在宅で療養生活を続けるための費用と負担を軽減する制度
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月18日 11時30分
![在宅で療養生活を続けるための費用と負担を軽減する制度](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_132636_0-small.jpg)
厚生労働省の調査によると、「どこで最期を迎えることを希望しますか?」という質問で、約70%の方が「住み慣れた自宅での生活を望んでいる」と回答しています。 しかし実際は、80%の方は病院で亡くなっており、自宅等でみとられる方は20%程度にすぎません(※1)。 「できる限り住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい」「病気や障がいがあっても、住み慣れた家で暮らしたい」という人の願いをかなえるのが在宅医療や介護サービスです。
在宅医療とは
在宅医療では、入院・外来に次ぐ「第三の医療」として注目されています。在宅医療では、通院が困難な方の自宅等に訪問して、医療職や看・介護職がチームとなって支えてくれます。「住み慣れた自宅の生活」を24時間365日体制で支援してくれる在宅療養支援診療所を活用しましょう。
病院では「治療」が優先されますが、在宅医療では、利用者の「人生と生活の質」が優先されます。つまり、病院医療では病院のルールに従いますが、在宅医療では利用者の要望に医療側が合わせていきます。
在宅医療で受けられる主なサービスには以下のものがあります。
・訪問診療
計画・定期的に医師が訪問して診療を行います。
・訪問看護
看護師等が、安心感のある生活を営めるような処置や療養上の世話などを行います。また、主治医の指示を受け、病院と同じような医療処置も行います。
・訪問薬剤管理指導
薬剤師が薬の飲み方や飲み合わせ等の確認・管理・説明等を行います。
・訪問リハビリテーション
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が、運動機能や日常生活で必要な動作を行えるように機能回復訓練を行います。
・訪問栄養食事指導
管理栄養士が病状や食事の状況、栄養状態や生活の習慣に適した食事等の栄養管理指導を行います。
・その他の在宅医療(療養)に必要なサービス
「訪問歯科衛生指導・訪問歯科診療」「訪問マッサージ」「訪問入浴」「居宅介護支援(ケアプラン)、「ショートステイ」「訪問介護」などがあります。
在宅医療(療養)に必要なサービスには、公的医療保険を使う場合と公的介護保険を使う場合があります。訪問看護などのように、公的医療保険でも公的介護保険でも利用できる場合は、公的介護保険の利用が原則、優先されます。なお、公的介護保険を利用するには「要介護認定」を受けている必要があります。
在宅で療養生活を続けるための費用
これまで説明したように、在宅で療養生活を続けるための費用には医療サービスと介護サービス(要介護認定が必要)を利用したときにかかる費用があります。両者とも公的医療保険や公的介護保険が適用されますので、利用者の負担割合はサービス費の1~3割になります。
例えば、訪問診療には公的医療保険が適用され、1ヶ月の費用は1割負担の方で6000~1万円程度です。薬が処方された場合は別途薬代(公的医療保険適用)がかかります。
介護サービスの費用については、どのようなサービスをどのくらい利用したかにより費用は大きく異なります。
介護費用の概算が試算できる「介護サービス情報公表システム(※2)」(厚生労働省)が便利です。介護費用の『分類』(自宅・施設)を選択すると受けられる介護サービスが表示され、『要介護度』と『介護サービス』を選択して、月の利用回数を入力すると1ヶ月の介護サービス費用試算額が表示されます。
費用負担を軽減する制度
利用料の自己負担割合が1~3割といっても、高額になる場合があります。これらの費用を軽減する制度として「高額療養費制度」「高額介護サービス費」「高額医療・高額介護合算療養費制度」がありますので活用しましょう。
・高額療養費制度(医療保険)
医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1ヶ月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。
・高額介護サービス費(介護保険)
1ヶ月(歴月:1日から末日まで)の介護サービス費が上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度です。令和3年8月から、現役並み所得相当の区分を細分化した上で限度額が引き上げられます。今までの上限額(最大)4万4400円から14万100 円に限度額が引き上げられました。
・高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の、医療保険と介護保険の自己負担の合算額が高額な場合に、自己負担を軽減する制度です。
出典
(※1)厚生労働省「人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書(平成 30 年 3 月人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会)」
(※2)厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報公表システム」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。
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