年収700万世帯の夫婦。老後の年金額は月いくら?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月29日 1時40分
若いときには気になりませんが、一定の年齢になると気になってくるものがあります。それは健康と老後の生活資金です。その中でも長い老後の生活を支える基礎となる年金が、毎月いくら給付されるのかは大きな関心事です。 この記事では給与所得者と個人事業主では、同じ条件で年金を毎月いくらもらえるのかをシミュレーションしています。老後の年金額が気になる人はご一読ください。
年金制度の仕組みをわかりやすく解説
日本の年金制度は「2階建て」と呼ばれているように、国民年金と厚生年金の二重構造となっています。
国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する年金です。その国民年金の上に、会社員や公務員などの給与所得者が加入する厚生年金が積み重なっています。
この仕組みを給与所得者と自営業者の違いも含めて具体的に解説します。
給与所得者と自営業の違い
自営業者は保険料が低い国民年金だけに加入するので、受け取る年金額も少なくなります。具体的には一律1万6610円の保険料(令和3年度額)です。
一方、給与所得者は保険料は高いですが、受け取る年金額が大きい厚生年金に加入します。保険料は標準報酬月額の18.3%で毎月の給与から相殺されますが、保険料の半額は勤務している会社負担というメリットもあります。
また、自営業者は年金額の不足分を埋めるために、国民年金基金にも加入可能です。
専業主婦(夫)の扱いは?
日本の年金では年金被保険者は以下の3種類に分類されます。
●第1号被保険者:個人事業主とその家族、学生、無職者など
●第2号被保険者:会社員、公務員
●第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される専業主婦(夫)
同じ専業主婦(夫)でも個人事業主と給与所得者の配偶者では、第1号と第3号の違いがあります。しかし、どちらも国民年金に加入するという点は同じです。ただし、第1号被保険者の保険料は、本人もしくは保険料連帯納付義務者である世帯主または配偶者のいずれかが納めます。
これに対して、第3号被保険者の保険料は、配偶者が加入する厚生年金や共済組合が一括し支払うため、本人や配偶者の負担はありません。もちろん、第3号被保険者も第1号被保険者と同じように年金を受け取れます。
年収700万世帯(給与所得者)の受取年金額
年収700万円の世帯について、夫と妻のそれぞれでどれくらいの受取年金額になるのかをシミュレーションしてみます。
同じ条件で給与所得者の夫婦(専業主婦)と個人事業主の夫婦を、それぞれ個別に受取年金額をシミュレーションします。年齢は同じ条件でどちらも40歳にします。シミュレーション法には、三井住友銀行が提供する年金シミュレーションを利用します。
公的なシミュレーションには「ねんきんネット」もあります。ただし、登録が必要となるので、気になる方は各自で登録後にシミュレーションしてみましょう。自分の実際の条件でシミュレーション可能なので、より正確な受取金額がわかります。
夫が受け取る年金額
シミュレーションで入力した条件と結果は以下のとおりです。
●年齢:40歳
●就業開始年齢:22歳
●就業終了年齢:60歳
●老齢厚生年金:11.7万円/月
●老齢基礎年金: 6.4万円/月
●合計:18.1万円
上記は夫が年収700万円として試算した夫の受取年金額です。専業主婦として試算した妻の結果も確認してみましょう。
妻(専業主婦)が受け取る年金額
専業主婦は第3号被保険者となるので、夫の受け取る老齢基礎年金と同じ金額が受け取れます。基礎年金額は6.4万円なので夫と合わせると、夫婦で24.5万円の受取年金額になります。
年収700万世帯(自営業者)の受取年金額
自営業者は日本の年金制度では第1号被保険者の立場です。この立場は給与所得者以外の個人事業主とその家族、農業従事者などが対象となり、一律の保険料を支払うという特徴があります。
つまり自営業者の場合は年収や所得に関係なく、一律に年金保険料が定められています。そのため年金保険料の支払い回数が同じであれば、受け取る年金額も同じになります。給与所得者と比較すると、毎月の支払は比較的楽ですが、受け取る年金額は将来的に不足がちになります。
夫が受け取る年金額
給与所得者と同じ条件で自営業者の受取年金額を比較すると、給与所得者の老齢基礎年金と同じ年金額となります。
・老齢基礎年金: 6.4万円/月
妻が受け取る年金額
自営業者の妻も夫と同じ第1号被保険者なので、やはり同じ年金額となります。
・老齢基礎年金: 6.4万円/月
もちろん、妻がパート・アルバイトなどで給与所得を得ている場合は、その分が加算されます。
今回は給与所得者と同じ条件にしたので、専業主婦と同じ扱いとしてシミュレーションをしました。その結果、自営業者は夫婦の受取年金額を合算しても12.8万円、給与所得者とは11.7万円の差が生まれました。老齢基礎年金だけでは、収入が給与所得者と同じでも老後の生活費には足りないことがよくわかります。
700万世帯の年金額は給与所得者と自営業者では大きく違う
まったく同じ条件で給与所得者と自営業者の受取年金額を比較すると、大きな違いとなるのがよくわかります。今回の例では毎月11.7万円もの違いがありました。国民年金だけでは老後の生活費として十分ではないことがよくわかる結果です。
そのため、第1号被保険者で収入に余裕がある人は、国民年金基金を利用して不足分を補うことをおすすめします。
※出典
全国国民年金基金 公式HP
厚生労働省 日本の公的年金は「2階建て」
日本年金機構 「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか
日本年金機構 年金見込額試算
三井住友銀行 年金シミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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