定年退職後、再就職をすると年金はどうなる? 働きながら年金を受け取ることはできる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月28日 9時30分
![定年退職後、再就職をすると年金はどうなる? 働きながら年金を受け取ることはできる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_133929_0-small.jpg)
定年退職後の再就職を計画している人のなかには、年金がどうなるのか気にかかっている人も多いでしょう。定年後に再就職をした場合、厚生年金へ加入できるほか、働きながら年金も受給できます。 ここでは、定年退職後に再就職をした場合の老齢厚生年金への影響を、厚生年金への加入と老齢厚生年金の受給の2つの観点からまとめました。老後の働き方を検討するときの参考にしてください。
70歳になるまでは再就職先で厚生年金に加入できる
定年退職をしてから再就職をした場合、勤務先が厚生年金の適用事業所であれば、70歳になるまでは厚生年金保険に加入できます。厚生年金の適用事業所の条件は、次のとおりです。
●株式会社などの法人の事業所
●従業員が常に5人以上いる個人の事業所(農林漁業、サービス業などを除く)
●上記以外の適用事業所になることを厚生労働大臣に認可された事業所
60歳で定年退職をしてすぐに再就職をして厚生年金に再加入したとすると、さらに10年弱のあいだ厚生年金保険料を払い込むことになります。払い込んだ保険料や加入期間が増えることで、将来受給できる老齢厚生年金の額を増やすことが可能です。
定年後に再就職先を探すときは、厚生年金に加入できるかどうかを確認するとよいでしょう。
令和4年4月からは在職中も毎年年金額が改定されるように
定年後に再加入して払い込んだ厚生年金保険料は従来、再就職先を退職するまでは年金額に反映されませんでした。しかし、制度が改正され、令和4年4月以降は、働きながら年金を受給している65歳以上の人の年金額が、毎年10月に見直されることになりました。この制度を「在職時定時改定」と言います。
在職時定時改定の導入により、前年9月~当年8月までの厚生年金加入期間が年金額に毎年反映され、働いているあいだはもらえる年金額が増えていく(※)ことになります。
(※)在職老齢年金制度の適用により支給額が減るケースもあります。
働きながら年金を受け取れるが減額されることがある
定年後に再就職して働く場合も、働きながら年金が受給できます。しかし、老齢厚生年金の受給額と、働いてもらう給与や賞与などの報酬額によっては、年金が減額(支給停止)されることがあるため注意が必要です。報酬額によって在職中の年金が支給停止される制度を「在職老齢年金制度」と言います。
在職老齢年金制度が適用される可能性があるのは次の人です。
●老齢厚生年金保険に加入している60~70歳未満の人
●老齢厚生年金保険の適用事業所で勤務する70歳以上の人
在職老齢年金制度によって年金が一部、または全額支給停止になるのは、図表1の場合です。
図表1
年齢 | 支給停止の要件 |
---|---|
65歳未満 | ・総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額が合わせて28万円を超える場合は、【総報酬月額相当額の増加額2:1年金の支給停止額】の割合で支給停止 ・総報酬月額相当額が47万円を超える場合は、さらなる総報酬月額相当額の増加分だけ年金を支給停止 |
65歳以上 | ・総報酬月額相当額と老齢厚生年金の基本月額が合わせて47万円を超える場合は、【総報酬月額相当額の増加額2:1年金の支給停止額】の割合で支給停止 |
※令和4年3月時点の基準による。
ただし、令和4年4月以降は、65歳未満の支給停止要件も65歳以降と同様の基準に緩和されます。
収入が十分なら年金を繰下げ受給する選択肢も
定年後に再就職して、生活するのに十分な収入を得られる場合は、65~75歳のあいだに年金の支給開始時期を繰り下げて受給する選択肢もあります(令和4年度より)。
年金を繰下げ受給すると、次の式で計算した金額が、本来もらえる年金額に加算されるため、長期的に見ると年金の総受給額が増える可能性があります。
増額率 (※最大84%)=65歳の誕生日前日を含む月から受給開始の申出月の前月までの月数×0.7%
老齢在職年金の支給停止基準を超える収入が見込まれる場合などは、繰下げ受給を検討するとよいでしょう。
働き方と年金のもらい方のバランスを考えよう
定年後に再就職すると、再び厚生年金保険に加入でき、定年後に就職をしない場合と比べて年金額を上積みできます。また、受給年齢に達したら働きながら年金をもらうことも可能です。しかし、働いて得る報酬額が基準額を上回る場合には年金が支給停止されるため注意しましょう。短時間勤務を選ぶ、繰下げ受給を検討するなど、働き方と年金のもらい方をよく考えることが大切です。
出典
日本年金機構 退職後の年金手続きガイド
日本年金機構 退職後の年金手続きガイド(パンフレット)
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されます
日本年金機構 在職中の年金(在職老齢年金制度)
日本年金機構 60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 65歳以後の在職老齢年金の計算方法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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