高額な損害賠償金や慰謝料をもらったり支払ったりしたら確定申告の対象になる?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月5日 9時0分
![高額な損害賠償金や慰謝料をもらったり支払ったりしたら確定申告の対象になる?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_139074_0-small.jpg)
収入には給与や配当収入、賃貸収入などいろいろありますが、突然、高額な損害賠償金や慰謝料を受け取ることもあるかもしれません。こうしたお金を手にしたとき、それらは収入と見なされ、確定申告が必要になるのでしょうか? また逆に、損害賠償金や慰謝料を支払う義務が生じた場合、個人事業主などは経費にできるのでしょうか?
そもそも損害賠償金や慰謝料ってなに?
損害賠償金は、他者から心身や自身の資産などに損害を加えられたときに、損害に対する賠償として加害者から受け取る金銭のことです。加害者に請求できる損害賠償金には、治療費や修理費などがあり、慰謝料も数ある損害賠償金の1つです。
では、どのようなケースで損害賠償が発生するのか、いくつか例を見ていきます。
心身に損害を加えられたとき
例えば、交通事故による負傷で受ける治療費や慰謝料などがあります。
突発的な事故により資産に損害が加えられたとき
例えば、所有している物の破損について受ける損害賠償金などがあります。
心身または資産に加えられた損害に関連して支払いを受けるとき
心身や資産に加えられた損害に対して、相当の支払いを受ける見舞金などがあります
損害賠償金や慰謝料を得たら確定申告は必要?
個人が他者からお金を受け取った場合は、担税力といって税金を納める能力があると判断され、所得税や贈与税がかかります。しかし、一定の所得については、税金を課するのに適当ではないということで税金がかからない場合があります。この所得を「非課税所得」といいます。
他者から損害を与えられて、その損害賠償として得た損害賠償金や慰謝料、社会通念上で該当する金額の範囲の見舞金などは、税金の課税対象として適当ではないとされ、非課税所得となります。
その他にも、病気療養中に健康保険組合から支給を受けた傷病手当金、傷病者や遺族などが受け取る年金(障害年金や遺族年金)なども非課税所得です。
非課税所得であれば、確定申告の必要はありません。
ただし、損害賠償金のうち、被害者の各種所得の金額の計算上、必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合、補てんされた金額に相当する部分については各種所得の収入金額とされるため、確定申告が必要なケースがあります。
例えば、配送中の事故で受けた損害により使いものにならなくなった商品について、個人事業主が損害賠償金などを受け取るようなケースでは、その損害賠償金は収入に代わる性質を持つものであるため非課税の対象とはならず、事業所得の収入金額となります。
また、医療費について確定申告をすることで、医療費控除を受ける場合があると思います。事故などで損害を受けたときの治療にかかった医療費は、相手から損害賠償として治療費などを受け取っていたときには、支払った医療費の金額から受け取った治療費などを差し引いて確定申告をする必要があるので注意してください。
損害賠償金や慰謝料を支払ったら経費にできる?
個人事業主が交通事故などを起こして、損害賠償金を支払ったときには、事業所得の必要経費になるのでしょうか?
この場合の損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金などの名目に関係なく、他者に与えた損害を補てんするために支払うすべての金額が含まれます。
損害賠償金が事業所得の必要経費となるかどうかの判断は、次の2つの基準によります。
●事故の業務関連性の有無
●事故原因に故意または重大な過失の有無
個人事業主が支払った損害賠償金が必要経費となるのは、事故が業務に関連性のあるもので、かつ、故意または重大な過失がない場合です。
確定申告において損害賠償金は経理上、「雑損失」などの勘定科目で処理するのが一般的です。また、損害賠償金を経費として計上できるのは、原則、損害賠償金が支払われることが確定した時点です。確定した時点というのは、一般的には支払額などを双方で合意した時点となります。
まとめ
損害賠償金や慰謝料についての税金の扱いは、その判断が難しいケースがあります。不明な点がある場合は、必要に応じて税金の専門家である税理士に相談するなどして確認しましょう。
出典
国税庁 No.2011 課税される所得と非課税所得
国税庁 No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき
国税庁 No.1705 遺族の方が損害賠償金を受け取ったとき
国税庁 No.1710 事業主・使用人が加害者として損害賠償金を支払ったとき
執筆者:小山英斗
CFP(日本FP協会認定会員)
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