所得500万円未満の子育て世帯が激減。安心して子育てできる年収ラインは?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月30日 9時40分
先進国と称される国の中でも経済成長が低い日本では所得が低い水準で安定しており、子どもを設けることに不安を抱える世帯が少なくありません。全世帯の大部分を占める所得500万円未満の世帯の子どもの数が減少している背景には、国や自治体からの支援が乏しいことに加えて、年金問題など将来への不安があることも理由です。 一体、どれほどの年収があれば、安心して子育てできるのかについて考えてみましょう。
子育てはお金がかかる! 年収500万では足りなくなる
少子高齢化が深刻化する日本では、その状況を改善することを目的にした動きも活発化しています。少子化担当大臣の任命や子ども庁の新規創設など国家レベルでの取り組みが進行中です。しかしながら、ここ数年では新型感染症蔓延などの影響もあり、一向に改善されていません。生産労働人口の減少など、少子化がもたらすマイナスの大きさは計り知れず、日本の国際競争力の弱体化に繋がります。
そもそも、なぜ現代の20代〜40代の子育て世代が子どもを設けることに消極的になってしまったのでしょうか。もちろん、子どもを作ることはあくまでも、男女の自由意思によるものであり強制されることではありませんが、背景には子育てに伴って生じる「お金の問題」があることは否めない事実です。
先進国の中でも日本の経済成長率の低さは突出しています。端的にいえば、サラリーマンの所得が数十年にわたって同水準で推移している状況です。
「所得500万未満」の世帯が全体の大多数を占めるにもかかわらず、その多くが子どもを持たない世帯となっています。給与が減るのに、支出が増えるという事態を嘆く人も少なくありません。度重なる消費増税やガソリン価格の高騰、将来の年金支給額減少不安など、十年二十年先の生活に対する懸念や不安はたくさんあります。このような状況下では、子どもを作ろうという機運が盛り上がらないのは無理のないことです。
供稼ぎ世帯の増加!子育て費用捻出に向けての努力
一体、年収がどの程度あれば子育てが安心してできるのでしょうか。フランスやアイルランド、イギリスなどのように子育て世帯に対して公金の投入を大量に行う国々とは異なり、日本では各家庭での子育て費用捻出が必要となります。高校の授業料無償化や子ども手当支給など、日本でも子育て世帯への支援が徐々に充実を見せていますが、まだまだ十分ではありません。
子育て費用を賄うために、夫婦そろって就労する「夫婦供稼ぎ世帯」も急増しています。内閣府が示した「令和2年度男女共同参画白書」によれば、1980年に1114万世帯もの専業主婦が確認できたのに対して、2019年にはその数が582万世帯にまで減少。一方、夫婦供稼ぎ世帯は同じく614万世帯から1245万世帯にまで倍増しています。
貯蓄や学資保険加入など!将来に向けての準備も
「これだけ年収があれば安心」などといった明確な答えがあるわけではありませんが、おおむね700万円以上の年収があれば比較的余裕を持って子育てが可能といえるのではないでしょうか。子どもが乳幼児のうちはミルク代やおむつ代などがかかりますが、それほど家計全体を圧迫するものではありません。
しかし、小学校に上がる頃になると習い事や塾など急激に費用が増加する傾向にあります。その時期を見越して、早いうちから貯金をしたり学資保険に加入したりするなどの対策を講じる家庭も増加中です。
現に貯蓄が1000万円を超える世帯が一定数ある反面、貯蓄ゼロの世帯も相当数あります。安易にいうことはできませんが、激変する経済情勢や物価動向、年金不安など不確定要素が大きい現代における子育てには、年収が多いほうが安心です。
いくらあっても不安はつきもの! 子育て費用の現実
習い事や塾代など何かとお金がかかるのが子育てです。高校の授業料無償化や子ども手当支給など、公的資金投入による支援もありますが、決して十分とはいえません。低成長を続ける日本経済や増加する税負担、年金問題など将来を不安視する子育て世代は多く、年収500万円未満の世帯の子どもの数が減少。
「年収〇〇万円以上あれば安泰」と軽々しくいうことはできませんが、結果的に現状としては700万円を超える比較的収入が多い世帯が子どもを設けています。
内閣府 令和2年度男女共同参画白書
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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