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住宅ローン控除率0.7% それでも住宅ローンはたくさん借りたほうがおトク?

ファイナンシャルフィールド / 2022年3月30日 14時10分

住宅ローン控除率0.7% それでも住宅ローンはたくさん借りたほうがおトク?

住宅購入は多くの人にとって、人生の中で最も大きな買い物です。   購入物件を決めて、いざ契約という段階で不安になって、資金プランの相談にいらっしゃる方も多いのですが、「貯蓄はあるのですが、不動産販売業者から全額住宅ローンを組むことを勧められました」というケースがしばしばみられます。   預金があっても頭金を入れずに住宅ローンを借りたほうがよいのか、相談例をあげて解説します。   【相談例】 Tさんご夫妻は住宅購入を考えています。購入予定の物件価格は5000万円。これまで貯めた預金が2500万円あるので、2000万円を頭金にして、残り3000万円は住宅ローンで借りようと夫婦で話し合っていました。   ところが、住宅販売業者から「このマンションは5000万円まで住宅ローン控除が受けられますから、全額を住宅ローンで借り入れして、住宅ローン控除を利用したほうがお得ですよ。住宅ローン控除の期間が過ぎたところで、頭金にするつもりだったお金で繰り上げ返済すればよいのです」と言われました。   Tさんは5000万円も借りるのは怖い気がして、ファイナンシャル・プランナーである筆者に相談することにしました。

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを利用して一定の要件を満たす住宅を取得(リフォームも可)すると、一定期間、借入残高に応じて所得税・住民税から控除が受けられる制度です。
 
つまり、住宅ローンの借入額が多いほど控除される金額も多くなるから、たくさん借りたほうがよいというのが、住宅販売業者が借入額を増やすことを勧める理由です。
 
確かに、住宅販売業者のアドバイスも一理あります。ただ、住宅ローン控除の制度は2022年の改正で1%だった控除率が0.7%になり、利ざやが小さくなりました。それでも、住宅ローン金利が0.7%より低ければお得かというと、そうとは限りません。
 

借入額を増やすと諸費用も増える

住宅ローンを借りる際には諸費用がかかります。諸費用の内訳は金融機関によって異なりますが、借入額が増えると比例して増える費用もあります。代表的なものとして事務手数料が挙げられます。
 
また、事務手数料ではなく、保証料を支払う場合もありますが、同様に借入額が増えれば保証料も増えます。
 
仮に事務手数料を2.2%とすると、3000万円の住宅ローンに対する事務手数料は66万円ですが、5000万円の住宅ローンでは110万円となり、44万円多く支払わなければなりません。1年目に控除される金額の大部分が事務手数料に消えてしまうことになります。
 

団信に疾病保障を付ける場合は注意

住宅ローンの団信に、七大疾病・八大疾病保障、ガン保障などの特約を付ける人もいらっしゃるでしょう。
 
保険料は金融機関と借入時の年齢によって異なりますが、住宅ローン金利に上乗せする場合と保険料として支払う場合があります。どちらにしても借入額が増えれば保険料は高くなります。
 
例えば、金利0.3%アップの場合、年間の保険料は3000万円なら9万円ですが、5000万円なら15万円です。返済が進むとともに保険料が下がるとはいえ、毎年払っていかねばなりません。疾病保障を付けたいときは、借入額を慎重に検討する必要があります。
 

まとめ

Tさんご夫妻が借り入れ予定の住宅ローンは変動金利0.45%でしたが、Tさんには父親がガンを経験していることもあり、ガン保障を付けたいという希望がありました。
 
そうすると、金利は0.2%上乗せだったので、実際の金利は0.65%となりました。住宅ローン金利と控除率の差は0.05%です。事務手数料も考慮するとお得ではないし、5000万円の借り入れは不安というTさんの判断で、当初の予定通りに頭金を2000万円、借入額は3000万円とすることになりました。
 
もちろん、頭金と借入額のバランスをどうするのがよいかは、それぞれのケースで違います。Tさんが疾病保障を希望していなければ、借入額を増やしてもよかったかもしれません。
 
また、Tさんが資産運用に慣れていて、例えば頭金にする予定の2000万円を、年2%で運用してきたといわれたら、5000万円の借り入れをお勧めした可能性もあります。
 
住宅購入資金で、「いくら借りるのがよいか」の答えは1つではありません。特に住宅ローン控除率が0.7%に下がったことで、これまでと同じ判断はできなくなっています。
 
決して目先のお得感に惑わされず、将来の収入の見込み、子どもの教育費、疾病保障の必要性、資産運用の経験など、さまざまな要素を検討して、自分にとってベストなプランを考えましょう。
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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