正社員と契約社員、老後に受け取る年金に差はあるの?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月29日 14時30分
正社員と契約社員の場合、老後に受け取れる年金にどれくらい差があるのでしょうか? この記事では、正社員と契約社員で年金に差があるのかとともに、契約社員として働くときにはどのような点に注意すればよいのかについて解説します。
契約社員だからといって、不利にはならない
正社員と契約社員では、契約社員のほうが何かと損をしてしまう、不利になってしまうのではないかと心配する人もいらっしゃるでしょう。
実は、勤務先が社会保険に加入しており(加入する義務があります)、そこで働き、社会保険の加入条件を満たしていれば、正社員、契約社員ともに、臨時に使用される人や季節的業務に使用される人を除いて、要件を満たした従業員は厚生年金に加入します。
業務形態によって、どちらが得か損かという違いはなく、同じなのです。つまり、同じ条件で働いている場合には、契約社員だからといって、不利になることはありません。
ただし、もし、勤務先が社会保険に未加入であった場合(繰り返しになりますが加入する義務があります)は、契約社員に限らず、正社員も自分で国民年金に加入しなければなりません。その場合は、厚生年金の上乗せ部分を受給することができなくなってしまいます。
厚生年金は労使折半で支払う年金のため、事業主には負担が生じるものの、働く社員によっては、同じ保障を割安で得られる手段としてメリットがあります。できるだけメリットが得られるように働きたいですよね。
加入条件を満たして厚生年金保険(社会保険)に加入する
契約社員として働く場合、おさえておくべきなのは、厚生年金保険(社会保険)に加入できるだけの条件を満たしているかです。それによって、将来、受け取れる年金保険額は変わってきてしまいます。
契約社員としてフルタイムで働いている場合は、加入する条件は十分にクリアできているでしょう。ただし、契約社員でも短時間労働者の場合は、正社員や契約社員のフルタイムの人と同じ業務を行っている場合であっても、条件をクリアできなければ加入はできません。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上あること
(2) 雇用期間が1年以上見込まれること
(3) 賃金の月額が8.8万円以上であること
(4) 学生でないこと
(5) 厚生年金保険の被保険者数が常時501人以上の法人・個人の適用事業所、および国または地方公共団体に属するすべての適用事業所に勤めていること
※なお、厚生年金保険の被保険者数が501人未満の法人・個人の適用事業所であっても、労使合意に基づき申し出をした場合は、任意特定適用事業所となります。
加入条件は、そんなに難しいものではありませんし、働きたいと思っている人なら、十分にクリアできるものです。しかしながら雇用する会社の方で、加入条件をクリアできないような雇用条件を提示する可能性はありますので、必ず確認しましょう。
自分の労働条件の見直ししてみよう
業務形態を問わず、できるだけ早く就職先を決めたい、転職したいなどという場合、契約社員という選択肢もあるでしょう。大手企業でも正社員から契約社員へと雇用をシフトさせていることもあります。
しかし、将来受け取れる年金を考え、どのような働き方をするのかは確認・検討をした方がよいでしょう。就職活動をしているとき、社会保険は完備されているのかも確認することが大切になってきます。
最初は短時間労働者として雇い、その後フルタイムにシフトするなどと説明があったとしても、会社の方針やそのときの状況によっては、フルタイムへの移行が当初の予定どおりに行われない場合もあります。
正社員であっても契約社員であっても、フルタイム、もしくは加入条件をクリアしていれば、年金額に差はありません。
自分は損をしているかも? どのような会社がよいのかな? と疑問に思っているなら、現在の労働条件を見直し、転職などを視野に入れて行動することが必要なのではないでしょうか。
出典
(※)日本年金機構 Q 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
執筆者:飯田道子
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
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