低在老の支給停止基準額が変わる! 恩恵にあずかれるのはどんな人?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月15日 23時30分
![低在老の支給停止基準額が変わる! 恩恵にあずかれるのはどんな人?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_136907_0-small.jpg)
働きながら老齢年金を受け取っている人の年金を、在職老齢年金といいます。在職老齢年金は「低在老」と「高在老」の2つに分かれます。低在老は65歳未満の在職老齢年金、高在老は65歳以降の在職老齢年金のことをいいます。 高齢化の影響で60歳を超えて働く人が増えていますが、年金を受給できる年齢で働いている場合は在職老齢年金の仕組みにより、給与と年金の合計額が一定の金額(以下、支給停止額)を超えると年金の一部、または全部の支給が停止されます。 2022年3月までは、低在老の支給停止額は月額28万円、高在老の支給停止額は月額47万円でしたが、2022年4月からは支給停止額が統一され、低在老・高在老ともに月額47万円となっています。今回の改正は、どんな人に影響を与えるのでしょうか? この記事では、その点について解説していきたいと思います。
支給停止は基礎年金には適用されない
まず基本として理解しておくべきことは、働きながら年金を受け取る場合に年金額の一部または全部が支給停止となる在職老齢年金の仕組みは、基礎年金には適用されないということです。
下図のとおり、老齢年金には「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2つがあります。老齢基礎年金は65歳から支給されますが、老齢厚生年金は60歳から64歳の間に支給される「特別支給の老齢厚生年金」と、65歳から支給される老齢厚生年金に分かれています。
※筆者作成
老齢年金のうち、働きながら年金を受給する場合に適用される支給停止は、老齢厚生年金が対象であり、老齢基礎年金には適用されません。収入がいくらあっても、老齢基礎年金の支給額については全額を受け取れるのです。
在職老齢年金の支給停止の仕組み
初めに説明したように、年金を受給できる年齢になっても働いている人が受け取る年金を在職老齢年金といいますが、2022年3月までは、60歳以上65歳未満(低在老の人)の支給停止額は月額28万円でした。
例えば、特別支給の老齢厚生年金が年120万円、すなわち月額10万円の場合、28万円-10万円=月額18万円までの給与であれば、年金の支給停止はありません。
もし給与が月額25万円ならば、特別支給の老齢厚生年金(月額10万円)との合計が35万円となり、支給停止額の28万円を超えるため、年金は支給停止の対象になるということです。
ところが2022年4月以降は、60歳以上65歳未満の人の支給停止額が月額47万円になるので、特別支給の老齢厚生年金を月額10万円とした場合、47万円-10万円=月額37万円まで稼いでも年金は支給停止にならないということになります。年収に換算して、444万円までは年金の支給停止はなしということです。
この場合、支給停止なしで稼げる給与と年金の合計額は、年収ベースで次のとおりとなります。
どんな人が改正の恩恵を受けることができるか?
それでは、どんな人が低在老の支給停止額の改正の恩恵を受けることができるのでしょうか?かいつまんで説明すると、2022年4月以降の時点で、特別支給の老齢厚生年金を受けることができる人ということになります。
以下の図は、「特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢」を示したものです。特別支給の老齢厚生年金は、男女で生年月日に応じて受給開始年齢が異なっており、同じ年齢で比べると女性の方が対象となる年齢が若くなっています。
出典:日本年金機構 「老齢年金ガイド 令和4年度版」
例えば、昭和33年(1958年)4月2日生まれの人は令和4年(2022年)4月で64歳ですが、男性の受給開始年齢は63歳、女性の受給開始年齢は61歳になっています。現時点で特別支給の老齢厚生年金の受給の対象となる人の年齢の幅は、女性の方が男性より広いことが分かります。
昭和35年(1960年)4月2日生まれの女性の場合、令和4年(2022年)4月で62歳、かつ特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢も62歳です。この人は、62歳から64歳の間の3年間は今回の改正の恩恵にあずかれることになります。
いずれにしても、その年代前後の方に影響がある改正なので、その年代でまだ働いている方は、自分がどの程度改正によるメリットを受けられるのか、年金事務所に確認されることをお勧めします。
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
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