年金受給開始後の再婚は加給年金がもらえないってほんと?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月24日 11時10分
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加給年金は、厚生年金に20年以上加入していた方がもらえる年金の一種で「年金の扶養手当」ともいわれています。加給年金をもらうにはいくつかの条件がありますが、条件を満たしていれば、再婚の場合でも扶養する配偶者に対する加給年金をもらえます。 では、年金を受給し始めてから再婚した場合はどうなのでしょうか? 以下で、配偶者加給年金がもらえる条件について詳しく見ていきましょう。
配偶者加給年金の基礎知識
老齢厚生年金を受給し始めた方に、条件を満たす配偶者または子がいる場合、通常支給される年金に加えて、加給年金がもらえます。加給年金の対象となるのは、その人によって生計を維持されている配偶者と子どもです。加給年金のなかでも、配偶者に対して支給されるものを「配偶者加給年金」といいます。
配偶者加給年金をもらうには、厚生年金の受給者と扶養対象となる配偶者、それぞれが受給要件を満たす必要があります。
なお、加給年金の受給には申請が必要です。最寄りの年金事務所または年金相談センターで、必要書類を提出します。
配偶者加給年金をもらえる条件
配偶者加給年金をもらう条件は、次の5つです。
・被保険者が厚生年金か共済年金に20年以上加入している
・老齢厚生年金を受給し始めるときに配偶者が65歳未満である
・生計を維持している配偶者がいる
・配偶者の前年の収入が850万円未満である
・配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金を受給していない
つまり、老齢厚生年金を受給し始めたとき、65歳未満で年金を受給していない配偶者がいる場合に、配偶者加給年金が支給されるということです。
一方で、配偶者の前年の収入が850万円以上の場合、あるいは、配偶者が65歳以上になると、配偶者加給年金は支給されません。
配偶者加給年金額の計算方法
配偶者加給年金の対象となった場合、年金に対してどれくらいの金額が加算されるのでしょうか。
2022年4月現在、配偶者加給年金額は22万3800円です。
これは夫婦のみの場合ですが、18歳到達年度の末日までの子ども(または1・2級の障害がある20歳未満の子)がいる場合は、子どもの分も支給されます。上記の金額に、年金を受けとる人が1934年4月2日以降生まれの場合は、配偶者の年齢(生年月日)に応じた以下の特別加算額が追加されます。
配偶者加給年金額は、「加給年金額+生年月日に応じた特別加算額」で算出します。特別加算額は、図表1のように配偶者の生年月日に応じて決められています。
図表1
<配偶者加給年金額の特別加算額> | ||
---|---|---|
配偶者の生年月日 | 特別加算額 | 加給年金額の合計額 |
1934/4/2~1940/4/1 | 3万3100円 | 25万6900円 |
1940/4/2~1941/4/1 | 6万6000円 | 28万9800円 |
1941/4/2~1942/4/1 | 9万9100円 | 32万2900円 |
1942/4/2~1943/4/1 | 13万2100円 | 35万5900円 |
1943/4/2~ | 16万5100円 | 38万8900円 |
出典:日本年金機構 加給年金額と振替加算 より筆者作成
なお、2022年4月以降は、配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金を実際に受給していなくても、受給の権利がある場合(在職により支給停止となっている場合等)は、配偶者加給年金額は支給停止されることになりました。ただし、障害を支給事由とする給付については変更ありません。
再婚すると配偶者加給年金が支給される?
配偶者加給年金は、老齢厚生年金の受給資格があり、かつ生計を維持している配偶者がいる方にとって、かなりお得な制度です。
特に、配偶者が年下で年齢が離れている場合は、配偶者加給年金を長期間もらうことができます。そしてこの制度は、年金を受給する方が再婚した場合も対象となっています。
再婚の場合でも条件を満たせばOK
配偶者加給年金の条件には、離婚・再婚といった事情や、結婚している期間は含まれていません。つまり、初婚であろうが再婚であろうが、老齢厚生年金受給スタート時の配偶者が条件を満たしていれば、配偶者加給年金の対象になるということです。
再婚する方が配偶者加給年金の対象になるには、老齢厚生年金を受給し始める前日までに婚姻届を提出する必要があります。
年金受給開始後に再婚したら加給年金はもらえない
再婚でも対象となるお得な加給年金制度ですが、晩年に再婚する場合は注意が必要です。
なぜなら、加給年金制度の受給資格を得るには、老齢厚生年金を受給し始めるときに、条件を満たす配偶者がいるかどうかが分岐点になるからです。つまり、老齢厚生年金を受給し始める前に配偶者がいる必要があるということです。
もし、老齢厚生年金の受給開始日後に再婚した場合は、加給年金制度の対象にはなりません。
再婚を検討しているなら年金受給前のタイミングがお得
晩年に再婚あるいは結婚して配偶者加給年金をもらうためには、結婚する時期を意識するとよいでしょう。
65歳になって老齢厚生年金の受給開始日の前日までに籍を入れていれば、2022年度時点で年額25万6900~38万8900 円の配偶者加給が支給されるためとてもお得です。もし、婚姻届の提出が1日でも過ぎてしまえば、1円ももらえなくなってしまいます。
また、現在の老齢厚生年金の受給開始年齢は65歳ですが、前倒しで年金を受給開始する場合は条件が変わるので注意しましょう。
再婚するなら老齢厚生年金の受給資格が生じるタイミングが重要
晩年に再婚あるいは結婚を考えているなら、自分が老齢厚生年金の受給開始日を確認して、それよりも前に籍を入れるとよいでしょう。自分自身と配偶者が条件を満たせば、配偶者加給年金で年金額を増やすことができます。
加給年金額が受給できれば、老後の資金の足しになるので、老齢厚生年金の受給開始日前には忘れないように申請しましょう。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 加給年金額を受けられるようになったとき
日本年金機構 さ行 生計維持
日本年金機構 年金Q&A:年金見込額のお知らせ」では、加給年金額は除かれていますが、扶養している配偶者がいるときは加給年金額が支給されますか。
日本年金機構 定額部分(厚生年金保険の加入期間に基づいて計算される年金額)が支払われるとき
日本年金機構 令和4年4月から加給年金の支給停止の規定が見直されました
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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