株式投資などでよく聞く「ボリンジャーバンド」ってなに?
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月30日 14時10分
今回からは、再びテクニカル分析に話を戻します。これまでテクニカル分析については、「ローソク足」、「酒田五法」、「保ち合い三角形」、「エリオット波動理論」、「移動平均線」、「巡航軌道」などについてお伝えしてきましたが、今回は「ボリンジャーバンド」について見ていきたいと思います。
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンド(Bollinger Band)は、ジョン・ボリンジャーという投資家が考案した考案したテクニカルツールです。
基本的な考え方は「相場は収束と拡散を繰り返す」というものです。もう少し分かりやすくいうと、相場にはその時々に現れる中心値があり、そこから離れると、いずれまたその中心値に戻ってくるという習性に着目した考え方です。
このため、ボリンジャーバンドは移動平均線(SMA:Simple Moving Average)と標準偏差という2つの数式によって描かれます。
ボリンジャーバンドの描かれ方
言葉で解説するよりも目で見た方が分かりやすいので、チャート上でボリンジャーバンドがどのように描かれているかを確認してみましょう。
以下は、日経平均株価指数(日足)のチャート上で描かれるボリンジャーバンドの推移を示しています。ボリンジャーバンドは言葉にあるように「バンド(帯)」です。下のチャートでは川の流れのように青色の帯がうねりながら推移していますが、これがボリンジャーバンドです。
〇日経平均株価指数(日足)とボリンジャーバンド
出典:TradingView Inc. 「TradingView」
※解説を目的に使用しています。
ボリンジャーバンドの中心にオレンジ色の線が引かれています。これは20日単純移動平均線(20SMA)です。また、ボリンジャーバンドの幅(分かりやすく表現すると川の流れの幅とでもいいましょうか)の上限と下限が青色のラインで描かれています。上限ラインが「+2σ」、そして下限ラインが「-2σ」です。
説明に使用している「TradingView」では、初期設定値として単純移動平均線が20日、σラインが上限・下限で±2σとなっていますが、後述する計算式を見ると分かるように、任意でこれらの数値を入力することができるようになっています。
例えば、SMAの値を10日にしたり、σラインの上限・下限を±1σや±3σに設定を変えることができますが、一般的にはTradingViewの初期設定値を用いることが多いため、任意で数値を入れ替えない方がいいように思います。
ボリンジャーバンドでは、バンドの中心線である20日単純移動平均線からどれぐらい離れているかを見ながら、相場における売買を判断していきますが、乖離(かいり)の程度を示しているのが上限ラインの+2σ、下限ラインの-2σです。
ボリンジャーバンドの計算式
それでは、ボリンジャーバンドの計算式を確認してみましょう。まず、ボリンジャーバンドのセンターラインである単純移動平均線の意味です。
単純移動平均線=過去n日間の単純移動平均線
※一般的には過去20日間の単純移動平均線を用いる
ボリンジャーバンドでは通常、20日の単純移動平均線を用いるため、過去n日間は20日間とします。
次は、バンド幅の上限と下限に用いられる標準偏差である「σ」の求め方です。
標準偏差=√(n×n日間の終値の2乗の合計-n日間の終値の合計の2乗)÷(n×(n-1))
標準偏差の計算式は覚えなくてもいいですが、次のボリンジャーバンドの計算式については意味を理解しておいた方がいいかもしれません。
±1σ=n日の単純移動平均±n日の標準偏差
±2σ=n日の単純移動平均±n日の標準偏差×2
±3σ=n日の単純移動平均±n日の標準偏差×3
±1σはバンドの上限が+1σ、下限が-1σ、±2σでは上限が+2σ、下限が-2σ、±3σでは上限が+3σ、下限が-3σという意味です。
もう少しイメージしやすいようにこれらの計算式をまとめると、ボリンジャーバンドは次のように整理できるかもしれません。
バンド上限:+2σ=n日の単純移動平均±n日の標準偏差×2
センターライン:20日単純移動平均
バンド下限:-2σ=n日の単純移動平均±n日の標準偏差×2
ボリンジャーバンドの標準偏差σは通常、±2σを基準に捉えることが多いため、±1σと±3σは省きました。仮に±1σや±3σも用いたいという場合は、バンド上限に+1σまたは+3σ、バンド下限に-1σまたは-3σを加えることは可能です。
まとめ
ボリンジャーバンドは、センターラインである20日単純移動平均線からバンドの上限・下限に向かって離れていく、もしくはバンドの上限・下限から20日単純移動平均線に戻っていく相場の習性を、バンド(帯)の描写で表現していることが分かります。
センターラインからバンドの上限・下限に向かって行くことを「拡散」、バンドの上限・下限からセンターラインに戻っていくことを「収束」といいますが、このような習性に着目したテクニカルツールがボリンジャーバンドといえます。
次回は、ボリンジャーバンドの使い方について触れていきたいと思います。
出典
TradingView Inc. TradingView
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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