自営業者は年金が少なくて退職金もない。老後の資金対策はどうする?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月18日 12時30分
![自営業者は年金が少なくて退職金もない。老後の資金対策はどうする?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_132798_0-small.jpg)
自営業で活躍する方も多く存在しますが、自営業者は会社員に比べて年金も少なく、退職金もありません。そうしたこともあり、老後に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。 ここからは、自営業者の年金が少ない理由や老後をより安心して過ごすための工夫について書いていきます。自営業者の年金についてより詳しく知りたい方、年金を増やす方法をお探しの方も目を通してください。
国民年金のみの支給になる
高齢化社会が進んでいることもあり、老後も豊かに暮らすためには老後の資金をしっかりと確保しておく必要があります。老後は年金を受け取ることができますが、会社員に比べて自営業者が受け取れる年金は少なくなっています。その理由には会社員が国民年金と厚生年金を受け取れるのに対して、自営業者や個人事業主は国民年金のみの受給になるからです。
サラリーマンの厚生年金は、給与から差し引かれることになりますが、半分は本人が負担し、もう半分は会社負担です。そして、支給額は収入や納付期間によっても変わってきます。この場合、国民年金に厚生年金が上乗せされる仕組みで支払われます。
これに対して、自営業者は厚生年金がないので、会社員よりも受け取れる年金額は少なくなります。それに国民年金の保険料は所得にかかわらず定額で、納付期間により支給額が変わってきます。
さらに会社員は退職のときに、退職金というまとまったお金を受け取ることができますが、自営業者の場合は退職金もありません。そのままでは受け取れる年金も少なく、退職金で多くのお金を得られるわけでもないので、老後の生活は厳しくなるといえるでしょう。
老後の備えは早めに始めよう
自営業者で老後の生活に不安を感じている方は、早めに対策をしておくことが大切です。
自営業者が老後の資金を増やす方法のひとつに「国民年金基金」があります。これは公的年金制度にもとづいた国民年金に上乗せされる年金です。加入できるのはフリーランスや自営業者など国民年金の第1号保険者のみで会社員は加入できません。
厚生年金がない方に向けて作られた年金制度です。将来の年金を増やせるだけではなく、掛け金は全額所得控除の対象となり、掛け金の上限額は月額6万8000円です。掛け金はすべて所得から控除されるので、所得税や住民税の負担が減るのも大きなメリットです。
終身年金なので生涯受け取ることができますし、掛け捨てになりません。ただし、途中で任意脱退ができないことは理解しておきましょう。
自営業者が、老後の資金を増やす方法としては「iDeCo」も注目されています。こちらも掛け金の上限額は月額6万8000円で、個人型確定拠出年金とも呼ばれています。こちらも掛け金は全額所得控除されますので、税制面で有利になります。
運用益についても非課税になりますし、受け取るときも税制上の優遇が受けられます。蓄えた資金は一括で受け取ることもできますし、年金として受け取ることもできます。注意点としては、運用状況によって資産が増減すること、原則60歳までは運用資金を引き出せないなどがあげられます。口座管理手数料などの各種手数料が発生することも理解しておきたいところです。
繰下げ受給も考えてみよう
国民年金を増やす方法では、「繰下げ受給」も注目されています。これは65歳から受け取れる老齢基礎年金の受給を最長で70歳まで繰り下げるというものです。ひと月0.7%増えていきますので、5年繰り下げると42%も月単位の年金額を増やすことができます。この制度は厚生年金にも用意されています。
また、国民年金には「付加年金制度」もあるので、上手に活用していきましょう。これは毎月400円を上乗せして支払うことで、月数に応じた金額が加算されます。増額分は払い込んだ金額の半額になりますが、年金を受け取っている間は永続的に支払われます。2年程度で元は取れるので、長期に年金を受け取る場合は有利です。
ただし、この制度は国民年金基金に加入している場合は、利用することはできないことも知っておきましょう。
自分に合う老後資金の増やし方を選ぼう
自営業の場合は、定年はありませんので元気で過ごしていれば老後も活躍ができるというメリットがありますが、受け取れる年金も少なく会社員のような退職金もありません。老後に不安を感じている場合は早めに対策をして、老後の資金を確保しておきましょう。
国民年金基金などの制度を活用する方法もありますし、繰下げ受給で年金を増やすこともできます。メリット・デメリットをともに理解しながら、自分に合う増やし方をみつけていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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