「要支援」「要介護」は家族が決めるの?介護等級によるサービスを徹底解説!
ファイナンシャルフィールド / 2022年3月31日 13時0分
介護サービスを受けるためには、「要支援」「要介護」といった介護認定を受ける必要があります。本記事では、誰がどのように決めるのかについて述べるとともに、どのようなサービスを受けることができるのかについて解説します。
要支援・要介護とは?
現在、要支援、要介護認定されている方は厚生労働省の調査では令和3年12月現在、およそ690万人います。
町中で見かけるデイサービスや訪問介護などは、要介護認定を受けないと利用することができません。では、要介護認定を受けるためにどのような手続きが必要なのでしょうか。
申請から決定までの流れ
介護サービスを受けるまでの流れについて説明します。
1.介護認定を希望する人は、住んでいる市区町村に連絡し、要介護認定を申請します。
2.申請を受けた市区町村は認定調査員を派遣し、要介護認定調査を実施します。
3.認定調査員は74項目の基本調査及び申請者の心身の状況をチェックします。
4.認定調査員が行った基本調査及び主治医の意見書をもとに、要介護認定時間の算出及び状態の維持、改善可能性をコンピューターにより推計します(一次判定)。
5.一次判定に加え、認定調査員が行った申請者の心身の状況、主治医の意見書を再度加味して介護認定審査会による審査を実施します(二次判定)。
6.二次判定をもとに申請者は、自立、要支援1〜2、要介護1〜5に要介護認定されます。
要支援と要介護の違い
要介護認定の申請の結果、自立、要支援1〜2、要介護1〜5の8段階に分けて認定されますが、要支援、要介護の違いはどのような点にあるのでしょうか。
厚生労働省介護保険法第一章第七条(定義)によると要介護、要支援について説明があります。
介護認定 | 定義 |
---|---|
要介護状態 | 身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要介護状態区分」という。)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。 |
要支援状態 | 身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(以下「要支援状態区分」という。)のいずれかに該当するものをいう。 |
(出典:厚生労働省「介護保険法第一章第七条(定義)」)
上記のいずれにも該当しなかった場合、自立と判定されます。
要支援及び要介護認定の目安について
介護保険法で、要介護状態及び要支援状態についての定義が示されていますが、厚生労働省は具体的に要介護認定において、次の5分野について要介護認定等基準時間を算出し、認知症加算をもとに要支援1から要介護5を判定します。
●直接生活介助
例:洗顔、洗髪、入浴、排泄、食事、移動など
●間接生活介助
例:洗濯、掃除、食事の準備・後始末など
●認知症の行動・心理症状(BPSD)関連行為
例:不潔行為への対応、徘徊老人への対応・探索、暴力行為への対応など問題行動に関連して必要な介助
●機能訓練関連行為
例:寝返り訓練、起き上がり訓練、座位訓練、立ち上がり訓練など
●医療関連行為
例:褥瘡(じょくそう)の処置、酸素療法の管理などの特別な医療、浣腸、座薬の挿入など
要介護認定等基準時間 (これに相応すると認められる状態も含む) |
|
---|---|
自立 | 25分未満 |
要支援1 | 25分以上32分未満 |
要支援2 要介護1 |
32分以上50分未満 |
要介護2 | 50分以上70分未満 |
要介護3 | 70分以上90分未満 |
要介護4 | 90分以上110分未満 |
要介護5 | 110分以上 |
(出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」)
要支援2と要介護1とは目安となる時間が同じですが、心身の状態が安定していない、または認知症等により予防給付の利用に係る適切な理解が困難であると判断した場合、要介護1と判定します。
認定されればどのようなサービスをうけることができるのか?
申請者が要介護判定により要支援1〜要介護5に要介護判定されたことによって受けることができるサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?
等級により介護保険が適用される金額が決められています。
支給限度基準額(1ヵ月あたり) | |
---|---|
自立 | 0円 |
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
(出典:厚生労働省:「2019年度介護報酬改定について」)
支給限度額に応じて次のようなサービスを受けることができます。
●介護サービスの利用にかかる相談、ケアプランの作成
(ケアマネージャーとの話し合い)
●自宅で受けられる家事援助等のサービス
例:訪問介護、訪問入浴、訪問看護など
●施設などに出かけて日帰りで行うサービス
例:デイサービス、通所リハビリなど
●施設などで生活(宿泊)しながら、長期間又は短期間受けられるサービス
例:特別養護老人ホーム、介護老人保険施設、ショートステイなど
●訪問・通い・宿泊を組み合わせて受けられるサービス
例:小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)など
●福祉用具の利用にかかるサービス
例:福祉用具貸与など
具体的にどのサービスを受けるのかは、介護認定されている方の希望や等級などを鑑み、ケアマネージャーと相談されることをおすすめします。
まとめ
要介護認定は住んでいる市区町村に役所へ申請し、審査の結果、要支援1〜2、要介護1〜5と認定されると介護サービスをうけることができます。等級によっては受けることのできないサービスがあるので、ケアマネージャーと相談してケアプランを作成することをおすすめします。
出典
厚生労働省:介護保険事業状況報告(暫定)
法令検索:介護保険法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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