1人1年金の年金制度で、2つ以上「併給」できるのはどんな人?
ファイナンシャルフィールド / 2022年5月17日 8時10分
年金は1人につき1つの年金が支給されることになっています。 ただし、一定の条件を満たしている場合には、2つ以上の年金を併給できることがあります。併給できるのは、どのような人なのでしょうか?
年金の給付の仕組みを知ることから始めよう
日本の公的年金制度では、日本に暮らす20歳以上60歳未満のすべての人が、基礎年金である国民年金に加入しなければならないとなっています。ただし、会社員や公務員として働いているときには、厚生年金へ加入することになり、「国民年金」+「厚生年金」という2階建ての構造です。
このようなケースで年金に加入している人は多いと思うのですが、2つ以上の年金が併給はできないとなると「国民年金と厚生年金は一緒にもらえないの?」と思うかもしれません。
しかし、安心してください。厚生年金は基礎年金である国民年金に上乗せされて給付されるため、1つの年金としてみなされます。そのため、併給することができるのです。そもそも、公的年金で併給できないとされているのは、支給される事由、つまり支給される原因となっているものが異なっている場合なのです。
支給される事由が異なっている2つ以上の公的年金を受け取る権利が生じているときには、いずれか1つの年金(同じ支給事由の年金の組み合わせ)を選択する決まりになっています。
・老齢給付:「老齢基礎年金(国民年金)」+「老齢厚生年金(退職共済年金)」
・障害給付:「障害基礎年金」+「障害厚生年金(障害共済年金)」
・遺族年金:「遺族基礎年金」+「遺族厚生年金(遺族共済年金)」
支給事由が異なる2つ以上の年金が受け取れるときには、いずれか1つを選択する
支給される事由が異なっている2つ以上の年金がもらえるときは、自分でいずれか1つの年金を選択することになっています。その場合は、「年金受給選択申出書」の提出が必要です。
「年金受給選択申出書」は、すでに年金をもらっているものの、ほかの年金も受けることができるようになったときや、2つ以上の年金を受けられるようになったとき、年金事務所や年金相談センターへ提出するものです。
下記のような場合は、申出書の届け出が必要になります。
(1)すでに年金の給付を受けている人が、新たな年金を受けられるようになった場合。
(2)2つ以上の年金を受けている人が、いずれかの年金額が変更となり、受け取る年金を変更した方が有利になる場合。
(3)税金・社会保険料、厚生年金基金、労災等の諸事情により、受け取る年金を変更したい場合。
上記の(2)、(3)の例から分かるように、2つ以上の年金を受け取る権利があるときには、すでに年金を受け取っていても、より自分に有利になるように変更できます。
・「遺族厚生年金」 or 「特別支給の老齢厚生年金」
・障害給付:「障害基礎年金」+「障害厚生年金(障害共済年金)」 or 老齢給付:「老齢基礎年金(国民年金)」+「老齢厚生年金(退職共済年金)」
・障害給付:「障害基礎年金」+「障害厚生年金(障害共済年金)」 or 「遺族厚生年金(遺族共済年金)」
・「配偶者の死亡による遺族厚生年金」 or 「子の死亡による遺族厚生年金」
・「父の死亡による遺族基礎年金」 or 「母の死亡による遺族基礎年金」
特例で2つ以上の年金が受け取れることもある
支給事例が異なる1つ以上の年金は、いずれか1つの年金を選ばなければなりませんが、65歳以後では、特例的に、支給される事由が異なる2つ以上の年金をもらえる場合があります。
例えば、65歳以上で老齢基礎年金をもらっている人が遺族厚生年金を受けられるようになったときは、2つの年金を受け取ることができます。65歳以上で老齢厚生年金と遺族厚生年金を受ける権利がある場合、自分の老齢厚生年金が支給されることになります。
ただ、遺族厚生年金が老齢厚生年金よりも年金額が高いときには、差額を受け取ることができますし、遺族厚生年金よりも老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になります。
・「老齢基礎年金」+「遺族厚生年金」
・「遺族厚生年金」+「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」
障害基礎(厚生)年金をもらっている人が、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後、下記のいずれかの組み合わせを選択できます。
・「障害基礎年金」+「障害厚生年金」 or 「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」 or 「障害基礎年金」+「老齢厚生年金」
障害基礎(厚生)年金をもらっている人が遺族厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後、下記のいずれかの組み合わせを選択できます。
・「障害基礎年金」+「障害厚生年金」 or 「障害基礎年金」+「遺族厚生年金」
思いがけず、年金を併給できることも考えられます。
しかしどのように組み合わせたほうがよいのか、自分ではなかなか分かりません。自分で判断せず、管轄の年金事務所へ出向いて、どのような組み合わせで受け取るとよいのか、調べてもらいましょう。
出典
日本年金機構 年金の併給または選択
執筆者:飯田道子
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
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