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【子育て相談】子どもが大学に行かず働きたいといっています。親子でどう話し合えばよいですか?

ファイナンシャルフィールド / 2022年4月19日 14時10分

【子育て相談】子どもが大学に行かず働きたいといっています。親子でどう話し合えばよいですか?

50歳のAさんには、この春高校を卒業する息子がいます。息子さんは「早くお金がほしいから卒業したら働く」と言っています。   何かどうしてもやりたいことがあるわけではなく、単純に「お金がほしい」ということが理由なので、Aさん夫婦はできれば大学を卒業してから就職してほしいと思っています。   また、高卒と大卒とでは生涯収入が異なるという情報を見て、息子の将来を思い、ますます不安になっています。親子でどのように話し合うべきでしょうか。

学歴による収入の違いについて

Aさん夫婦が心配されている学歴による収入の違いについて、統計データを確認してみましょう。
 
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(※1)によると、新規学卒者の学歴別に見た賃金は男性大学卒、226.7千円(対前年増減率 -0.2%)、男性高校卒、181.6千円(同 1.2%)でした。
 
学歴別に賃金がピークとなる年齢は、男性大学卒、男性高校卒とも55~59歳です。ピークの賃金は、男性大学卒505.3千円(同 -2.2%)、男性高校卒351.8千円(同 -0.5%)でした。
 
ピークの賃金で、男性大学卒、男性高校卒では153.5千円の差がありました。年間で184.2万円の差、さらにボーナスを加えると収入の差が開きます。過去のデータによると、大学卒、高校卒では収入の差があるといえます。
 

学歴による離職率について

せっかく就職しても、離職してしまえば収入はゼロになってしまいます。学歴による就職率の違いを統計データで確認してみましょう。
 
新規学卒就職者の離職状況は、厚生労働省の発表資料(令和3年10月)(※2)によると、就職後3年以内の離職率は新規高校卒就職者36.9%、新規大学卒就職者31.2%でした。
 
事業所規模別に見ると、1000人以上の企業では大学卒、高校卒ともに25%程度で、事業所規模が小さくなると離職率が高まる傾向にあります。就職後3年以内の離職率の高校卒と大学卒の差は、就職した事業所規模の差によるものと推測されます。
 

親子の価値観の違い

過去の統計データによると、就職した場合は大学卒のほうが高校卒よりも収入の面で有利です。ただし、離職率が比較的低い大企業の会社員になったからといって、定年まで安泰で高い賃金が約束されていると今はいえません。
 
また、収入が高いからといって必ずしも幸せに暮らせるわけでもありません。筆者の相談者さまで比較的収入が高い会社員の方のなかには、子どもの教育費など生活にかけるお金が高くなり、結果として家計の収支が厳しい家庭も存在しています。
 
働き方、生き方の考え方は、親世代と子ども世代では変わってきています。親の価値観の押し付けにならないよう気をつけたいものです。過去の賃金データなど客観的なデータをお子さまに伝えるだけにとどめ、進路の選択はお子さま主導でできるとより良いのではないでしょうか。
 

一般的なルートがすべての人の正解ではない

大学に進学せず高校卒で就職をした後に、学びたいことができたので大学に行くということもできます。親はお子さまを大事に思っているからこそ、失敗してほしくない、まわり道してほしくないと思うかもしれません。
 
しかし、高校、大学、そして就職というルートをたどるのが一般的だとしても、それがすべての人の生き方の正解ではありません。親としての思いや気持ちと、客観的なデータをお子さまに伝えるだけにとどめ、最終的な進路の判断はお子さまを信じて任せてみませんか? 
 
お子さまも、自分で考えて選択した進路であれば、たとえ自分の思い描いていたものと違ったとしても後悔はないかもしれません。親として、お子さまを信じて見守りましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
(※2)厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況を公表します
 
執筆者:正田きよ子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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