工場勤務で転職する場合、年収アップが見込める地域は？

製造業で転職を考えている人の中には、少しでも賃金の高い地域で転職をしたいと考えている人もいるでしょう。製造業といっても地域によって平均年収は異なります。また、必ずしも最低賃金が高い地域ほど製造業の平均年収が高くなるわけではありません。それでは製造業の平均年収が高くなるのはどの地域なのでしょうか。   この項目では、平均年収の高い地域やその地域の特徴を説明していきます。

全国の製造業の平均年収は449万円

2021年の「賃金構造基本統計調査」によると、10人以上の事業所に勤務する製造業に従事する人の平均給与額（税引き前）は、29万4900円で、賞与の額は95万5300円です。ここから製造業に従事する人の平均年収は449万4100円です。また勤続年数が0年の人の平均給与額は21万8100円で、賞与額は67万3000円でした。ここから勤続年数0年の人の平均年収は328万9000円となります。
 

製造業の平均年収が高い地域は？

次に、2019年の「賃金構造基本調査」を踏まえて、製造業の平均年収が高い地域を紹介します。
 

・関東地方で高いのは東京・神奈川

製造業の平均年収が最も高いのは、東京都で636万1400円でした。東京都の1ヶ月当たりの平均給与額は40万3900円で平均賞与額は151万4600円となりました。東京の次に高いのは神奈川県で、平均年収は603万8700円です。
 
1ヶ月当たりの平均給与額は39万4900円で平均賞与額は129万9900円となりました。神奈川県は東京都に次いで最低賃金の高い地域で1040円となっていて、給与水準の高い東京・神奈川は製造業の平均年収も上がります。
 
東京・神奈川に次いで、関東地方で3番目に製造業の平均年収が高いのは茨城県です。平均給与額は34万700円で賞与額が116万4000円、平均年収は525万2400円でした。茨城県に次いで平均年収が高いのは群馬県で498万4400円となっています。
 
茨城県は製造業の付加価値構成比が33％と最も高く、生産用機械、化学工業、鉄鋼業が盛んです。群馬県は自動車関連産業のほか、食料品の製造や伝統工芸品の生産が盛んです。
 

・東海・近畿地方で高いのは愛知・大阪

東海地方で最も平均年収が高いのは愛知県で、568万3800円でした。1ヶ月当たりの平均給与額は36万7900円で平均賞与額は126万9000円です。愛知県は製造品の出荷額が日本で最も高く、46兆483億円と全国の14.7％を占めています。愛知県の県内総生産の約4割は製造業に依存していて、85万人ほどが製造業に従事しています。これは自動車関連産業が大変発展しているためです。
 
近畿地方では大阪府の平均年収が最も高く、552万4200円でした。近畿地方では大阪府、滋賀県、兵庫県、京都府の順番になっていて滋賀県が539万4900円、兵庫県は535万3100円、京都府が528万8700円となっています。
 
大阪府は製造業に携わる事業所の数が日本で最も多く、製造業に就く人の数も愛知県に次いで多いです。大阪府はかねてより繊維産業が盛んです。また日用品から人工衛星まで、さまざまなものを製造しているのが特徴です。
 

・賞与額が高いのは山梨

平均賞与額が東京に次いで全国で2番目に高いのは、山梨県で131万500円です。平均給与額は31万2600円なので年収は506万1700円となります。山梨県は中央自動車道が通っているため物流の便がよく、特に電化機械器具製造業の生産性が高い特徴があります。
 

東京都・神奈川県のほか愛知県・大阪府も高い

最低賃金が1000円を超える東京都・神奈川県では平均年収が600万円を超えるため、高い年収が期待できるでしょう。また、製造業が盛んな愛知県や大阪府も平均年収は高くなります。一般的に平均年収が高いのは製造業が盛んな地域ですが、地域によって分野が異なります。これまで従事してきた分野が盛んな地域を探すと、転職の際に有利になるかもしれません。
 

出典

厚生労働省 賃金構造基本統計調査 令和3年賃金構造基本統計調査
厚生労働省 令和3年度地域別最低賃金改定状況
厚生労働省 賃金構造基本統計調査
平成28年経済センサス‐活動調査 産業別集計（「製造業」（概要））（確報）
とどラン 都道府県別製造業界年収
山梨県資料 ⼭梨県の産業構造の状況と特徴
【愛知県】あいちのあらまし（産業）
【大阪府商工労働部】多様性を発揮する大阪産業製造・卸機能を中心に
【経済産業省】茨城県の地域経済分析
【経済産業省】非鉄金属の出荷額が全国1位の茨城県
【群馬県】産業
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部