同居する親のために自宅を改装したい。控除となる金額は最大いくら?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月29日 13時50分
年齢を重ねた親と同居をするために自宅をリフォームしたい、などと考える人もいらっしゃるでしょう。 リフォームをするときや住宅ローンを利用して資金を準備するときに、一定の要件を満たしていれば、所得税の控除を受けることが可能です。どれくらい控除されるのか、その要件とはどのようなものなのでしょうか?
最高で年40万円の控除が受けられる
増改築したときに受けられる控除は、いわゆる住宅ローン控除です。
住宅ローン控除は新築もしくは中古を購入した際にしか適用されないと思っている人も多いのですが、自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋についての増改築、いわゆるリフォームも対象になります。
控除できる年数は、居住の用に供した年(住み始めた年)によって違っており、令和3年1月1日から令和3年12月31日までに住み始めたときには10年間、年末残高等×1%で最高40万円の控除が受けられます。
(注)住宅の増改築等が特定取得以外の場合は20万円が限度額です。
令和3年1月1日から令和4年12月31日までに住み始めたときには13年間、2段階に分かれて控除額が決められており、1~10年目の最初の10年間は年末残高等×1%で最高40万円の控除が受けられ、11~13年目の3年間は、次のいずれか少ない額が控除限度額とされています。
(1) 年末残高等〔上限4000万円〕×1%
(2) (住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限4000万円〕×2%÷3
※住宅の取得等が特別特例取得または特例特別特例取得に該当する場合
(注)この場合の「住宅取得等対価の額」は、補助金および住宅取得等資金の贈与の額を控除しないで計算した金額です。
なお、特定取得とは消費税が8%以上のときの物件取得のことであり、10%のときは、特別特定取得といわれます。
控除の適用を受けるための要件
控除の適用を受けるためには、以下の要件をすべてクリアしなければなりません。
(1) 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
(2) 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事のいずれかに該当するもの。
(3) 増改築等の日から6ヶ月以内に居住の用に供し、引き続き、適用を受けるそれぞれの年の12月31日まで住んでいること。
(4) 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上(※)であり、床面積の2分の1以上の部分がもっぱら自己の居住の用に供するものであること。
(5) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3000万円以下(※)であること。
※特例特別特例取得の場合の上記(4)の床面積および上記(5)の所得要件は、
●床面積=40平方メートル以上50平方メートル未満
●上記に加え、合計所得金額=1000万円以下
(6) その工事費用の額が100万円を超えており、自己の居住用の部分に対する工事費用として、その2分の1以上の額であること。
(7) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金または債務があること。
(8) 増改築等した家屋をその居住の用に供した個人が次の期間において、その取得をした家屋およびその敷地の用に供している土地等以外の資産(それまでに住んでいた家屋など)について、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
申告先および提出先は、所轄税務署または勤務先です。詳しくは国税庁のホームページ(*)で確認してください。
介護保険を利用しているなら、介護保険住宅改修が利用できる
控除ではありませんが、介護のための増改築・リフォームであれば、介護保険から住宅改修費の支給を受けることができます。
対象となるのは、着工日の時点で要介護1~5または要支援1・2の介護保険の認定有効期間内にあり、住宅の改修を必要とする方です。
対象となる住宅は、介護保険を納めている場所へ利用者本人の住民登録がされている地域の住宅であり、現に居住している住宅であり、今後も引き続き住み続けることが予定されている住宅であることとされています。
(1) 手すりの取り付け
(2) 床段差の解消
(3) 滑りの防止および移動の円滑化等のための床、または通路面の材料の変更
(4) 引き戸等への扉の取り換え
(5) 洋式便器等への便器の取り換え
(6) その他 (1)から(5)の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
単なる新築や増改築・リフォーム工事は支給の対象ではありません。あくまでも介護に必要な増改築・リフォームが対象です。
まずは、工事費用の全額を支払わなければなりませんが、申請後7割~9割分が支給される仕組みになっています。消費税を含む、対象工事の費用のうちの20万円までが支給の対象です。
もし、工事費用全額を支払うことが生計上難しいときには、受領委任払いという制度がありますので、市区町村の介護給付係にご相談ください。
利用者負担は、所得に応じて1~3割です。不明な点は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ確認してください。
出典
(*)国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)よりNo.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
執筆者:飯田道子
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
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