定年を延長した場合と退職した場合では、年金額はどう変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月13日 11時0分
老後の生活資金として重要な年金ですが、定年で退職した場合と定年を伸ばして働き続けた場合とで、受け取れる金額が変わるということを知らないという方は、意外と少なくないのではないでしょうか? 少しでも老後の暮らしを余裕のあるものにするために、定年を延長した場合と退職した場合の年金額の違いについて、みていくことにしましょう。
定年退職した場合に受け取れる年金額とは?
定年を延長する企業が増えてきていますが、まだまだ多くの企業では60歳が定年となっています。そのため、ここではまず、60歳で定年退職した場合に受け取れる、2021年時点の年金額についてみておきましょう。
加入している年金の種類によって金額は異なってきますが、例えば、国民年金の場合には、これまでに保険料の未納期間や猶予期間、免除期間がないのであれば、年額77万7800円の年金を受給できます。
一方、厚生年金の場合は、40年間勤務した標準的な平均報酬月額が43.9万円の会社員の場合、65歳から受給できる、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は、2022年時点で月額約21万9593円となっています。
ただし、厚生年金の受給額は、現役時の平均報酬月額の水準によって決まる仕組みになっているため、人によって必ずしも一律というわけではないという点に注意しなければなりません。
65歳まで定年延長した場合に受け取れる年金額とは?
次に、60歳を迎えた後も65歳まで定年を延長して働き続けた場合の年金額をみていくことにしましょう。
まず、国民年金については、過去に未納や猶予、免除された期間があるにもかかわらず、追納していなかったような場合に定年を延長すると、受給できる年金額を増やせる可能性があります。
例えば、20歳から22歳までの2年の間保険料の納付を猶予されていた人が、22歳から60歳まで38年間にわたって会社員として働いていた場合には、国民年金保険料の最大納付可能期間である480ヶ月に24ヶ月足りないため、60歳の定年で退職すると、年金額を満額受給することはできません。
これに対し、65歳まで定年を延長すると、不足している24ヶ月分の国民年金の保険料を納付できるので、その結果、受給できる年金額は1年あたり約4万円も増加するのです。
なお、このように増額となるのは、あくまでも60歳時点で保険料の納付期間が480ヶ月未満であるケースに限られますので、その点には注意しておく必要があります。
次に、厚生年金については、本人が希望すれば、60歳を超えて70歳になるまで加入し続けられるようになっています。加入期間が増えれば、その分、納付する保険料も多くなるため、結果的に受給できる年金額も増額されることになるのです。
どれくらい年金額が増えるかは、個別の事情に左右されるので一概にはいえませんが、例えば60歳から65歳まで月収30万円で働き続けた場合だと、1年あたり10万円ほど、月収50万円で働き続けた場合だと1年あたり16万円ほど、それぞれ年金額が増えるものと想定されます。
厚生年金を20年間受給すると想定すると、トータルで200万円から300万円ほど年金額が増額されますので、もし定年後も働き続ける余力があるのであれば、少しでも老後の資金を増やすためにも、なるべく退職するのを先送りにした方がよいかもしれません。
なお、厚生年金には一定の加入要件が設けられているという点を頭に入れておく必要があります。具体的には、1週間の所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上でなければ、加入することはできません。
時短勤務などでこの要件を満たせていないと厚生年金には入れないので、仮に定年を延長したとしても、そういった場合には、年金額を増やすことはできないのです。
年金額を増やしたければ定年後も働こう
以上でみてきたように、定年を延長した場合と退職した場合では、前者の方が受給できる年金額は大きくなります。男女ともに平均寿命が80歳を超える中で、老後の生活資金はいくらあっても困ることはありません。
退職後に少しでも余裕のある暮らしを送りたいのであれば、定年を延長して働くという選択肢を検討してみるとよいでしょう。
出典
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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