こんな時代だからこそ、老後の海外移住の利点とリスクについて考える
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月31日 14時10分
老後は海外で過ごしたいと考えている人もいるでしょう。年齢別在留邦人数は、外務省の海外在留邦人数調査統計で年齢別の統計がある2018年で見ると、60歳以上は18万5042人です。この人数の中には長年海外に住んでいて60歳以上になった人も含まれますが、60歳以上になってから海外へ移住した層も一定数いるはずです。 2022年現在、新型コロナ感染症や緊迫する海外情勢による影響で自由な海外渡航は難しくなっていますが、そんな今だからこそ老後の海外移住について考えてみましょう。
老後の海外移住の利点
老後の海外移住には、2つの利点があります。
●あこがれの国に住める
●物価が安い
あこがれの国に住める
海外移住を考える人は、必ずと言っていいほど移住したい国があります。あこがれの国、例えばフランス、カナダ、オーストラリアなどに住んで第二の人生を過ごせます。ハワイやグアムといった、リゾート地に住むことも可能です。
物価が安い
移住先によりますが、東南アジア諸国の大半は日本より物価が安いです。2018年の海外在留邦人数調査統計では、1ヶ月の老齢夫婦の平均生活費は、日本円に換算して15万円前後と言われています(1バーツ=3.5円として計算)。
日本では、総務省統計局が出す家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要によると、65歳以上の夫婦二人暮らしの無職世帯は1ヶ月あたりの平均支出が22万4390円です。
タイなら、日本と比べて月7万円前後安く住めます。夫婦で毎月15万円なら、老後の資金が少ない人でも、年金と少しの労働でまかなえるのではないでしょうか。
老後の海外移住のリスク
老後の海外移住は、2つのリスクも伴います。
●医療費が高くなる国が多い
●物価上昇で生活費が上昇する
医療費が高くなる国が多い
日本は国民皆保険制度を採用していますが、同様の制度は西欧諸国の一部しか採用していません。東南アジア諸国を始めとした新興国では、日本ほど医療制度が整っていないため、医療費が高くなってしまいます。
仮に、普段の生活費が安かったとしても医療費の高さで相殺されてしまいます。海外で支払った医療費は医療費控除(所得控除)の対象となりますが、収入が少ない人は微々たる金額しか返ってきません。
物価上昇で生活費が上昇する
仮に移住当初は物価が安かったとしても、5~10年後に大きく物価が上昇する可能性はあります。例えば、1970~1980年の日本では、日本銀行の公表資料によると、以下のように物価が倍以上になりました。
1970年:30.9
1975年:53.1
1980年:73.2
移住先の国で急速に経済が成長した場合、わずか10年で物価が1.5~2倍になるのは不思議な話ではありません。もしタイの物価が10年後に2倍になれば、夫婦の1ヶ月の生活費は30万円になり、おそらく10年後の日本より高くなるでしょう。
物価の変動に注意して移住先は選ぼう
あこがれや、目先の安い物価に飛びついて海外移住すると思わぬ出費を強いられるかもしれません。海外移住を検討する場合、将来的な物価上昇や医療費の高さも考慮しながら慎重に選びましょう。
老後に何度も引っ越すのは大変なので、しっかり検討して幸せな海外移住にしてください。
出典
外務省 海外在留邦人数調査統計2018年
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要
日本銀行 公表資料・広報活動
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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