北欧の税金はなぜ高い?日本の税制との違いとは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月15日 23時40分
![北欧の税金はなぜ高い?日本の税制との違いとは?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_132449_0-small.jpg)
ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧3カ国は、社会保障制度が充実していることで有名です。国民幸福度が高いことでも知られており一見すると理想的な国のように感じますが、手厚い社会保障は高い税金がなければ成り立ちません。 では、北欧3カ国の税金はどれくらい高いのでしょうか。日本と比較しながら確認してみましょう。
北欧と日本の税金の違い
北欧の福祉は「高福祉・高負担」という言葉でよく表されます。良いサービスを受けるのなら、高い税金や社会保険料を負担しなければならない、という考え方です。
これに対し、アメリカなどの社会制度は「低福祉・低負担」と呼ばれます。基本的な生活は国民の自己責任とし、税金や社会保険料は安くなっているのです。
北欧3国の福祉サービスや医療制度を支えているのが、消費税です。ノルウェーの標準消費税は24%、食料品消費税は12%です。スウェーデンは標準消費税が25%で食料品消費税が12%、フィンランドは標準消費税が22%で食料品消費税が17%となっています。
日本は標準消費税が10%で食料品消費税が8%なので、北欧の消費税がかなり高く設定されていることが分かります。
北欧3国の税金や社会保険料の高さは、国民負担率からも読み取れます。国民負担率とは、税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合のことで、国民の負担を知る指標になっています。
2019年の国民負担率は、ノルウェー54%、スウェーデン56%、フィンランド61%です。これに対し日本の国民負担率は44%であり、やはり北欧3国の税金、社会保険料負担が大きいことが分かります。
高い税金に裏打ちされた社会保障
こうした高い負担を課される一方で、北欧3国では手厚い社会保障サービスが提供されています。
ノルウェーは消費税が高く設定されている一方、出産や子どもの学費が無料で提供されています。日本と同じく高齢化が進んでいる国ですが、高齢者向け社会保障サービスを充実させる一方で元気な高齢者の社会参加を促す取り組みも行っています。
スウェーデンは子育て支援に力を入れている国で、児童手当と両親手当の両方が支給されます。出産費用や20歳までにかかる医療費、大学の学費も無料で、病気や障害がある子どもには別途手当が支給されます。
フィンランドは教育大国として知られ、大学までは無料で教育が提供されています。学力格差を極力なくすことで国全体の力を底上げするのが狙いで、教育制度や設備が非常に充実している国です。
負担が大きくても不満は出ない?
北欧三国は税金や社会保険料が高いものの、「国が責任を持って国民の面倒をみる」という考えの下で政策が行われています。
学費や医療費の無料化、各種手当や援助など、国民に分かりやすい形で社会サービスが提供されているため、負担が大きくともリターンが実感しやすくなっているのです。
また政府や役所の透明性が高く、高い負担率にも関わらず不満が出にくいと考えられています。
これに対し、日本では税金の使途や増税の理由が明確になっていないことが課題となっています。待機児童問題や年金受給開始年齢の引き上げ、生活保護費削減など、国民が公的サービスを実感しにくく生活に不安を持ってしまうことも解決すべきポイントといえるでしょう。
ただし北欧の社会制度が素晴らしく日本は劣っている、というわけではなく、考え方や政治体制が異なることを理解しておく必要があります。
他国と比較してみよう
北欧3国の充実した社会保障制度は非常に魅力的に映りますが、実現するためには当然大きな負担が必要になります。
また、北欧の社会保障制度をそのまま日本に持ってくればよい、というのは短絡的です。
他国の制度と比較することは、日本の社会制度の課題や良い点を理解するのに役立ちます。いろいろな国の例を見比べて、保障と負担について考えてみましょう。
出典
財務省 付加価値税率(標準税率及び食料品に対する適用税率)の国際比較
財務省 国民負担率(対国民所得比)の国際比較(OECD加盟34カ国)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日本の借金・社会保障料をどうする?みんなの意見は【アンケート調査を実施】
PR TIMES / 2024年8月2日 12時40分
-
「年収が高い」といわれるのはいくらから?年収1000万円は余裕がないの?
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月28日 2時30分
-
独立したい35歳独身女性「いくら稼げばいい?」必要な売上のボーダーラインを把握するには
MONEYPLUS / 2024年7月26日 11時30分
-
16時に仕事が終わり、会社から人がいなくなる…フィンランドが「世界一幸せな国」であり続ける納得の理由
プレジデントオンライン / 2024年7月19日 9時15分
-
藤本加代子・フジモトゆめグループ代表「家族経営も会社経営も 根本思想は同じです」
財界オンライン / 2024年7月18日 7時0分
ランキング
-
1大雨被害なかった鶴岡の主要4温泉、宿泊キャンセル831件…観光客の「庄内離れ」影響か
読売新聞 / 2024年8月4日 12時25分
-
2コンビニでコーヒーの「Lサイズ」を買ったのに「S」のボタンを押してしまいました。店員さんに伝えたら交換してもらえたでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年8月3日 3時50分
-
3松屋が「200円台」朝定食を値上げ! 代わりに大幅値下げしたメニューとは? 外食チェーンの「朝食」競争に新展開
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月3日 6時15分
-
4東京・西麻布に高級老人ホーム、帝国ホテルシェフの料理やサウナ付き大浴場…入居一時金は最高5億円
読売新聞 / 2024年8月4日 17時15分
-
5タピオカブームが終わった今、「ゴンチャ」が新潟県に一店舗だけ出店したワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月1日 8時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)