40代から考える定年後の生活資金。年金はどう増やしていく?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月12日 12時10分
![40代から考える定年後の生活資金。年金はどう増やしていく?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/financialfield/financialfield_139950_0-small.jpg)
定年後の生活資金について不安を感じている方は多いのではないでしょうか。年金だけでは満足のいく生活ができない可能性があります。少しでも早いうちから定年後の生活資金について考え、備えておくことは大切です。 何もしなければ、定年後に「もっと早くから備えておけばよかった」と後悔するかもしれません。ここでは、定年後の生活資金の柱である年金の増やし方について解説します。
老後の平均収支額
総務省「家計調査(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)と65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支は、図表1のとおりです。
【図表1】
65歳以上の単身無職世帯 (高齢単身無職世帯) |
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 (夫婦高齢者無職世帯) |
|
---|---|---|
実収入 | 13万6964円 | 25万6660円 |
可処分所得 | 12万5423円 | 22万5501円 |
消費支出 | 13万3146円 | 22万4390円 |
差額 (可処分所得−消費支出) |
▲7723円 | 1111円 |
出典:総務省 家計調査(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要」の「65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)より筆者作成
上記のとおり、65歳以上の単身無職世帯は月7723円の赤字、65歳以上の夫婦のみの無職世帯はわずか1111円の黒字です。また、実収入に占める社会保障給付は、65歳以上の単身無職世帯が12万1942円で89%、65歳以上の夫婦のみの無職世帯が21万9976円で85.7%となります。
このように、老後の生活は、年金だけではあまり余裕がないことが分かります。そこで、年金の増やし方を以下で紹介します。
年金額を増やす方法
年金額を増やす方法には、国民年金基金や付加年金への加入があります。どちらも毎月の掛金・保険料はかかりますが、将来受け取れる年金額は増加します。また、繰下げ受給をして年金額を増やす方法や、iDeCoを活用して私的年金を形成するのも効果的です。
年金額を増やす方法を知り、自分に合ったやり方で定年後の生活資金づくりを行うことが大切です。ここでは、年金額を増やす方法について紹介します。
国民年金基金に加入する
国民年金基金は、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。自営業者など国民年金第1号被保険者の方は、国民年金基金に加入することで年金額を増やせます。月の掛金の上限額は6万8000円で、7つの掛金の種類から、自分に合ったものを選択できます。
加入時の掛金額は払込期間終了まで一定で、全額社会保険料控除の対象です。国民年金基金のサイトで、年金額のシミュレーションもできます。
付加年金を上乗せする
国民年金第1号被保険者や任意加入保険者(65歳以上除く)は、毎月の定額保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付することで、将来の年金額を増やすことができます。付加保険料を納付することで、受け取れる付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」です。
仮に、40歳から60歳までの20年間付加保険料を納付した場合の付加年金額は下記のとおりで付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。
200円×240月(20年)=4万8000円(年額)
繰下げ受給をする
年金の繰下げ受給は、年金の受給時期を最大75歳まで遅くすることで、年金額が最大84%増額する制度です。66~75歳まで、繰下げ1ヶ月につき0.7%年金額が増えます。
なお、昭和27年4月1日以前生まれの方は繰下げ受給の上限が70歳で増額率は最大42%、昭和16年4月1日以前生まれの方は年単位の増額率となり最大88%となります。
受給金額例として、65歳で受給できる年金額が年間200万円だとした場合、75歳まで繰下げをすれば、年間368万円も年金をもらえるようになります。年金の受給時期は遅くなりますが、確実に年金額を増やすことが可能です。
iDeCoで運用して私的年金をつくる
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出して投資商品を選び運用する私的年金です。iDeCoであれば、通常、運用益にかかる20.315%の税金が非課税となります。また、60歳以降に年金または一時金として受け取る場合も、公的年金控除や退職所得控除の対象になります。
毎月の掛金は全額所得控除の対象になるため、税負担を軽減することが可能です。iDeCoを活用することで、税負担を抑えながら私的年金を形成できます。
自分に合った方法で年金を増やそう
このように年金を増やす方法には、国民年金基金や付加年金、繰下げ受給、iDeCoなどがあります。
国民年金基金は年金が増えるうえに、掛金が社会保険料控除の対象になるため税負担の軽減が可能です。付加年金はわずか月額400円の負担なので、無理せずできるでしょう。繰下げ受給は年金の受給時期は遅くなりますが、最大84%の増額となります。iDeCoは節税しながら私的年金を形成できる点が魅力です。
備えは早くから始めるに越したことはありません。早速、自分に合った方法で定年後の生活資金づくりを始めましょう。
出典
総務省 家計調査(家計収支編) 2020年(令和2年)平均結果の概要
全国国民年金基金
日本年金機構 付加保険料の納付のご案内
日本年金機構 年金の繰下げ受給
iDeCo公式サイト
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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