年金を受け取る前に亡くなった妻。納付していた保険料は返金される?されない?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月13日 11時50分
年金の保険料を納めていたにもかかわらず、受給が始まる前に亡くなってしまう人もいます。 妻がそうなった場合、残された夫は保険料を返してもらいたいと思うかもしれません。まったく支給されないのだから、その権利があると考えることは不自然ではないでしょう。 本記事では、そのようなケースの返金について実情を詳しく解説していきます。
生前の保険料を返金してもらうことは不可能
納付した保険料を返金してもらう制度自体は、存在します。ただし、利用するには条件を満たしたうえで、所定の手続きを行うことが必要です。
例えば、保険料を重複して納めた場合、国民年金保険料還付請求書を提出すると返してもらえます。しかし、第3号被保険者である配偶者が年金を受け取る前に亡くなったことは、条件に含まれていません。
つまり、妻の生前を対象とする保険料は、返金の対象外ということです。死亡日以降の保険料を前納していた場合に限り、その分だけは原則的に戻ってきます。
一方、納付の免除制度もあるので、さかのぼって妻に適用してもらえないか、気になる人もいるでしょう。亡くなったことは免除の条件に含まれていないので、そのような観点でも還付を受けるのは不可能です。
上記の事実を知ると、納付した保険料が無駄になったと感じるかもしれません。確かに生前の保険料は返ってきませんが、後述する救済措置のような制度もあるので、把握しておくことが大事です。
遺族年金の受給が実質的な返金に!
遺族基礎年金を受給すれば、実質的にいくらかの返金を受けたと見なせます。これは家族を支えている人が死亡した際、遺族が生活に困らないようにするための年金です。
妻が亡くなったケースでは、妻によって生計を維持されていた夫が受け取れます。ただし、年度年齢18歳未満の子どもの存在が条件であり、その子ども自身が受給することも可能です。
被保険者である間に死亡したことや、保険料の納付済期間や免除期間の合算が25年以上に及ぶなど、ほかにも満たすべき条件があります。令和4年度の場合、夫が受給する金額は、77万7800円に子どもの加算額を合わせたものです。
また、妻が厚生年金の保険料も納めていたなら、所定の条件を満たすことで、遺族厚生年金も受け取れます。いずれにせよ、妻が保険料を納付していたからこそ受給できるものであり、返金がなくても納め損を緩和できるでしょう。
返金の代わりに死亡一時金を受給
死亡一時金も、実質的に保険料が一部返金されたと解釈できるものです。
保険料を納付していた妻が亡くなった場合、生計を同一にしていた夫や子ども、父母などが受け取れます。受給者には優先順位があり、最も高いのは夫です。死亡した前日の時点で、保険料の納付済期間が3年以上であることが条件となっています。
また、生前に老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していないことも重要な条件です。死亡一時金の金額は、保険料の納付済月数が多いほど高くなります。例えば、36ヶ月以上180ヶ月未満の場合は12万円で、420ヶ月以上の場合は上限の32万円です。
前述の遺族基礎年金を受け取れる人は、死亡一時金の受給対象になりません。なお、受給対象であっても、妻が死亡した翌日から2年で権利は失効します。このような注意点はありますが、申請して支給されると、納めていた保険料をその分だけ有意義なものにできるでしょう。
返金されないので損を減らす対策が必要
妻が亡くなっても、すでに納付した生前の保険料は夫や子どもに返ってきません。ただし、いくらかの金額を別の形で取り戻すことは可能です。それを希望するなら、遺族年金や死亡一時金について理解しておく必要があります。
これらを実質的な返金に相当する制度と見なし、受給の資格や手続きの仕方をチェックしておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 重複して納めた国民年金保険料を返してもらうにはどうしたらいいですか。
日本年金機構 知っていますか?国民年金保険料の免除制度
日本年金機構 国民年金保険料免除・納付猶予の申請について
日本年金機構 遺族年金ガイド 令和4年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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