2022年4月以降、確定拠出年金はどう変わる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年4月27日 11時40分
![2022年4月以降、確定拠出年金はどう変わる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_138509_0-small.jpg)
2022年4月から、公的年金の受取開始年齢が繰下げ受給により最大75歳まで先送りできるようになりました。そのタイミングと併せて、企業型の確定拠出年金(企業型DC)や個人型確定拠出年金(iDeCo)の制度の改正が行われています。ここでは、その概要や改正に伴う影響などについて確認してみたいと思います。
企業型DCの加入可能年齢の拡大
2022年4月時点で企業型DCに加入できるのは、65歳未満の厚生年金被保険者ですが、2022年5月1日からは加入可能年齢が70歳未満に拡充されます。
従来は規約に定めがある場合、60歳前と同一事業所で引き続き雇用される厚生年金被保険者については、65歳未満の規約で定める年齢までは加入できるとされていました。
2022年5月以降は、企業の高齢者雇用に対応した柔軟な制度運営を図るため、継続した雇用に限らず、70歳未満の厚生年金被保険者が加入できるようになります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)の変更点
個人型確定拠出年金(iDeCo)では、2022年4月以降で以下の変更があります。
(1)加入可能年齢が拡充
現状、iDeCoに加入可能なのは60歳未満の国民年金の被保険者とされていますが、2022年5月1日からは65歳未満に拡充されます。
加入要件は国民年金の被保険者であることとされますので、60歳以降65歳までは第2号被保険者である方、または任意加入被保険者である方が対象となります。
(2)受取開始年齢が延長
2022年4月からは、確定拠出年金(iDeCoおよび企業型DC)の老齢給付金の受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられています。上限年齢の拡大によって、60歳(加入者資格喪失後)から75歳に達するまでの間で、受給開始時期を選択できるようになりました。
公的年金の繰下げによる受取開始時期の延長と併せ、iDeCoなどの受取開始時期を75歳まで遅らせることで、非課税での運用メリットなどを最大化することも可能となります。
企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和
2022年10月1日から、企業型DCの加入者は原則iDeCoに加入できるようになります。
これまでは企業型DC加入者でiDeCoに加入できるのは、加入を認める労使合意に基づく規約の定めがあり、かつ事業主掛金の上限を月額5万5000円から月額3万5000円(確定給付型にも加入している場合、2万7500円から1万5500円)に引き下げた場合に限られていました。
2022年10月以降は、規約の定めや事業主掛金の上限の引き下げがない場合でもiDeCoに原則加入できるようになります。ただし、企業型DCの事業主掛金とiDeCoを併用する場合の拠出限度額が、以下表の金額以内であることが条件となります。
【2022年10月以降の企業型DCとiDeCo併用時の拠出限度額(月額)】
※厚生労働省 「2020年の制度改正」より筆者作成
例えば、企業型DCのみに加入している方がiDeCoに加入する場合、企業型DCの事業主掛金は月額5万5000円以内、iDeCoの掛け金は月額2万円以内となり、事業主掛金とiDeCoの掛け金の合計額が月額5万5000円以内である必要があります。
そのため、事業主掛金がすでに5万5000円に達している場合は、iDeCoに拠出することができません。企業型DCと確定給付型に加入している場合にも、同様に拠出額の上限があります。
また原則、企業型DCのマッチング拠出をしている場合、iDeCoの同時加入はできなくなります。マッチング拠出とは、企業型DCの会社が拠出する掛け金に加えて、加入者本人が掛け金を上乗せして拠出できるものです。
まとめ
2022年4月以降の確定拠出年金についての変更は、60歳以降も現役として働き続ける方にとっては加入や運用などの選択肢の幅が広がる、メリットの大きい改正内容といえるでしょう。
例えば、55歳の方がiDeCoへの加入を考える場合、これまでは60歳までの5年間という短期の加入期間となるため、躊躇(ちゅうちょ)するケースもあったと思われます。改正により、50歳代の方であっても65歳まで比較的長期の加入が可能となることは、特に65歳までは働きたいとお考えの方にとっては朗報といえるでしょう。
また、あらためていうまでもなく、iDeCoの掛け金は全額所得控除の対象となりますので、節税効果も期待できるでしょう。
出典
厚生労働省 2020年の制度改正
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
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