2024年から始まる「新NISA」って? 現行の「一般NISA」や「つみたてNISA」との違いを比較
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月31日 12時10分
2020年度の税制改正により、NISA(ニーサ、少額投資非課税制度)制度全般の見直しが行われ、2024年から新NISAが開始されます。これまでの内容を大きく覆す変更ではないものの、2階建て構造という少しややこしい仕組みです。 今回は「一般NISA」や「つみたてNISA」と比較した「新NISA」の変更点について簡単に解説します。
新NISAの概要|2階建て構造の仕組みなどを解説
新NISAは、「より多くの人が長期的かつ安全な投資を始めるきっかけとなる制度」を目指して設立されました。日本に在住する18歳以上の人が利用できます。
一般NISAからの変更点は次のとおりです。
●非課税投資枠の年間120万円から、1階年間20万円・2階年間102万円の2階建て構造に変更
●1階部分で対象になる金融資産が、つみたてNISAと同じ銘柄に限定
●対象期間を2028年まで延長
図表1
出典:令和2年度税制改正について|金融庁
非課税投資額が年間で2万円増加したものの、2階建て構造という新しい形式が取られています。1人1口座・非課税投資枠の繰越なし・損益通算不可などのルールに変更はありません。
なお、一般NISAを利用している方で引き続きNISA制度を利用する場合は、自動的に新NISA制度に移行します。手続きの必要はありません。
・2階建て構造ってどういうこと?
新NISAの1階部分では、つみたてNISAと同じ銘柄について年間20万円まで積立購入できます。
一方、2階部分は年間102万円まで購入できます。しかし、1階部分の積立投資を先に行っていないと、2階部分の非課税枠が利用できません。
これには「まずは1階部分で多くの国民に積立・分散投資を経験してほしい」という国の意図が根底にあります。違いを以下で比較しました。
図表2
新NISAの2階建て構造 | 対象の金融商品 | 投資対象が同じNISA制度 |
---|---|---|
1階部分 | ・長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託 ・上場株式投資信託(ETF) |
・つみたてNISAと同じ銘柄 ・積立購入のみが対象 |
2階部分 | 監理銘柄・整理銘柄・ヘッジ目的以外でデリバティブ取引による運用を行っているもの以外の株式・投資信託 | ・一般NISAと同じ銘柄 ・積立・スポットのどちらの購入でも対象 |
ただし、過去にNISA口座を利用していたり、一定の投資経験を認められたりする場合は、2階部分のみの利用でもOKになります。
・非課税投資枠とは?
「この金額までの金融商品から出た利益(売却益・配当金・分配金など)はすべて非課税」という上限枠を表すのが非課税投資枠です。
例えば、80万円分の金融商品から運用益100万円が発生しても、100万円すべてに税金がかかりません。
図表3
出典:一般NISAの概要 : 金融庁
もし非課税投資枠を超える金融商品を購入したときは、超えた分の金融商品は普通の口座での取り扱いとし、そこから出た利益は課税されます。
・NISA制度のロールオーバーとは?新NISAでの取り扱いも
ロールオーバーとは、新NISA・一般NISAの非課税期間が終了したときに、口座の金融商品を翌年の非課税投資枠へ移行(移管)することです。
図表4
出典:一般NISAのポイント : 金融庁
税制改正に伴い、「一般NISAから新NISA」および「新NISAからつみたてNISA」へロールオーバーする際には、以下の取り扱いがなされます。
●移行時には先に2階部分の非課税枠が使われる(超過する場合は1階部分も使用)
●非課税投資枠122万円を超える部分もロールオーバーできる
●新NISAの対象でない銘柄はロールオーバーできない
●新NISAの1階部分で購入した投資信託のみ移行できる
●新NISAで購入した当初の価格でロールオーバーされる
・つみたてNISAについて
つみたてNISAとは、新NISAより少額かつ長期・積立・分散投資向けの非課税制度です。
非課税投資枠は年間40万円と低めですが、非課税期間が20年間と長くなっています。2020年の税制改正によって、対象期間が2037年から2042年まで延長されました。
ジュニアNISAは2024年に撤廃!それでも今注目されている理由
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)とは、未成年を対象にしたNISA制度の1つです。税制改正に伴い2024年での撤廃が決定しています。
しかし、2024年以降は新規購入ができなくなるだけで、すでに保有している金融商品は引き続き運用可能です。2024年以降は18歳未満の引き出し制限も緩和されます。
「前より使いやすくなった」との声も聞かれており、今からはじめる教育資金の積み立て方法として、ジュニアNISAを検討するのもおすすめです。
出典
令和2年度(2020年度)税制改正について
金融庁:新しいNISA制度
金融庁:つみたてNISAの概要
金融庁:一般NISAの概要
金融庁:ジュニアNISAのポイント
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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