老後の資金不足、実際に必要なのはいくら? どうやってまかなっている?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月27日 14時0分
![老後の資金不足、実際に必要なのはいくら? どうやってまかなっている?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_138396_0-small.jpg)
生活設計を立てるにあたり、老後の資金についても早くからしっかり考えておくことは重要です。公的年金だけでは生活が難しいとされているなか、老後に向けた準備は早くから備えておくのに越したことはありません。 しかし、準備するといっても、実際、年金以外にいくらくらい必要となり、そのお金はどのようにまかなえばよいのでしょうか?この記事では、公的年金以外に必要な老後資金の金額と、資金を用意する方法を解説します。
老後に必要なお金はいくら?
総務省が公開している2020年の家計調査の結果によると、65歳以上の無職の夫婦のみで暮らす世帯の場合、公的年金などを含めた実収入の平均は、25万6660円です。社会保険料や税金などに平均3万1160円ほど掛かるため、実際に生活に使える収入は22万5501円となります。
一方、食費や光熱費、被服費など生活に掛かる支出の平均は、22万4390円です。そのため、1111円の黒字となります。ただし、前年の2019年のデータをみると、実収入の平均は23万7659円で、社会保険料などを差し引くと20万6678円、支出の平均は23万9947円です。
つまり、3万3269円の赤字が出ていることになり、その年によっては、年金だけでは生活費がまかなえない可能性があるということになります。老後資金は、年金などの収入ではまかないきれない金額を老後に生きる年数分、貯めておくことが必要です。
そのため、2019年のように1ヶ月につき3万3269円の赤字が生じ、老後が25年あると想定した場合、998万700円が老後資金として必要な金額ということになります。
ただし、重要な収入源である年金の給付額は今後減る可能性もあるため、上記の金額よりも余裕をもって用意しておくほうが安心です。また、先で紹介した収入や支出はあくまでも平均であり、実際にいくら必要となるかは本人が老後にどのような生活を送りたいかによって変わります。
旅行や趣味も楽しみたいなど、金銭的にゆとりをもった生活を望んでいる人は、生活最低限のお金があればよいという人よりも多く、老後資金を貯めておかなければなりません。
ちなみに、公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」(令和元年度)の調査結果によると、ゆとりのある生活に必要と考えられている上乗せ額の平均は、14万円と出ています。
この場合、先述と同じく老後が25年あると想定すると、998万700円とは別に4200万円も用意しておく必要があります。
足りない老後資金をまかなう方法
年金だけでは老後資金が足りない場合には、定年の延長や再雇用の制度を利用し、定年後も継続して働くのも一つの方法です。
シルバー人材センターなどから紹介を受けて働く手段もあります。また、当分の老後資金が確保できている場合には、繰り下げ受給で年金額を増額させる選択肢もあります。受取開始時期は60~75歳で選択でき、年金の受給額は受取開始時期が遅いほど増額されます。
早くから準備できるのであれば私的年金に加入するのも有効です。例えば、任意で加入できる私的年金にiDeCo(個人型確定拠出年金)があります。
自分で掛け金を拠出して運用し、60歳以降に掛け金とその運用益を老齢給付金として受け取れるシステムです。掛金全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となるうえ、受給時にも退職所得控除または公的年金等控除を受けられます。
さらに、NISAやつみたてNISAも老後資金をまかなえる方法です。iDeCoと比べて投資できる商品の選択肢が広く、投資で得た配当金や譲渡益、分配金などが非課税となります。
ただし、NISAは新規投資できるのが毎年120万円までで、非課税となる期間は5年間、つみたてNISAは新規投資できるのが毎年40万円までで、非課税となる期間は20年間などの制限付きです。NISAとiDeCoは併用もできるので、必要に応じて上手に活用するとよいでしょう。
そのほか、着実にお金を貯めたいなら、個人年金保険に加入するのも手段です。個人年金保険料控除の対象となり、支払った保険料の金額に応じて、所得税や住民税が軽減されます。
老後に不足するお金の準備は早くから取り組むことが大切!
老後の生活を安心して過ごしたいなら、将来お金に不自由することがないように、しっかり老後資金の計画を立てておくことが必要です。老後資金の確保には、定年後も仕事を続けるなどの手段もありますが、高齢になると思うように働けなくなる可能性もあります。
また、老後は仕事をやめてのんびりと過ごしたいと考えている場合にも、年金だけではまかなえない老後資金の不足分を、早いうちからしっかり用意しておくことが必要です。
必要となる金額が大きければ大きいほど、短期間での用意は難しくなるため、将来どのような生活を送りたいかを考えて必要となる資金を計算し、不足分はできる限り早い時期から準備するようにしましょう。
出典
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?
公益財団法人生命保険文化センター 老後の生活費はどれくらい?
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2020年(令和2年) 総世帯及び単身世帯の家計収支
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編) 2019年(令和元年) 総世帯及び単身世帯の家計収支
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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