収入減を理由に年金保険料の「未納」を続けた人の落とし穴とは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月25日 0時0分
収入減で毎月支払っていた国民年金保険料などの負担が重くなり、つい未納にしてしまったことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、国民年金保険料の未納を続けると、さまざまなデメリットが生じる可能性があるため、注意する必要があります。 ここでは、国民年金保険料の未納を続けた場合のデメリットと、支払いが困難でも未納を続けずに済む方法をまとめました。国民年金保険料を納められずに困っている人はぜひ参考にして、適切な対処をとりましょう。
国民年金保険料の「未納」を続けるデメリット
収入が減って家計が苦しいからといって国民年金保険料を未納のまま放置すると、次のようなデメリットが生じる可能性があります。
●将来受け取れる年金額が減る
●障害年金や遺族年金を受け取れない可能性がある
●財産を差し押さえられることがある
いずれも、いざそのときになって慌てても遅いため、国民年金保険料はできるだけ期限内に納め、事情があって支払えない月があっても未納のままにしないことが大切です。
それぞれのデメリットについて、1つずつ解説します。
受け取れる年金額が減る
国民年金保険料の納付済月数が多いほど、老齢基礎年金の受給額は大きくなります。保険料の未納が続くと最終的な納付済月数が少なくなり、老齢基礎年金の受給額も減ってしまうため注意が必要です。
また、老齢基礎年金を受給するためには、保険料納付済期間と免除期間などを合わせた受給資格期間が、10年以上必要です。保険料が無断で未納になっている期間は受給資格期間にカウントされないため、未納が続いたことで受給資格期間が10年に届かなければ、老齢基礎年金を全く受給できない可能性もあります。
障害年金や遺族年金を受け取れない可能性がある
●初診日の属する月の前々月までの保険料納付または免除期間が、公的年金加入期間の3分の2以上ある
●初診日に65歳未満で、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料の未納がない
●死亡日の前日時点で保険料納付または免除期間が、国民年金加入期間の3分の2以上ある
●死亡時に65歳未満で、死亡日の前日までの1年間に保険料の未納がない
●老齢基礎年金の受給権者、受給資格者が死亡したときは保険料納付済期間、保険料免除期間などの合計が25年以上ある
したがって、過去の未納期間が多い場合や直近1年間に未納がある場合には、障害年金や遺族年金を受給できないことがあります。
財産を差し押さえられることがある
次の2つの両方に当てはまる場合、強制徴収の対象となり、財産を差し押さえられる可能性があります。
●国民年金保険料の未納期間が7ヶ月以上
●年収300万円以上
差し押さえとなる前に、電話や書面で段階を追って催告や督促が必ず行われます。催告状や督促状などが届いたら放置せずに、未納分を支払う、収入が減って支払えない旨の相談をするなどの対応をしましょう。
国民年金保険料を「未納」にしない方法
収入が減って国民年金保険料の納付が経済的に困難になった場合は、保険料免除制度・納付猶予制度の適用を受けることで、未納を回避できます。
●保険料免除制度:本人や配偶者、世帯主の所得が一定以下の場合などに、保険料の全額または4分の3、半額、4分の1のいずれかの免除を受けられる制度
●保険料納付猶予制度:20~50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が猶予される制度
保険料の免除や猶予を受けた期間は、老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされます。ただし、免除期間や猶予期間があると、年金受給額は免除・猶予を受けた期間や免除の割合に応じて減額されます。
免除や猶予を受けて満額納められなかった保険料や、未納のままの保険料は、10年以内であれば、追納制度によりあとから納めることが可能です。追納をした期間は保険料を満額納めたことになるため、年金受給額も追納しない場合と比べて増やせます。
国民年金保険料の未納にはデメリットしかない
国民年金保険料を長い期間未納のままにすると、将来もらえる年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金が支給されない、財産が差し押さえられるといったトラブルにつながる可能性があります。
収入が減って毎月の納付が困難な場合は、無断で未納を続けずに、必ず年金事務所などに相談のうえ、保険料免除制度や保険料納付猶予制度など、適切な手続きを取ることが大切です。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 障害年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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