税1500円)と定められています。ただし、現在の税額は東日本大震災を機に2014年度から2023年度までの10年間、増額されている金額であり、本来は4000円(区市町村民税3000円、都道府県民税1000円)です。
 

税額の計算

住民税の税額は次の3段階で計算します。
 
(1)年間の所得金額から所得控除額を引き、課税対象となる所得金額を求めます。
(所得金額)-(所得控除額)=(課税所得金額)
 
(2)課税所得金額に税率10%をかけた後、税額控除額を引き、所得割額を求めます。
(課税所得金額)×(税率10%)-(税額控除額)=所得割額
 
(3)所得割額と均等割額を足して、住民税の税額を求めます。
(所得割額)+(均等割額5000円)=(住民税の税額)
 
住民税の計算に使用される課税所得は、前年の1月1日~12月31日までの1年間の所得が対象となります。例えば、2021年1月1日~201年12月31までの所得をベースに2022年の住民税の税額が決まるため、課税所得が多かった年については、翌年の住民税が高くなるので注意が必要です。
 

医療費控除は所得控除のひとつ

住民税の税額の計算に出てくる所得控除は、扶養している親族の人数や、病気や災害の出費など、個人的な事情を考慮して負担を求めるために設けられているもので、全部で14種類あります。
 
医療費控除は所得控除のひとつで、所得控除額は次の方法で計算します。
 
(年間で支払った医療費)-(総所得金額等の5%または10万円の少ない方のいずれか)
※年間の総所得金額等が200万円未満の場合、その5%
 
支払った医療費は、保険金などで補填(ほてん)された分を除いた金額で、控除額は最大200万円となっています。
 
一般的に所得が200万円以上あり、医療費を10万円以上支払った場合、医療費控除を申告すると所得税と同じように住民税でも控除が受けられる仕組みです。
 
また、医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)があり、所得控除額は次の方法で計算します。
 
(年間の一定のスイッチOTC医薬品の購入費)-1万2000円
 
こちらの控除額は最大8万8000円で、上記の医療費控除と選択制になっています。
 
なお、セルフメディケーション税制では、対象医薬品の範囲が決められていることや、健康の保持増進および病気の予防のための一定の取り組みを行っている証明が必要になることに注意しましょう。
 

まとめ

医療費控除で住民税が安くなるのは、住民税の所得控除にも医療費控除があるためです。
 
確定申告を行うと、その内容を基に区市町村で住民税の税額が計算される仕組みとなっているので、住民税について追加の手続きは不要です。確定申告で医療費控除を申請した場合、所得税だけでなく住民税でも医療費控除が受けられると考えていいでしょう。
 
住民税に関する詳細は、それぞれお住まいの区市町村にご確認ください。
 
出典
総務省 個人住民税
財務省 身近な税 Q&A ~身近な税について調べる~
東京都主税局 個人住民税
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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