皇宮護衛官ってどんな仕事？ 年収はいくら？

天皇・皇后両陛下や皇族方が移動する際の警護や儀式などでの警備を担当する皇宮護衛官ですが、具体的にどのような仕事をしているのか、年収がどのぐらいなのか、気になる方もいるでしょう。   この項目では皇宮護衛官の仕事内容について、宮内庁職員との違いを含めながら説明します。また、皇宮護衛官の平均年収についても解説していきます。

皇宮護衛官の仕事内容

皇宮護衛官は、警察庁の付属機関である皇宮警察本部に所属して働く国家公務員です。天皇陛下や皇后陛下をはじめとする皇族方の護衛や、皇居や京都御所など宮内庁が管轄する土地の警備が主な仕事です。このほか、皇宮警察の組織管理などを行う警務を担当する職員もいます。
 
天皇・皇后両陛下や皇族方が公務を円滑に行えるようにお世話をする宮内庁職員が一般行政職なのに対し、皇宮護衛官は公安職です。
 
皇宮護衛官に採用されると、一定期間皇居内にある皇宮警察学校で研修を受けます。皇宮警察学校に在学中は寮に住んで訓練を受けます。護衛や警備のための訓練だけでなく、皇室の護衛官としてふさわしい品位を身につけるために茶道を学ぶのが特徴です。卒業後は護衛部門、警備部門、警務部門に分かれて職務に就きます。
 
護衛部門では白バイに乗って天皇・皇后両陛下のお車の護衛をするほか、儀式などで馬に乗ることもあります。警備部門では「儀仗（ぎじょう）」と言って、式典などの際の警備を行います。また、有事や火災にそなえた訓練を行うのも警備部門の仕事です。警務部門では園遊会やランチコンサートでの演奏を担当する音楽隊員もいます。演奏がないときには、組織事務を行っています。
 
皇宮護衛官の仕事は4交代制と日勤制に分かれています。4交代制の場合、8:30から翌日の9:00までの勤務、非番、休み、8:30から17:00までの日勤を繰り返します。勤務地は皇居や赤坂御用地など東京がメインとなりますが、京都御所などのある京都府や正倉院がある奈良県、御用邸のある栃木県、神奈川県、静岡県に配属される場合もあります。
 

皇宮護衛官の年収

皇宮護衛官の給与は人事院の「公安職俸給表（一）」に定められています。皇宮護衛官のほか、刑務官や入国警備官が含まれますが、「公安職俸給表（一）」に該当する人の平均俸給額（1ヶ月あたりの税引き前給与）は32万29円となっています。
 
また、平均給与月額は約37万8869円となっており、年収に換算すると約454万6428円です。地域手当などを含んだ初任給は、大卒程度試験を受けた方で約25万320円です。公安職であることから、一般職の公務員より高くなっています。
 

皇宮護衛官になるには

皇宮護衛官になるためには、警察庁の一般職（警察官）とは異なる「皇宮護衛官採用試験」に合格しなければなりません。大卒程度枠、高卒程度枠のほか武道有段者枠があります。武道有段者枠とは柔道2段、あるいは剣道3段以上の人を対象とした枠です。
 
1次試験では、大卒程度枠で国家公務員2種試験程度、高卒程度枠だと国家公務員3種試験程度の内容ですが、いずれも2次試験では、個別面接や健康診断・身体検査のほか、立ち幅跳び・反復横跳び・上体起こしによる体力検査を課されます。公務員試験のための勉強だけでなく、体力作りが必要です。
 

皇宮護衛官は品位と体力が必要

皇宮護衛官はトラブルや火災などが起こらないよう、緊張感をもって仕事をしています。また、皇室の護衛官としてふさわしい品位を身につけることも求められる仕事です。給料は一般職の公務員よりも高く設定されていますが、交代制の場合は夜間勤務もあり、体力が欠かせません。皇宮護衛官になりたい場合には、公務員試験の勉強のほか、体力検査にそなえた準備が必要です。
 

出典

皇宮警察本部　皇宮護衛官募集しおり
皇宮警察本部　採用情報
人事院・皇宮警察本部　2021年度皇宮護衛官採用試験（高卒程度試験）受験案内
人事院・皇宮警察本部　2022年度皇宮護衛官採用試験（大卒程度試験）受験案内
皇宮警察本部　国家公務員皇宮護衛官（武道有段者）選考採用試験ー受験案内ー
人事院　国家公務員給与の実態
皇宮警察本部　採用情報　キャリアプラン
皇宮警察本部　皇宮警察本部の仕事
宮内庁　職員採用
皇宮警察本部　皇宮警察本部概要
皇宮警察本部　採用情報　Q&A
e-Gov法令検索　皇宮護衛官の服制に関する規則
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部