40前半夫婦ですが世帯年収が1000万円しかありません。老後に備えて今からできることはありますか?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月29日 10時20分
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2019年に金融庁の金融審議会が、「老後20年から30年間で約1300~2000万円が不足する」という試算を発表し話題となりました。この試算は夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職の夫婦(高齢夫婦世帯)をモデルとしたものです。 この記事では世帯年収1000万円の40代前半の夫婦を例に、これからできる老後資金の確保について考えます。
民間給与実態統計調査からみる日本人の年収
金融庁が発表している「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、2020年(令和2年)中に年間を通して働いた給与所得者は5245万人でした。そのうち男性では年間給与額が300~400万円以下の人が538万人、女性では100~200万円以下の人が508万人で最も多くなっています。このデータは民間のものであり、公務員は含まれていません。
給与とは、基本給に賞与や残業代、各種手当を加えた金額で、税金は引かれていません。
この夫婦の場合は世帯年収が1000万円というデータしかないため、年収は給与所得であり民間で働いているとして考えてみます。共働きなのか夫または妻の給与だけなのかもわかりませんが、日本の給与所得者のうちの最も多い層は、共働きでこの層の最大の給与を得ているとしても、年間の給与所得は600万円です。
そう考えると世帯年収1000万円の夫婦は、平均よりも年収が高いといえるので「1000万円しか」と考える必要はありません。
現在の所得が不足している場合
この夫婦の場合、支出に関するデータもないので年間の収支がどうなっているのかもわかりません。しかし夫婦2人暮らしで世帯年収が1000万円なのに老後資金が不足しているとすると、支出が多すぎるのではないかと考えられます。夫婦2人で月に50万円使ったとしても年間600万円であり、日本の多くの家庭ではもっと少ない支出で生活しているからです。
総務省統計局が公表した「家計調査2021年10月から12月期平均」によると、すべての世帯を対象とした消費支出は1世帯当たり月額24万5519円です。
この夫婦のケースでは、まず支出を見直すことが先決でしょう。それだけで、恐らくかなりの老後資金が蓄えられるはずです。
最初に、家計に占める支出の割合が高い項目を洗い出します。スマホのアプリを使い、レシートをとっておいて簡単な家計簿をつけるなどすると支出を確認できます。そこで食費の割合が多ければ、外食を減らすなどの対策ができます。
また、お金を必要とする子どももいないので、生命保険の掛け金が高すぎないかを見直す必要もあります。同時に今後必要になることが予想される、がん保険などの保険に加入しているかを確認しておくとよいでしょう。
さらに、家が賃貸なら、家賃が高すぎるのかもしれません。現在の家が夫婦2人暮らしに見合わない高額な家賃なら、ふさわしい家に引っ越すだけで差額が浮きます。また、今後の家賃と持ち家にかかる費用をシミュレーションしてみて、家を建てるという選択肢もあります。
資産を増やしたい場合
最も安全に資産を増やしたい場合は、ローリスク・ローリターンの預金がおすすめです。銀行が破たんさえしなければ、毎月決まった金額を預金することで低金利でも確実に利息が入ります。
また、資産の運用を考えるなら「つみたてNISA(ニーサ)」や個人型確定拠出年金の「iDeCo(イデコ)」を利用する方法があります。
つみたてNISAは投資信託の一種で、長期的な分散投資に向いていて、専門家に運用してもらえるので、比較的安全に投資ができます。これは、分配金や譲渡益にかかる税金が非課税です。
一方、「iDeCo(イデコ)」は、公的年金に上乗せしてもらえる年金です。掛け金を自分で運用し、60歳から受給できます。こちらも、掛け金の全額所得控除や運用益が非課税など、税制面での優遇もあります。
自身の状況を確認して、見合う方法で老後資金を確保する
収入を年金に頼る生活を想像すると、多くの人が不安を感じるはずです。しかし健康なら、定年退職後に再就職して収入を得ることもできますが、現在の家計の収支を見直し、支出を減らすだけでも老後の資金を貯めることができる場合もあります。
また、資産を運用して増やす方法もありますが、投資の場合は元金が保証されないことを頭に入れて、老後に備えた計画を立てましょう。
出典
国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
日本経済新聞 老後2000万円問題の教訓と台頭するFIRE
総務省統計局 家計調査2021年(令和3年)10~12月期平均(2022年2月8日公表)
金融庁 つみたてNISAの概要
国民年金基金連合会 iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)
iDeCo公式サイト iDeCoってなに?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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